【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

文字の大きさ
78 / 85

78 その中間で

しおりを挟む
「こちらが纏まらないのであれば、ナナ様は今一度グレイアッシュへお戻り頂き、戴冠式の準備をお願い致します」

「なにおう?!ナナ様はグレイデールの王!そちらには仕方なく出向いてやっておるのだ!」

 俺を排除する為に暗殺者を差し向けるのに、国から出て行くのは嫌だとか。俺、どうしたら良いんだろうね?

「まだ殺し屋を向けられてるしねぇ」

「グレイアッシュの方はまとまったの?向こうでもまた命狙われるようなら俺、嫌なんだけど……」

 グレイアッシュの使者が毎日顔を出して、グレイデールの重鎮と激しく言いあっている。

「はぁ……宝冠とやらを見つけて誰かに押し付けたらいいんだろうけど、亡霊達みんなが嫌だっていうし……。かといって王様になってどうしようって感じだし」

「……そうだなあ、やっぱり俺がどこかに攫って行こうか?どこか遠くでさ、二人で暮らそうよ……やっぱ無理デスハイ」

 狐ちゃん何を言っているのかしら?
 面白い冗談ね?狐ちゃん
 悪いお口はここかしら?ふふふ

 お姉様方に囲まれて真っ青になってるよ。分かってるはずなのに、どうしてそんなこと言うのかなぁ?でも少し良いなと思ってしまった。誰も知らない場所で俺はまた死体漁りをするんだろうか?フォーリは嫌がるけれど、俺のすることは許してくれる気がする。文句を言いながらそれでもそばにいてくれるんだろう。そして夜はフォーリと……。
 あれ、待てよ?なんでフォーリと一緒に居なきゃいけないんだ??俺、一人で逃げれば良いじゃん!ずっと一人で生きてたんだし、フォーリと一緒に暮らす必要ないだろう!尻尾か!尻尾のせいか!!

「あぶね、騙される所だった」

「ナナちゃああんーーーたすけてぇ!」

「暫くお姉様方に遊んでもらいな!」

「イヤアアアア!!」

 とにかく暗殺者を向けられる危険のある場所ではフォーリと一緒に居ないと危ないけれど、逃げてしまえばいいんだと結論が出た。どこでどうやって逃げる?城の中にいては無理だろう……そうだ、グレイアッシュへ来いと言われているんだ。その途中でこっそり消えてやれば良くないか?無理でもどこに何があるか覚えておけば次の行き来で逃げ出す事ができるかもしれない。
 なんせグレイデールとグレイアッシュは俺をどちらに置くかでずっと揉めている。きっと何度も何度も行き来することになる。

 城にいれば亡霊達が絶対に王になれと逃がしてくれないけれど、外なら違う。最初はフォーリと一緒に逃げればいい。そしてのちのちフォーリも置いて一人で気ままに行けばいいんだ。

「そうだ、そうしよう」

 俺は自分の考えたとてつもなく素晴らしい事だと思い込んだ。実現できるかどうかはさておきとして……。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...