【完結】ゲームで死んで救いのないクソったれな世界で魔王になる

鏑木 うりこ

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44 もういいかなと思えるようになった。

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 俺はどんどん魔王を喰って行った。噂ではコノハも積極的に魔王を喰っているらしい。魔王の中にはアップデートしたステータスで生きて行くと喰われずに去っていく者もいた。

「私の勇者?知らないわ。私を放置した後、一度も見ていない」

 そういう魔王もいた。

「俺はあいつが憎い、あいつを殺して……それからお前に喰われたい」

 そう言っていなくなった奴もいる。俺達はかなりの年月をかけて魔王を探し、プログラムとメッセージを届けた。そして多分、もうこのプログラムを受け取っていない魔王はいない、そう思うところまできた。


「なあ、そろそろ俺を殺してくれないか?」

 ウルズとスクルドにそうお願いをしてみた。

「もういいだろう?俺はもう楽になりたい。こんな狂った世界から抜け出したい。俺はちゃんとした人間に戻りたい」
「俺達を人間じゃないものにしておいて? 」
「ああ」
「一人だけ、逃げたいの?」
「ああ」

 二人の視線がとても痛い。でもあの時はこいつらを人外にしてもやりたいことがあった。そして今はもうやり切ってしまった気持ちだ。もう俺は要らない……そんな気がしている。だから俺はこいつらに素直に心の内を晒した。絶対に怒るって分かっていたけれど、秘密にしておきたくなんてなかったから。

「ムシが良すぎねえ?」
「自分でもそう思う」
「ならなんでそんなこと言うの?」

「お前らに嘘はつかない……から」

 そこだけは誠実でいたい……ただそれだけ。二人とも無言でどこかへ行ってしまい、帰って来なかった。きっと俺の本気が伝わったから、どうするか考える為に視界から俺を消したんだろう。

「……世界そのものに意志があり、増えすぎた魔王を何とかするために勇者が強くなった。これがこの世界に起きたバグ……ならば新たな魔王が生まれなくなり、増えた魔王が駆逐されたら世界はどうするんだろう」

 今、魔王と呼ばれる存在は何人いるか正確には分からない。俺と……コノハは生きている気がする。生きていれば相当なレベルになっているだろうな……俺だって魔王を喰い続け、ダンジョンはレベルは広大になり、集まる経験値は増えて813レベルになった。人間の限界値が255レベルでありこの世界の生きている大抵のモノより強くなっている。
 ウルズとスクルドはそろそろ1000レベルに届きそうな勢いで、俺はどうしてもあいつらの片っぽにすら叶わない。1000になったらあいつら神にでもなるかもしれんな。

「あの変態で壊れたやつらが神かあ……世も末だな」

 今でも俺を毎日犯して喜んでるあいつらが?と苦笑する。振り返るとあいつらはまだ帰ってない。夜に俺の傍に二人がいなかったことはここ100年なかったから不思議な気持ちだ。変態で頭がおかしい奴らだけれど、ずっとそばにいれば情が湧くのが当たり前。

「寂しい、って思うくらい一緒にいるもんな」

 死んで解放されたいと思っているのに、あいつらがいないことが寂しいと思うそんな矛盾を抱えているから心のどこかにまだ人間が生きていいるんだろう。

「はは、俺も中々しぶとい……」

 独り言をいうのも久しぶり。もしかしたら俺がこうして少しだけでも正気を保っていられるのはウルズとスクルドが傍にいてくれるからなんだろうか。ただエロい事をするだけじゃないのかもしれないな。

「やあ、こんばんは。魔王アッシュ」

 聞こえたのは知らない男の声。その後俺の意識は暗転した。




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