【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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66 ワシ、またまたやらかす

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「わはは!ダグラス様は若いのに話が分かるお人だー!」

「ふふ、意外と歳じゃからのう!ホレ、もっと酒を買ってこい。ついでにつまみもじゃ。金はワシが払う」

「ひゅー!太っ腹ァ!」

 部屋の隅に令嬢二人を置いたまま、ワシと荒くれ5人は酒盛りを始めておった。

「わしは風呂に入りながら濃いのをきゅーっといくのが好きなんじゃ」

「俺らは風呂上りにゴクゴクいきてえぜ!」

「久々にそれもいいかもしれんのう!」

 若い頃はそんな感じじゃったかも!

「しかし、温泉が枯れてきちまって、公爵様もどうもしてくれねえし……オルトラ温泉はもう駄目だろう?」

 荒くれの一人がしゅん、と首を垂れてしまう。きっとこやつらも栄えておったころは真面目に働いておったんじゃろうが、こうして人が減り宿が減りで職を失ったんじゃろうな。

「温泉はきっと大丈夫じゃ。殿下とリドリーが住み着いた竜を倒している頃だろうし、後この辺のオルトラ温泉郷は殿下の物になるじゃろうからワシがきちんと面倒見てやるよ」

「へ?ダグラス様が?」

「うむ。ワシ、温泉好きじゃもん。このままにしておかんぞ」

 こんなオルトラ温泉郷じゃワシ嫌じゃい。もっと活気があって、街のあちこちで饅頭を蒸かしたり、野菜を蒸かしたりせねばな!
 蒸し物は胃にもたれず良いぞ!

「ほんとか!?ダグラス様!」

「ウソついてワシになんかいいことあるのか?ないだろう?それより、オルトラ温泉郷を復活させて、金持ちを呼び込んで儲ける方がよかろ!」

「ダグラス様ぁ!あんた最高だぁーー!」

「うおーーー!ついていきますぜー!旦那ぁーー!」

「わはははは!任せろー!わはははは!」

 なんて盛り上がってしまった訳じゃ……。



「大旦那様!」

 ペシペシと頬を軽く叩かれる。

「むぅ?」

「大旦那様、分かりますか?リドリーです」

 ぼんやり薄目を開けると、特徴的な赤い髪のリドリーの顔がなんとなーく霞んで見える。

「うむむ?リドリー?あれ?ワシ、一体……??」

 するとリドリーは小瓶を一つワシに無理矢理持たせ、ついでに無理矢理立たせた。

「良いですか、大旦那様。誠意ですよ、誠意、せ、い、い」

「んん??なんの事じゃあ?」

「まあ、良いですから、そのまま、真っ直ぐ進んでください。後の事はこのリドリー、上手くやっておきますから!真っ直ぐですよ!」

「んん??」

 ワシは訳も分からずリドリーに押されて、扉の方に歩いて行く。はて?なんじゃったっけ?しかし、ここは何処じゃったかのう?なにやらふらふらするし……これは二日酔いかの??
 ワシは昨晩、えーと?何をしたっけのう……。

 思い出せぬまま、ふらふらよたよた開け放たれた扉の方に歩いて行く。

「何じゃったかのう……」

 うーん、思い出せん。酒は飲んだのじゃろう……はて?すると扉の前に誰かが現れた気配がした。

「ん……ひっ!!」

「おはようございます、婚約者様。少しお話したい事がございますので一緒に来ていただけますよね?」

 青筋が浮いて鬼の形相のセブスト殿下が立っておったんじゃよ。

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