【完結】虎の威を借りたつもりはないが、何か取られる狐の男子

鏑木 うりこ

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10 返事を保留して考える。

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「なーマジで俺のこと好きなのー?」
「うん、結婚して」
「まじかー」

 学校から一緒に帰って来て、いつも通り俺の部屋でゴロゴロしながら漫画を読んでる。なんかいつもと変わらないんだよなぁ。

「熟年夫婦みたいじゃん」
「……」

 恵梨香が部屋の前で一言言って自分の部屋に帰って行った。熟年って!

「うーん、十五年くらいこんな感じだもんなぁ、あ、ポテチ取って」
「ん」

 一枚摘んでくれた。サンキュー今漫画読んでるから指に油つくのやなんだよな。

「……こういうとこか……?!」
「?」

 忠臣がいる生活が日常過ぎて、こいつがいないのは考えられない気がする。

「忠臣、もしだよ。俺が結婚しないって言ったらどうすんの?」
「……し」

 し?

「……俺、どっか消えるよ。絶対、薫の結婚相手に意地悪しそうだもん」
「お前、人に意地悪とかできるの?!」

 あのボーッとしてる忠臣がぁ?

「……うん……たぶん?」
「ふぅん……?」

 忠臣の意地悪ってどんなことするんだろ?ちょっと気になるけど、へにょんと耳と尻尾を垂らしている忠臣を見るのはあんまり気分が良いもんじゃないなぁ。

「なー父さんと母さんは俺が忠臣と結婚したらどう思う?」
「……」

 夕飯の時思わず聞いてみた。

「カオ兄、隣にオミ兄いるのに今それ聞く??」
「あー……そっか普通いない所で聞くのか」

 俺の側に忠臣がいない時ってあるか?トイレくらい?

「どう思うっていつも通りだろ?」
「苗字が北山から大河内に変わるくらい?母さんの友達は半分くらいはもうあんた達が結婚済みだと思ってるわよ」
「家も横だし、ご飯も一緒に食べてるし。あー今度回らない寿司に連れてってくれるらしいぞ。冴子さんがワクワクしてた」

 回らない寿司!流石冴子おばさんだ。

「あー、変わんないかぁ」
「結婚しない方が大変よ。オミ兄は死にそうだし、お父さんも仕事減るんじゃないー?」
「それはないス」
「……そう?」

 忠臣が秋刀魚をぱくりと食べながら口を挟んだけど、それはない、は一体どっちなんだろう、父さんの仕事が減る方が無いのか、忠臣が死ぬ方がないのか?両方ナシだよね?うーん……?

「ご馳走様した、今日は帰ります」
「お風呂入ってきなさい」
「……はいッス」

 どこの家の母親も強い。いたたまれなくなったのか帰ろうとしたが、結局忠臣は風呂も入って風呂後のパピコも俺と半分こして歯も磨いてから帰って行った。

 うーん、どう考えも俺の生活がノー忠臣で回るとは思えない。もしかしてこれ、忠臣の策略なの?俺はすっかりハマってんの??

「やーでもやじゃないんだよなぁ」

 これも策略なのかなぁ?

 朝、母さんの声に起こされる。

「薫ー!早くご飯食べなさい!あと忠臣君がまだ来てないから早く呼んで来て!遅刻するわよ、あんた達」
「ふえーい」

 いつも俺を起こす勢いで来る忠臣が来てないって。

「一応、オミ兄も考えてんじゃないの?カオ兄に返事貰えないからさー」
「あー……」

 そいや俺、忠臣からプロポーズされてんだっけ?





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