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43 好きだ!(セブスト殿下視点
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目が好きだ。カレリオなのにカレリオではないような目で私を見る、あの冷ややかな目が。
カズハはとても可愛かった。少しだけ茶色がかった黒い髪と目はこの世界にはあまり居ない色だったのもよかった。
そして神子である希少性。
「セブスト殿下ぁー!」
元気でよく懐いている子犬のようであり、たまに見せる猫のように誘ってくる態度も中々面白かったんだ。
ただ、何を言っても黙って付き従うカレリオとは違い魅力に溢れていた。だから、カズハと仲良くなった。
以前から積もっていた思いもあり、私にカレリオは必要ないと冷たくあしらった。
そして私の知らぬ間にカレリオは変わっていた。いつも何か言いたそうにしながら、従っていたのに、急に距離を置いてきたのだ。
それで構わないし都合が良いとと思った。私にカレリオは必要ない。しかし監視するような責めるような目は、心に残り続ける。あのカレリオなのに、カレリオではないような目がずっとずっと。
そしてカレリオを失うという意味をまざまざと知らされ、我を忘れた。
何故あそこにカレリオがいたのかなんて考えぬまに、力任せに手に掛けた。
そうしたらカレリオの祖父を抱いたなんて、さしもの私でも気を失った。
大人の判断で、色々と有耶無耶にされたが、どうしてもあの目が忘れられなかった。
いや、目だけじゃなかったと気がついたのはバンドール家にその爺さんに会いに行った時だった。
あ、私はこの人の事が好きだ。
歳なんて関係なかった。もう好きで好きで堪らない。何かの熱病かもしれない、タチの悪い魅了にでもかけられたのかもしれない。目が曇っているかもしれない。
全部どうでも良かった、あの人と触れ合いたい、あの目に映りたい!できる事ならイチャイチャしたい!
こんなに深く思ったのは初めてだった。
「70過ぎのじいさんだろう!?」
相談するとサディーアに驚かれた。
「カレリオに似ているけど……爺さんだ。でも好きなんだ!」
サディーアは少し悩んでいたようだが言い切った。
「思う通りにすると良い。はっきり言わせてもらうが今のセブスト殿下に政略的価値はない。王太子を追われた王子など誰も持ち上げたりしないだろう。そして爺さん……ダグラス・バンドール様だがこちらも政略的価値はない。バンドール家の当主はカレリオの父だし、ダグラス様がまた当主になる事はない。価値のない者同士がくっ付こうが何しようが、邪魔は入らないだろう」
「そうか!ならダグラス様に婚約の申し込みをしてこよう!」
「……そうするといい……君の友人として応援するよ」
サディーアは遠い目をしてたいたが、私はどうでも良かった。誰にも邪魔されないなんてなんて重畳!
私の努力次第で振り向いて貰えるんだから!
カズハはとても可愛かった。少しだけ茶色がかった黒い髪と目はこの世界にはあまり居ない色だったのもよかった。
そして神子である希少性。
「セブスト殿下ぁー!」
元気でよく懐いている子犬のようであり、たまに見せる猫のように誘ってくる態度も中々面白かったんだ。
ただ、何を言っても黙って付き従うカレリオとは違い魅力に溢れていた。だから、カズハと仲良くなった。
以前から積もっていた思いもあり、私にカレリオは必要ないと冷たくあしらった。
そして私の知らぬ間にカレリオは変わっていた。いつも何か言いたそうにしながら、従っていたのに、急に距離を置いてきたのだ。
それで構わないし都合が良いとと思った。私にカレリオは必要ない。しかし監視するような責めるような目は、心に残り続ける。あのカレリオなのに、カレリオではないような目がずっとずっと。
そしてカレリオを失うという意味をまざまざと知らされ、我を忘れた。
何故あそこにカレリオがいたのかなんて考えぬまに、力任せに手に掛けた。
そうしたらカレリオの祖父を抱いたなんて、さしもの私でも気を失った。
大人の判断で、色々と有耶無耶にされたが、どうしてもあの目が忘れられなかった。
いや、目だけじゃなかったと気がついたのはバンドール家にその爺さんに会いに行った時だった。
あ、私はこの人の事が好きだ。
歳なんて関係なかった。もう好きで好きで堪らない。何かの熱病かもしれない、タチの悪い魅了にでもかけられたのかもしれない。目が曇っているかもしれない。
全部どうでも良かった、あの人と触れ合いたい、あの目に映りたい!できる事ならイチャイチャしたい!
こんなに深く思ったのは初めてだった。
「70過ぎのじいさんだろう!?」
相談するとサディーアに驚かれた。
「カレリオに似ているけど……爺さんだ。でも好きなんだ!」
サディーアは少し悩んでいたようだが言い切った。
「思う通りにすると良い。はっきり言わせてもらうが今のセブスト殿下に政略的価値はない。王太子を追われた王子など誰も持ち上げたりしないだろう。そして爺さん……ダグラス・バンドール様だがこちらも政略的価値はない。バンドール家の当主はカレリオの父だし、ダグラス様がまた当主になる事はない。価値のない者同士がくっ付こうが何しようが、邪魔は入らないだろう」
「そうか!ならダグラス様に婚約の申し込みをしてこよう!」
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