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77 宝冠を導く者
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ナナチャン様。隠し鍵はこちらですぞ。狐殿に左の壁を登って少しへこんだ所に指をかけるように言ってくだされ。
「フォーリ。左の壁をちょっと登れる?そしたら少しへこんだところがあるんだって。そこに指をかけて」
「ん、待ってね」
フォーリはあまり掴みやすそうでもないけれど、凸凹がある壁をひょいひょい登った。
「へこみ、へこみ……古いボタンがあるな……押すぞ」
「うん」
下からは見えないへこみとボタンらしい。フォーリが押すと本当に大きな扉が音もたてずに開いた。
ここのカギは代々宰相を務めるものと、王の二人が持っていましての。二人揃って鍵を回した時に開くものですが、まあどこにでも抜け道と言うものがありまして……噂によると1000年以上前の王が随分とどんくさい男で、揃って鍵を回すことが出来ず……。中々宝物庫を開けることが出来なかったと聞き及んでおりますよ。
「そうなんだ、面白いねー」
「なになに?俺にも教えて!」
フォーリに昔の王様の恥ずかしい話を教えながら俺達は宝物庫に足を踏み入れた。きっとこの様子を今の宰相さんとかが見たら腰を抜かして驚くんだろうけど、俺はそんなこと知らないし。あと、いるはずの衛兵の姿も見えなかったけれど、俺もフォーリも不思議に思わなかった。
中に入ると金色だった。
「わあ……これ、全部お金?」
「金だ、金貨と宝石の山だな……」
広い部屋の真ん中に通路が出来ている。その周りに無造作に積まれた金、金、金。そして宝石達。
「飾ってあるのもあるね」
「宝剣や、魔剣の類だろうね。なんか強そうだし、気配が凄いよ」
棚の中にそっと鎮座された魔導書、触ったら祟りがありそうなやつ。そして
「いっぱい王冠が置いてあるね」
「高そうだなあ」
誰のか知らないけれど、どれもものすごい装飾で、大きな宝石がついている。きっとこの中に「宝冠」とか言うのがあるんだろうなぁ。俺がそれを選んで王様にしたい人に上げちゃえば、俺は自由になれるかな?
何をするにしても城に居続けるのはちょっと息が詰まりそうで嫌だなぁ。
「ナナちゃん、この中で欲しいものある?」
「特に……みんな高そうで俺はこんなの要らないかなあって……」
「ナナちゃんらしいや!」
フォーリは笑うけれど、何かを見つけたみたいでしゃがみこんだ。
「ほーら!ナナちゃんプレゼントだー!」
何かを投げつけられる。長いもの……?こ、これ
「ぎゃー!蛇だああああ!」
「あはは!!入り込んでたみたいだぞ!やっぱ蛇は怖いんだ!」
「突然投げつけられて驚かない奴はいないだろ!この馬鹿フォーリ!」
「毒がない種類だから大丈夫だよ~」
いたずらが成功した子供の顔でにこにこと笑いやがって!!この馬鹿フォーリ!
「あーごめーん!尻尾触って良いから許して~」
「それ、俺が不利になる奴!!もう知らん、帰る!!!」
ごめんごめんと謝るフォーリと一緒に俺は宝物庫から出て扉をしめた。全くフォーリのせいでお宝を良く見れなかったじゃないか!全くもう!
ほっほ……流石ですな。正しく選びおる……流石は王よ……。
王が「宝冠」を手に入れましたか
流石は「導く者」正しき目の持ち主であるなあ
歴代の王では選べなかった本物を持っていきましたな
本物を選んだ王を見てそれだけで満足して消えてゆく亡霊もかなりの数に上ったが、ナナもフォーリも亡霊達の呟きに気を留めなかった。フォーリがナナに投げつけた蛇が消えていた事、侵入者を防ぐためにネズミ一匹宝物庫に入れない造りであるのに、蛇がいた事。
それは全て今のナナとフォーリは知らない事だった。
「フォーリ。左の壁をちょっと登れる?そしたら少しへこんだところがあるんだって。そこに指をかけて」
「ん、待ってね」
フォーリはあまり掴みやすそうでもないけれど、凸凹がある壁をひょいひょい登った。
「へこみ、へこみ……古いボタンがあるな……押すぞ」
「うん」
下からは見えないへこみとボタンらしい。フォーリが押すと本当に大きな扉が音もたてずに開いた。
ここのカギは代々宰相を務めるものと、王の二人が持っていましての。二人揃って鍵を回した時に開くものですが、まあどこにでも抜け道と言うものがありまして……噂によると1000年以上前の王が随分とどんくさい男で、揃って鍵を回すことが出来ず……。中々宝物庫を開けることが出来なかったと聞き及んでおりますよ。
「そうなんだ、面白いねー」
「なになに?俺にも教えて!」
フォーリに昔の王様の恥ずかしい話を教えながら俺達は宝物庫に足を踏み入れた。きっとこの様子を今の宰相さんとかが見たら腰を抜かして驚くんだろうけど、俺はそんなこと知らないし。あと、いるはずの衛兵の姿も見えなかったけれど、俺もフォーリも不思議に思わなかった。
中に入ると金色だった。
「わあ……これ、全部お金?」
「金だ、金貨と宝石の山だな……」
広い部屋の真ん中に通路が出来ている。その周りに無造作に積まれた金、金、金。そして宝石達。
「飾ってあるのもあるね」
「宝剣や、魔剣の類だろうね。なんか強そうだし、気配が凄いよ」
棚の中にそっと鎮座された魔導書、触ったら祟りがありそうなやつ。そして
「いっぱい王冠が置いてあるね」
「高そうだなあ」
誰のか知らないけれど、どれもものすごい装飾で、大きな宝石がついている。きっとこの中に「宝冠」とか言うのがあるんだろうなぁ。俺がそれを選んで王様にしたい人に上げちゃえば、俺は自由になれるかな?
何をするにしても城に居続けるのはちょっと息が詰まりそうで嫌だなぁ。
「ナナちゃん、この中で欲しいものある?」
「特に……みんな高そうで俺はこんなの要らないかなあって……」
「ナナちゃんらしいや!」
フォーリは笑うけれど、何かを見つけたみたいでしゃがみこんだ。
「ほーら!ナナちゃんプレゼントだー!」
何かを投げつけられる。長いもの……?こ、これ
「ぎゃー!蛇だああああ!」
「あはは!!入り込んでたみたいだぞ!やっぱ蛇は怖いんだ!」
「突然投げつけられて驚かない奴はいないだろ!この馬鹿フォーリ!」
「毒がない種類だから大丈夫だよ~」
いたずらが成功した子供の顔でにこにこと笑いやがって!!この馬鹿フォーリ!
「あーごめーん!尻尾触って良いから許して~」
「それ、俺が不利になる奴!!もう知らん、帰る!!!」
ごめんごめんと謝るフォーリと一緒に俺は宝物庫から出て扉をしめた。全くフォーリのせいでお宝を良く見れなかったじゃないか!全くもう!
ほっほ……流石ですな。正しく選びおる……流石は王よ……。
王が「宝冠」を手に入れましたか
流石は「導く者」正しき目の持ち主であるなあ
歴代の王では選べなかった本物を持っていきましたな
本物を選んだ王を見てそれだけで満足して消えてゆく亡霊もかなりの数に上ったが、ナナもフォーリも亡霊達の呟きに気を留めなかった。フォーリがナナに投げつけた蛇が消えていた事、侵入者を防ぐためにネズミ一匹宝物庫に入れない造りであるのに、蛇がいた事。
それは全て今のナナとフォーリは知らない事だった。
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