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57 サプライズは好かれないって
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「つまみ出せ」
「はっ!」
「ちょ、ちょっと! 離しなさいよっイヤッ痛い、痛いっ!」
飽き飽きしたといった表情の陛下の指示の元、とうとうジュリアナは衛兵達に囲まれて、両腕を押さえつけられた。
「本当にバーグ家は病気のようだな……だが、肝に命じろ。コレを病気と呼んでやるのは曲がりなりにもセラフィーナを養育してきたからの温情だということを。これ以上はない」
「ひっ……わ、分かりまし……た」
真っ青な顔のバーグ伯爵は力なく首を垂れた。
「お、お父様、助けて痛いわっ! どうして私がこんな目にっ! こういうのはセラフィーナの役目じゃないっ私は悪くない、何にも悪くないのにっ!」
ジュリアナが泣こうが喚こうが屈強な衛兵達には通用しない。助けを求めたバーグ伯爵も引きずられてゆくジュリアナの後をとぼとぼとついていく。
「私はセラフィーナより優れているの! セラフィーナより美しいの! だからセラフィーナより私、私なの! 私は選ばれるべき人間なの! 離して、離してーー!」
派手なドレス姿が扉の向こうに消えるまでジュリアナは喚き続けていた。ジュリアナはどうしてあんなに私を蔑むんだろう……思い当たる理由がない。ただ、ジュリアナは前世のことを完全に思い出すのではなく、なんとなく体感的に認識していた……だから前世で蔑みの対象だった私を無条件で自分より格下としていたのかもしれない。私は聖良という人間ではなくセラフィーナとして生きているというのに、ジュリアナはジュリアナと樹里との区別ができていなかったんだろう……。
それにしてもジュリアナはこれからどう生きていくんだろうか。王妃殿下、国王陛下にも嫌われ、社交界への出入りも禁止されてしまった。ということは令嬢としての価値はまったくのゼロ、いやマイナスだ。ジュリアナを擁護なんてしようものなら、その家ごと社交界からの鼻つまみ者として扱われるだろうし。ライオットとの婚約もナシになったようたったけれど、平民と結婚するにしても少し裕福だったり学がある人は絶対にジュリアナには近づかない。王家から嫌われているなんて、この国で暮らしていくには問題がありすぎる。
響いていたジュリアナの声が小さくなり、消えていく頃に王妃殿下はため息をついた。
「さて、セルシオール様。いかがなさいますの?」
「えっと……義姉上」
「私と陛下はセラフィーナを虐めている性悪を一人排除いたしました。今、この場でセラフィーナの心を理解せず苦しめている性悪がまだおりますわよ……勘違いなさらないでね? あちらのセネギー子爵やファルマ・カレウスのような小物でないわよ。もっと根本からセラフィーナを苦しめている性悪よ」
ギロリ、そんな音が聞こえてきそうな王妃殿下の視線の槍に突き刺されたセルジオ先生は額に汗を書きながら小さく呻いている。
「そ、その性悪は……私のことですよね? 義姉上」
「ええそうね、分かっていれば宜しいのよ。そちらのモルガット子爵やルンド子爵もそれなりに悪いけれどね。お二人とも何故ここまでセラフィーナに秘密にしたのかしら? セルシオール様がそれとなく身分が高いとお伝えしておくべき所よね?」
矛先が変り、伯父様とお祖父様、そしてルンド子爵も冷や汗をかいている。
「そ、それはあのう……今まで苦労してきたセラフィーナが王弟であるセルシオール殿下に見初められ、婚約者になれるのであれば……その、喜ばしい事だと思いまして……驚きと喜びを倍増するには突然教えた方が……その、いいかと」
「まっ! 信じられませんわっ」
なんて事なんでしょう……伯父様もお祖父様もいわゆるサプライズを仕掛けたって事ですか? 前世でもそうだったけれど、サプライズとかフラッシュモブとか嫌いな人って結構多いんですよ……。
