搾取された令嬢、今度は幸せになる。あの人の親愛が溺愛に変わったんです。

鏑木 うりこ

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22 会えればうれしいという事

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「いないわ……学園へ来ていないのかしら、マリアンヌは」

 学園は広い……あてもなく捜し歩いても見つからない。流石に疲れて、つい足が温室の方へ向いてしまった。一番安心できる休憩場はやっぱり温室だ。以前に借りた温室の鍵はルンド子爵にお渡ししてセルジオ先生に返して頂くようお願いしたから大丈夫だろう。ずっと預かっていたいくらいだけれども、そんなことをしてはセルジオ先生が困ってしまう。

「セラフィーナさん!」
「あっセルジオ先生、いらしたんですね」

 先生は用事があるからと数日学園でお姿を見られなかったけれど、今日はいらしていたようだ。元気そうな姿をみると安心できる……やはり温室にはセルジオ先生のお姿があってこそだと思えるのだ。

「ええ、大体やってしまわなければいけないことが片付いたので、温室の植物達も気になりましたし……」
「そうですね、数日見ないと急に成長していたり花をつけたりしますものね」
「そ、そう……ですね」

 そう呟いて視線を逸らされてしまった。そんなつもりはまったくなかったけれど、私は何か気に障ることでも言ったんだろうか? 

「本当に……数日で……花が、咲いたようです……」
「え?」

 心なしかセルジオ先生の頬が赤い気がするけれど、忙しくてお風邪でも召したんだろうか? 温室の中は暖かいけれど、油断すると病気はどこからでもやってくるものだし。でも、具合は悪そうに見えない……少し心配で先生の様子を伺っていると、ちらちらと目が合う。どうしたんだろう? 遠慮がちにこちらを見ているような、そんな感じがする。

「あ、あの……か、可愛らしいですね……」
「えっ……」

 か、可愛いって……もしかして、私!?

「そ、その髪留めっ」
「あ……はい……、モルガット家の方々が、くださいました……」

 わ、私ったら何を考えていたのかしら、酷い自意識過剰で恥ずかしい。私まで頬が赤くなってくる。

「ウィスタリアのような……とても美しいです」
「ええと……」

 イセリア様も言っていたけれど、私の今日のピン留めの色はブルーだ。そしてウィスタリアは紫の藤の花のこと……だからウィスタリアとは紫……今この場で紫色なのは、モルガット家の血を引いた私の瞳の色だということになるのだけれど……。

「あっ! そ、その……」

 ますます赤くなるセルジオ先生の顔をそれ以上見ていられずに、私は下を向いてしまった。きっと私の顔も真っ赤だったと思う。すごく恥ずかしい……でも美しいとセルジオ先生に言われて、凄く嬉しかった。

 
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