【完結】僕とファイさんの恋愛事情。月と僕と貴方の世界。

鏑木 うりこ

文字の大きさ
7 / 61

7 俺は上弦の間にキースと採取へ行く

しおりを挟む
 くそっ!足腰が痛い……!新月が終わりやっと上弦に入った。俺の力は抜けなくなり、溜まり始めるがこんな時に闇魔族に襲われようものなら、ひとたまりもない。キースに溜め込んで置かなければ。
 くそっ、本当になんで戦闘職じゃなく、錬金術師なんだ!隠れ住むしかないなんて、せっかくこのアリアゲートの世界を体感できるのに、悔しすぎる。
 生活という点では便利だけどな。キースもいてくれるから、街の人から怪しまれない。

 この世界に取り残されたのは多分俺一人じゃないはず。そいつらが闇魔族とやらを倒す方法や、現実に戻る方法を見つけてくれれば良いけど……。
 とにかく、確実な情報が手に入るまで迂闊に外は出歩けない。闇魔族が恐ろしすぎる。この世界の死はどうなっているかも分からん。ここで死んだらお終い、なんて洒落にもならない。
 もう少し、様子を見よう……。 



 ファイさんが上弦に入ってしまった……くすん。夜のベッドが一人で寂しい……。今日と明日くらいは一回づつやらせてくれるかもしれないけど、次の下弦までお休みだ。
 昨日の最高に可愛くていやらしいファイさんを思い出しながら、過ごそう……。ファイさん~エッチしたいよぉ~~!

「キース、お前ロクな事考えてねーだろ?」

「あひゃい!」

 バレた。

「元気そうだな?ああん?!薬草摘みに行くぞ!オラァ」

「ひぃ!」

 上弦のファイさんはこうして薬の材料を取りに近くの山へ出掛けることも多い。

「荷物持つんだ」

「勿論ですっ!」

 ファイさんは「ぷれーやー」だ。

「くそ弱い錬金術師ぃーー!」

 って叫んでいるけど、「ぷれーやー」は生まれた時から、僕たちより遥かに強い。

「クソ雑魚うさぎぃ!」

 ファイさんが飛び出して来た一角うさぎをすりこぎ棒で殴って倒すけど、その一角うさぎに僕たち町民は何人も殺されているし、キック一発で吹っ飛ばす狼被害は後を経たないし、ゴブリンに至っては冒険者を雇って高いお金で狩ってもらっている。

「ゴブリンの素材はしょぼいからなぁ」

 ファイさんが無造作に振り回している剣だって、何か付与されている超一級品だ。

「んー……なんかのクエストで落ちたやつだろ?大したことねーよ。錬金術師が装備できるもん少ないんだよ」

 ケロッと言ってるけど、その剣王都に持っていけば国宝にされてもおかしくないやつだよ?それを売れば一生遊んで暮らせるよ!ファイさん!

「んな訳ねーだろ」

 ファイさんは取り合ってくれない。でも王都なんか行ってファイさんに国王様が惚れたら困るから、それで良い事にしちゃった!
 ファイさんは倒した獲物をどんどんアイテムボックスに入れて行く。そのアイテムボックスだって……もう良いか!

「キース!腹減った、飯」

「はーい。今日はファイさんの好きな白イノシシのパストラミに黒コケの卵のサラダのサンドイッチと、甘赤梅のジュースです」

「ふん」

 そっけない返事だけど、目がキラキラしてますよ!僕は料理も好きなのでファイさんの胃袋をがっちり掴んでいる自信がある。

「どうぞ?」

「ん」

 ぱくぱくむしゃむしゃ!そんなに急いで食べなくても取りませんよ?そして

「んぐっ?!」

「はい、飲み物です」

「んぐぐ!ぷはっ」

 喉を詰まらせて涙目のファイさんも可愛いなぁ……あーエッチしたい。

「痛っ!」

「また何かくだらない事考えてたろ!」

 ううーバレた。ファイさんのパンチは結構痛いんだよぉ!お昼ご飯を食べ終わり、僕たちは薬草摘みをする。

「ファイさん、これは?」

「薬草じゃないが、レアな草だな」

 教えて貰った通りの草を摘んでるはずなんだけどなー?

「ファイさん、これ?」

「薬草じゃないけど、レア毒の解毒剤に使えるな」

「……あれぇ?」

 僕は薬草摘みの才能はないみたいだ……。僕たちはファイさんが薬草とモンスターや動物を倒し、僕は森の果物や山菜を摘んで帰って来た。薬草は分からないけど、食べられる物は分かるんだ!

「帰るぞ」

「はい!」

 長々と外にいるのは闇魔族に見つかると困るから、さっと来てさっと帰る。それでもかなりの物をファイさんのアイテムボックスに詰め込んで戻ってきた。
 食べられる動物や魔獣は家で解体する。血や骨、毛皮なんかファイさんが使う物と食べるものに分けてそれぞれ保管する。

「茹でるか、ベーコン……作るか」

「スパイスの効いた奴」

「勿論ですよ」

 ファイさんの好きな物、沢山仕込んでおきますね!



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

聖者の愛はお前だけのもの

いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。 <あらすじ> ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。 ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。 意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。 全年齢対象。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。

キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。 しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。 迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。 手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。 これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。 ──運命なんて、信じていなかった。 けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。 全8話。

処理中です...