【完結】ゲームで死んで救いのないクソったれな世界で魔王になる

鏑木 うりこ

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11 娼館の一番人気魔王

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「やっほぉ」
「……アッシュ、可愛くなくなったなぁ」
「あは、褒めてんのぉ?ふふ」

 俺はまだ「藤の宮」で身体を売らされている。むしろまだ一番人気だ、一番若い魔王の座は健在だから。

「年季がぁ明けたらーだーれかに売ってもらえるかも、しんないんだってーあはは、無理ゲー笑う」
「お前、三億だもんね」
「うん!そんでさ、俺より新人来ないっしょ?もー2年も立ってるのに、いっちばん、新人なのぉ~ウケるー」
「そうだな。魔王が現れなくなって俺達勇者も商売になんねーんだよ」

 俺は唯一外と触れ合うことができる部屋の中からウルドとスクルドに話しかけている。

「あはっ!マジでー?天下の「ロスト・ノルン」も、ビンボーなん?」
「お前を売った金がまだあるぞ」
「ウケるー」

 俺は大口を開けてゲラゲラと笑う。楽しい事なんて何もない、だから、笑う。無理矢理でも口を開けてさも楽しそうに、それしか出来ないから。

「アッシュ、辛い? 」
「たのしーことなんてあるわけないじゃん、聞くなヨォ」

 毎晩知らないけれど男に抱かれる。下手すりゃあ一日に二人とか三人とか。悲しいかな、魔王の身体は本当に丈夫で使い物にならない日がない。
 あーあ、人間ならとっくに使い物にならなくなってゴミ箱行きか廃人なのに、魔王は元気いっぱいでいられるから救いがない。

「死にたい? 」
「死にたい~!あーねぇ勇者なら魔王を殺せるんじゃない?どーして一思いに殺してくんないの? 」
「殺すより使った方が世の中の為になるだろ? 」
「あーそっかー残念! 」

 俺はゲラゲラと笑う、それしかない。俺とウルズ達の間には相変わらず真っ赤な格子が嵌っていて、俺は藤の宮の中、ウルズ達は外。俺はリーレンタオレンが要らないと捨てるまで、ここから外には出られない。

「アッシュ!次の客が来たよー」
「ありゃぁ~エッチのお時間だってよ。じゃあなー!気が向いたら殺しに来てねー」
「娼館の魔王を殺す度胸なんてねーよ」

 本当に殺してくれたら良いのに。そしたらこの地獄から抜け出せる。


「もう来ない」
「わぁい、助かるぅ」
「……稼げなきゃ困るのはアッシュじゃ無いのか?」

 散々抱いた後、このどっかの騎士だとかいうおっさんは言うけど、俺はゲラゲラ笑うしかない。

「べっつにー?俺の金額は馬鹿たけーし、買い取れるなんて思っちゃいねーもん。稼ごうが稼ぐまいが俺はここから出て行けねぇ。なら客がなくて暇してた方が良い。疲れないもん」
「抱かれた方が気持ちいいのではないのか?」
「おっさんに抱かれて嬉しい野郎はあんまりいねーよ!」

 笑えるー!何言ってんだろ?こいつ。そしてすんごい勘違い、俺が好きでこんなことしてるんだと思ってる?

「なっ!あれか、商人のアルバートかっ」
「アルバート?ああ、あのしつこい奴?」
「モンタギュー紹介のダミアンか!」
「水曜の男?」
「デズモンド伯爵か!」
「腹が出っ張ってんだよな」
「ドット公爵!」
「口が臭い」
「マヨイエ子爵!」
「ねちっこい?」
「あとは……」
「なんで俺の顧客知ってんの?」
「まあ、色々……」
「ふうん?」

 まあ良いけどさ。どれも客だよ、好きになる訳ない。むしろ全員大っ嫌いだ、お前も含めてな。

「魔王遊びなんてやめてちゃんと結婚しなよ。可愛い奥さんもらってさ、子供作って明るい家庭作りな」
「私は遊びではーー」
「いや、遊びだよ。本気になったって何にも良い事ないよ、魔王と関わるなんて」

 何せ俺達は魔王だ。まだ女性の魔王なら子供ができるかも知れない。でも俺は子供なんて産めないし、未来がないんだから。

「あんたの幸せを願ってるよ。もう来んなよ?」

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