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27 お母様も喜んでくださると思います
しおりを挟む「まだ細かい打ち合わせをしているんです。調整が済んだら、私の両親にも会いに行きましょう」
「え? もちろんです」
私はもうルンド子爵とルンド夫人にもお会いしたじゃないですか、そういいたいくらい何か引っかかるような言い方だったけれど、気のせいだろう。セルジオ先生はモルガット家のサロンで少しお茶を飲んでから帰っていかれた。
「あの方ならお任せできるわね」
「そうね」
リリー伯母様もお祖母様もセルジオ先生のことを好意的な目で見てくださる。前世を足しても私より経験豊富なお二人がそういうならきっと大丈夫なんだろう。
「なにかあれば私達がぶっ飛ばしてやるから安心なさい」
「あらあら、リリー! 私だってまだまだやれるわよぉ」
ふん、と気合一閃力こぶを作って見せてくださる伯母様に頼もしさと心強さが爆発してしまいそうだった。
「……エミリアの代わりにはならないかもしれないけれど……」
「……いえ、お母様もやっと喜んでくれていると思います……」
それから夕食までお母様とお父様の話を色々と聞かせて貰った。バーグ家では私の両親を悪者のようにずっと扱っていた……バーグ伯爵は常日頃から私のお父様のことをジョゼ領を奪っていった泥棒だというのだ。子供の頃からそんなことはないと思っていたし、少し大きくなってからは自分で法律の本を読んだり、周りに聞いたりしてバーグ伯爵の言い分がおかしいと確信していた。男兄弟がいる場合、上の跡継ぎに継がせ、下の子に自分が所有している爵位の一つと領地を与えることはよくあることだ。だから前バーグ伯爵が、兄にバーグ伯爵領を、弟にジョゼ領を渡したことになんのおかしいところもないのに、ジュリアナの父親であるバーグ伯爵はそれを不服に思っている。
「肝が小さくて領地経営の手腕も乏しいのに文句ばかり一人前の男だからね。城にやってきた理由もジョゼ領を正式にセラフィーナから取り上げ、正式に自分の物にしようと不備だらけの書類を持ってきたようだったよ。門前払いを食らってたけど」
「な……まさか、そんなことできるのですか?」
「できないよ! セラフィーナが成人してジョゼ領を継ぐまで色々凍結されているからね。それなのに浮気がどうとかくだらない理由で譲渡させようとしてるんだ。あり得ない話さ」
私も手続きに関しては明るくないからそういう事ができるのかと驚いたけれど、伯父様はまさに鼻で笑ったのであり得ないくらいお粗末な訴えだったらしい。
「そしてあの格好で来ただろう? 良い笑い者だよね。自分は犯罪者です、罪に手を染めてますって大っぴらにアピールしているようなものだし」
「でもあなた? 確かにお城への予約はあったでしょうが、そんな酷い恰好なら来るのを取り止めたらいいじゃないですか。何故そんな姿でまで現れたんです?」
確かにあの色と臭いは強烈だった……それを押してまでお城へ出向いたのはどうしてなんだろう。
「まず、あれが犯罪者を捕まえる為に騎士団が開発したものだと知らなかったんだろうね。まあ、発表されたのは最近だから……よっぽど情報に疎くなければ知っていると思ったんだけどねえ」
「知らないとは愚かなことですわね」
「ああやって自分の無能をひけらかすことになってしまったんだからね。もっとも誰かに罠を仕掛けられたともいえるけれどね……」
「ああ」
「そうですわね」
「まあそのくらいはしていただいても罰は当たりませんわね」
何故か皆がうんうんと頷いている。一体何かなと少し不思議だけれど、このモルガット家の人達ならばそのうち……私が知った方がいいと思った時には何でも教えてくれるだろう。だから今、気持ちを尖らせて無理に聞き出す必要はない……きっとこれが家族というものなんだろうとしみじみ感じていた。
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