「はっ!」
「ちょ、ちょっと! 離しなさいよっイヤッ痛い、痛いっ!」
飽き飽きしたといった表情の陛下の指示の元、とうとうジュリアナは衛兵達に囲まれて、両腕を押さえつけられた。
「本当にバーグ家は病気のようだな……だが、肝に命じろ。コレを病気と呼んでやるのは曲がりなりにもセラフィーナを養育してきたからの温情だということを。これ以上はない」
「ひっ……わ、分かりまし……た」
真っ青な顔のバーグ伯爵は力なく首を垂れた。
「お、お父様、助けて痛いわっ! どうして私がこんな目にっ! こういうのはセラフィーナの役目じゃないっ私は悪くない、何にも悪くないのにっ!」
ジュリアナが泣こうが喚こうが屈強な衛兵達には通用しない。助けを求めたバーグ伯爵も引きずられてゆくジュリアナの後をとぼとぼとついていく。
「私はセラフィーナより優れているの! セラフィーナより美しいの! だからセラフィーナより私、私なの! 私は選ばれるべき人間なの! 離して、離してーー!」
派手なドレス姿が扉の向こうに消えるまでジュリアナは喚き続けていた。ジュリアナはどうしてあんなに私を蔑むんだろう……思い当たる理由がない。ただ、ジュリアナは前世のことを完全に思い出すのではなく、なんとなく体感的に認識していた……だから前世で蔑みの対象だった私を無条件で自分より格下としていたのかもしれない。私は聖良という人間ではなくセラフィーナとして生きているというのに、ジュリアナはジュリアナと樹里との区別ができていなかったんだろう……。
それにしてもジュリアナはこれからどう生きていくんだろうか。王妃殿下、国王陛下にも嫌われ、社交界への出入りも禁止されてしまった。ということは令嬢としての価値はまったくのゼロ、いやマイナスだ。ジュリアナを擁護なんてしようものなら、その家ごと社交界からの鼻つまみ者として扱われるだろうし。ライオットとの婚約もナシになったようたったけれど、平民と結婚するにしても少し裕福だったり学がある人は絶対にジュリアナには近づかない。王家から嫌われているなんて、この国で暮らしていくには問題がありすぎる。
響いていたジュリアナの声が小さくなり、消えていく頃に王妃殿下はため息をついた。
「さて、セルシオール様。いかがなさいますの?」
「えっと……義姉上」
「私と陛下はセラフィーナを虐めている性悪を一人排除いたしました。今、この場でセラフィーナの心を理解せず苦しめている性悪がまだおりますわよ……勘違いなさらないでね? あちらのセネギー子爵やファルマ・カレウスのような小物でないわよ。もっと根本からセラフィーナを苦しめている性悪よ」
ギロリ、そんな音が聞こえてきそうな王妃殿下の視線の槍に突き刺されたセルジオ先生は額に汗を書きながら小さく呻いている。
「そ、その性悪は……私のことですよね? 義姉上」
「ええそうね、分かっていれば宜しいのよ。そちらのモルガット子爵やルンド子爵もそれなりに悪いけれどね。お二人とも何故ここまでセラフィーナに秘密にしたのかしら? セルシオール様がそれとなく身分が高いとお伝えしておくべき所よね?」
矛先が変り、伯父様とお祖父様、そしてルンド子爵も冷や汗をかいている。
「そ、それはあのう……今まで苦労してきたセラフィーナが王弟であるセルシオール殿下に見初められ、婚約者になれるのであれば……その、喜ばしい事だと思いまして……驚きと喜びを倍増するには突然教えた方が……その、いいかと」
「まっ! 信じられませんわっ」
なんて事なんでしょう……伯父様もお祖父様もいわゆるサプライズを仕掛けたって事ですか? 前世でもそうだったけれど、サプライズとかフラッシュモブとか嫌いな人って結構多いんですよ……。
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