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29 現れた新たなる味方
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「よく平気な顔をして学園へ通えるものだな、面の皮が厚いとはまさにお前のことだな、セラフィーナ!」
「……セネギー……子爵令息……」
学園で温室へ向かおうと歩いていると、ロシュア様……いや、もうこんな奴呼び捨てでいい、ロシュアに声をかけられた。何故か知らないけれどイライラしているらしく、不機嫌そうだ。前から私の顔を見るのも嫌だといっていたんだから、どうして私に声をかけてくるのか意味が分からない。
「婚約破棄された恥ずかしい奴のくせに、堂々としていられるものだな! ああ、ジュリアナが可哀想だよ、こんな従妹がいるなんてなあ」
「……呼び捨てにしないでくれませんか? 私と貴方はもうなんの関係もないのですから」
冷静にそう返すとロシュアの顔がカッと赤くなった。私に言い返されるだけで腹が立つらしい。女性は大人しく自分のいうことを聞いていればいい、そんな考えの持ち主だったから。
「いい加減、慰謝料を払ったらどうなんだ!? いつまでも調査調査と時間をかけても無駄だからな! お前に責任があるということは揺るがない、証拠もたっぷりあるんだぞ、認めろよ、自分の非を!」
私は何も悪いことをしていないから非なんてない。だから堂々としていて当たり前だ。
「そんなに証拠がたっぷりあるなら、それこそ堂々としていればよいではありませんか。時間をかけたって何も問題はないでしょう? それとも詳しく調べられるとまずいことでもおありになるのですか?」
私ははっきり言い返す。もうこの人に気を使う必要も、恐れる必要もないんだからこちらが引き下がってやる理由なんてない。図星だったのかロシュアの顔が更に赤くなる。
「セラフィーナッ貴様っ!」
「っ!」
手を振り上げられた! それでも私は謝る必要がない。殴りたいなら殴ればいい、暴力でいう事をきかせようとしたって思い通りになんてなってやらないんだ。それでも思い出すのは前世で私に良く手を上げた母親だ……ああ、母親も今のロシュアみたいな表情をしていた。目は昏く沈んでいるのに、何故か口元はだらしなくにやけているんだ……流石に心の奥から寒気がやってきて、目を閉じる。
「あら、女性に向かって何をなさるつもりかしら? セネギー子爵令息」
「っ! 誰だっ」
ロシュアに殴られる寸前にそんな声が飛んできた……ロシュアの手が止まったようだ。私はそうっと目を開けるとロシュアの奥に一人豪華な金髪の女性が立っていた。その方のお顔をみて、私はさっと頭を下げる。
「わたくしに誰、とお聞きになるのね? セネギー子爵令息。クラスは違えど同学年ですのに……わたくしの名前はロザリア、ロザリア・バランタインですわ」
その名前に私はハッとし、ロシュアも少し悩んでから気が付いたようだ。
「バランタイン……王太子妃の……?」
「ええ、そうですわね。わたくしの姉のマルガレータは王太子ルーカス様と結婚しておりますわ」
少し仰々しいロザリア様の言い方だったけれど、それはロシュアに自分が誰だか教えようとしている、そんな風に聞こえる。普通ならロザリア様の姿をみたらすぐに礼を尽くすべき所だもの。我が国の筆頭公爵家のご令嬢なんだから、子爵家の私達とは別次元の方なんだ……バランタイン公爵家の方々と対等に話せるのは後は王族くらいしかいないだろう。
「それでセネギー子爵令息、その振り上げた手は下ろしていただけません? まさかセラフィーナさんを殴るなどとはいわないですわよね?」
「う……」
ロザリア様は顔の前にパッ扇を広げ、不快そうに口元を隠した。そして、バランタイン家のご令嬢は学園に護衛をつけることを許可されている……後ろの護衛が半歩前へ出る……鋭い目つきでロシュアを睨んでくれた。
「う……っくそっ!」
一、二歩後退ってロシュアは逃げて行った……助かった……! ロザリア様には感謝だ。
「あ、あの……ありがとうございました、お陰で助かりました」
そういって深く礼をすると、ロザリア様の表情がふっと柔らかくなり、護衛も下がってロザリア様が私の目の前へきた。
「セラフィーナさん。あのような輩の自由にさせておくのは確かに腹立たしいですが、無謀はいけませんわ。今回は何とかなったからよいものの、怪我をしては大変ですよ。そんなことになってはあの方が悲しみますから」
なんて優しい人なんだろう……先ほどは射殺しそうな迫力があったのに、今は慈愛に満ちた聖母のようなお顔だ……そしてとてもきれいな方でつい見惚れてしまった。でも不思議なことがある、あの方って誰だろう?
