【完結】虎の威を借りたつもりはないが、何か取られる狐の男子

鏑木 うりこ

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9 なんでみんなそうなのかな?

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「北山薫さん、お、俺とけ、結婚を前提に付き合って下さい」
「忠臣ぃ……いきなり結婚ぶっ込んで来るのかぁ」
「こ、子供はいっぱい、たくさん、サッカーチームを作れるくらい……」
「十二人?!ふざけんな! 」
「き、嫌わないで……」

 次の日朝早く、珍しくピンポンを鳴らして忠臣が来たと思ったら真っ赤なバラの花を抱えて来た。何やってんだ、忠臣。

「オミ兄おはよ」
「おはよ」
「忠臣君、朝ご飯は食べた?」
「まだス」
「母さん、忠臣君の分あるんだろ。食べて行きなさい」
「あざす」

 その他はいつもと変わらなかった。

 とりあえず、バラの花はうちに置いていつも通り学校に向かう。

「なあ、まじ?」
「うん、まじ」
「なあ、俺のどこがよかったの?」
「長くなる」
「簡潔に」
「……笑顔が、可愛いかった、から」
「……なにそれ、普通じゃん」
「うん、普通。でも俺……」
「うーん」

 俺が前を歩いて、後ろに忠臣がついて来る。

「まぁた北山狐が大河内虎の威を借りてんぞ」
「……うーん」
「突っ込んでくんないと困るんだけど?」

 友達から揶揄われていつもなら「ちげーよ」と大声を出す所なんだけどさ。

「うーん、忠臣がいない生活かあ」
「薫?!」
「想像出来ねぇなあ……なんでだろ」

 焦った忠臣の声を無視して俺は考えていた。

「北山、観念したのか……」
「観念?」
「大河内のお嫁さんになることを」

 何で友達が知ってんだ?ついでに言うとクラス全員知ってた。

「やっと!やっと!北山・大河内被害者の会が解放されるな!」
「ひ、被害者の会ってなんだよ!俺知らねーよ!」

 俺の叫びにはクラス全員が忠臣の方を向いたからこいつが原因か。

「まあ一番悪いのは大河内なんだけど」

 やっぱり忠臣のせいか。

「北山がふらふらしてるから、皆誘惑されるし、それを見た大河内はこえーし」
「えっ?俺、ふらふらなんてしてないし」

 あれっ?!皆の目が冷たい。

「お前さあ、モテるって自覚ねーだろ! 」
「はあ?俺がモテるわけないじゃん。忠臣じゃあるまいし」
「それだよ、それ!」

 クラス全員から文句言われた!!なんで?

「お前がどっかから男引っ掛けて来るだろ?」
「え?引っ掛けるなんてしねーし」
「してんだよ!俺らの努力て追っ払ってんの!!」
「知らねー!」
「まあ最後は大河内が出るんだけどな」
「そうよ!北山君に渡してって言われた手紙を突き返す私達の身にもなって欲しいわよ!返さないと大河内君に睨まれるし!」
「えー?!何それ……」

 俺、女子から手紙なんて貰った事無いんですけど??

「大河内が握り潰してんだよ、物理的に」
「忠臣っ!! 」
「……ごめ……」

 とにかく俺が知らない事ばっかりで
この数日驚きっぱなしだ。

「まー今度から自分で断ってよね!あと大河内君のリードちゃんと握ってて。北山君の事になると大河内君怖いんだから!」
「えっ忠臣って怖いの?」

 クラス全員にドン引きされた。忠臣なんてボーッとしてるだけだろ?!

「あーやだやだ、早くつがいになって結婚しろ」
「俺ら頑張ってたんだから結婚式には呼べよ」
「溺愛よ、溺愛ー。近くで見るもんじゃないわね」
「もー少し離れて見たい奴だわねー」

 言いたい放題言われたけれど、なんか反論しても全員から白い目で見られるので言い難い!!





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