【完結】ゲームで死んで救いのないクソったれな世界で魔王になる

鏑木 うりこ

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40 同族喰い

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「……ありがとう」
「……どういたしまして」

 暫く無言だった、でもしっかり伝わった……きっとコノハの同族喰いはアクティブになっただろうしEx同族喰いもついただろう。

「「飛行」を捨てて「堕天」を取ったんだ」
「コノハならトールに両羽を食わせれば、抱っこして飛んでもらえるよ」
「ああ、それいいね。俺も100レベルになりたい……トールは堕ちてくれるかな? 」
「コノハがエッチな下着でも着て、尻でも振れば多分ね」
「エッチな下着かあ~大抵試したから相当エッチじゃないとダメかもしんない」

 くすくすと笑うコノハはとても楽しそうだ。きっとトールは生えて来たコノハの羽を喰うだろう。一本も残さずきれいにきれいに食べるだろう。

「……切り落としてから食ってもらうんだぞ。そのまま行かれたら地獄だ」
「えー……あは、あはは!ウルズとスクルドならやりそーって思ったけどマジでそのまま齧られたんだ!ウケるー!」
「すげえ痛かった……ちなみにまだ根元が残っててなんかあるたびに齧ってくる。信じられなくない!?」
「さっどーい!ウケるー!」

 受けてんじゃねえよ、ちくしょう。お前も気絶しながらモグモグされろ!

「そうだ、ねえアッシュ。同族って喰ったことある? 」
「流石にまだない」
「俺、試してみよっかな。ついてきて」

 すっとコノハが立ち上がる。すると何も合図をしていないのに今までウルズたちと遊んでいたトールが戻って来て、コノハを抱き上げた。

「トール。マシェリエの所に行く」
「分かった」

 そしてこの娼館藤の宮の中を歩き始めた。内部は俺も知っているからどこへ向かっているかなんとなく分かる。個室だ、しかも魔王用の檻になっている個室が並ぶ一角だ。この最上階に俺がずーっと閉じ込められていて、歩き回っても良いのは昼間だけだった。夜には何人もの客が並んで相手をさせられていたっけな。

「……でもそん時の方が楽だった気がするな? 」
「なんか言った?アッシュちゃん」
「お?古巣でエッチする?」

 ウルズとスクルドに抱かれる方がきついぞ……なってこったい。

「エッチはしない」
「じゃあエロいことする?」
「……コノハが」
「見学すんの? 」
「する」
「やーん、アッシュちゃんのえっちー」

 黙れ。

「マシェリエ、俺、コノハ。今日はアッシュも来てるんだよ。入るね」

 マシェリエから返事はない。マシェリエは女の子の魔王だ。俺がこの藤の宮に連れて来られた時には既にいたけれど、客は取れる状態じゃなかった。マシェリエは絶望した魔王で、いつもこの暗く締め切った部屋の隅で膝を抱えて丸くなっている。
 どんなに飯を食わなくても死なない魔王の特性で、ずーっとここに座り込んでいる。

「マシェリエ」
「……」

 マシェリエはいつもの定位置にいて、ピクリとも動かない。実際、マシェリエみたいになっている魔王が多い。俺やコノハみたいに無理やり笑って無理やり体を動かしている魔王の方が少ないんだ。そりゃそうだろう、死ぬこともできない絶望の中で何年、何百年生きなきゃならないか見当もつかないんだから。

「よーマシェリエ。死ねるぞ」
「……ほんと?」

 俺は初めてマシェリエの声を聞いたかもしれない。

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