「あの方……?」
心当たりがなくて聞き返すと、ロザリア様は一瞬、しまったという顔をしてから美しく微笑まれた。
「セ、セルジオ先生ですわ……! わたくしは先生方からの信頼も厚いですから、ほほほ」
「ああ、そうだったんですね!」
それに自分の目の前で私が殴られるのは見ていられなかったんだろう……流石にお姉様が王太子妃であらせられるご家庭のご令嬢だ、正義感も強いんだ。私はもう一度きちんとお礼を言ってロザリア様に感謝した。
「……セネギー……子爵令息……」
学園で温室へ向かおうと歩いていると、ロシュア様……いや、もうこんな奴呼び捨てでいい、ロシュアに声をかけられた。何故か知らないけれどイライラしているらしく、不機嫌そうだ。前から私の顔を見るのも嫌だといっていたんだから、どうして私に声をかけてくるのか意味が分からない。
「婚約破棄された恥ずかしい奴のくせに、堂々としていられるものだな! ああ、ジュリアナが可哀想だよ、こんな従妹がいるなんてなあ」
「……呼び捨てにしないでくれませんか? 私と貴方はもうなんの関係もないのですから」
冷静にそう返すとロシュアの顔がカッと赤くなった。私に言い返されるだけで腹が立つらしい。女性は大人しく自分のいうことを聞いていればいい、そんな考えの持ち主だったから。
「いい加減、慰謝料を払ったらどうなんだ!? いつまでも調査調査と時間をかけても無駄だからな! お前に責任があるということは揺るがない、証拠もたっぷりあるんだぞ、認めろよ、自分の非を!」
私は何も悪いことをしていないから非なんてない。だから堂々としていて当たり前だ。
「そんなに証拠がたっぷりあるなら、それこそ堂々としていればよいではありませんか。時間をかけたって何も問題はないでしょう? それとも詳しく調べられるとまずいことでもおありになるのですか?」
私ははっきり言い返す。もうこの人に気を使う必要も、恐れる必要もないんだからこちらが引き下がってやる理由なんてない。図星だったのかロシュアの顔が更に赤くなる。
「セラフィーナッ貴様っ!」
「っ!」
手を振り上げられた! それでも私は謝る必要がない。殴りたいなら殴ればいい、暴力でいう事をきかせようとしたって思い通りになんてなってやらないんだ。それでも思い出すのは前世で私に良く手を上げた母親だ……ああ、母親も今のロシュアみたいな表情をしていた。目は昏く沈んでいるのに、何故か口元はだらしなくにやけているんだ……流石に心の奥から寒気がやってきて、目を閉じる。
「あら、女性に向かって何をなさるつもりかしら? セネギー子爵令息」
「っ! 誰だっ」
ロシュアに殴られる寸前にそんな声が飛んできた……ロシュアの手が止まったようだ。私はそうっと目を開けるとロシュアの奥に一人豪華な金髪の女性が立っていた。その方のお顔をみて、私はさっと頭を下げる。
「わたくしに誰、とお聞きになるのね? セネギー子爵令息。クラスは違えど同学年ですのに……わたくしの名前はロザリア、ロザリア・バランタインですわ」
その名前に私はハッとし、ロシュアも少し悩んでから気が付いたようだ。
「バランタイン……王太子妃の……?」
「ええ、そうですわね。わたくしの姉のマルガレータは王太子ルーカス様と結婚しておりますわ」
少し仰々しいロザリア様の言い方だったけれど、それはロシュアに自分が誰だか教えようとしている、そんな風に聞こえる。普通ならロザリア様の姿をみたらすぐに礼を尽くすべき所だもの。我が国の筆頭公爵家のご令嬢なんだから、子爵家の私達とは別次元の方なんだ……バランタイン公爵家の方々と対等に話せるのは後は王族くらいしかいないだろう。
「それでセネギー子爵令息、その振り上げた手は下ろしていただけません? まさかセラフィーナさんを殴るなどとはいわないですわよね?」
「う……」
ロザリア様は顔の前にパッ扇を広げ、不快そうに口元を隠した。そして、バランタイン家のご令嬢は学園に護衛をつけることを許可されている……後ろの護衛が半歩前へ出る……鋭い目つきでロシュアを睨んでくれた。
「う……っくそっ!」
一、二歩後退ってロシュアは逃げて行った……助かった……! ロザリア様には感謝だ。
「あ、あの……ありがとうございました、お陰で助かりました」
そういって深く礼をすると、ロザリア様の表情がふっと柔らかくなり、護衛も下がってロザリア様が私の目の前へきた。
「セラフィーナさん。あのような輩の自由にさせておくのは確かに腹立たしいですが、無謀はいけませんわ。今回は何とかなったからよいものの、怪我をしては大変ですよ。そんなことになってはあの方が悲しみますから」
なんて優しい人なんだろう……先ほどは射殺しそうな迫力があったのに、今は慈愛に満ちた聖母のようなお顔だ……そしてとてもきれいな方でつい見惚れてしまった。でも不思議なことがある、あの方って誰だろう?
「あの方……?」
心当たりがなくて聞き返すと、ロザリア様は一瞬、しまったという顔をしてから美しく微笑まれた。
「セ、セルジオ先生ですわ……! わたくしは先生方からの信頼も厚いですから、ほほほ」
「ああ、そうだったんですね!」
それに自分の目の前で私が殴られるのは見ていられなかったんだろう……流石にお姉様が王太子妃であらせられるご家庭のご令嬢だ、正義感も強いんだ。私はもう一度きちんとお礼を言ってロザリア様に感謝した。
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