【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

文字の大きさ
74 / 122

74 ワシ、相談を受ける2

しおりを挟む
「しかし!このままでは永遠に父上がゼフ家当主になれず、我が家は立ち行かなくなります!」

 そうじゃのう……ゼフ公爵領全て没収もあり得るからのう……。ちらりとサディーアの顔を見る……うーん……。

「サディーア、ちと眼鏡を外してみろ」

「はあ?」

 そう言いながらも眼鏡を取ると、うむやはりメルクリーアに似ておるな。あれは酷い話じゃった……メルクリーアには長年連れ添った可愛い婚約者がおったのに、メルクリーアに一目惚れしたダスティンの鬼畜眼鏡がやらかした。
 メルクリーアのランタス伯爵家を罠にかけ、多額の借金を負わせて……ああ、思い出しても非道な手段であったわ。証拠をもみ消したのは勿論ワシじゃよ……。

「サディーアよ、お前が良いのであればリドリーが若返りの秘薬を持っておったぞ」

「っ!買わせて頂けますかっ!」

「覚悟は出来ておろうな?サディーア・ゼフ」

 サディーアは眼鏡をしっかりとかけ直し

「勿論です!」

 そう言ったから、ワシはリドリーを呼んで例の薬をサディーアに渡した。

「どんなに苛烈だろうと、お祖父様の扱きに我々は耐えてみせます!」

「……そうか。そこまで言うなら」

 ワシはね、。まあ、良いか?

 サディーアが大切に小瓶を仕舞い込んで去っていった後、殿下が神妙な面持ちでワシに訪ねてきた。

「ダスティン様はそれ程までに?」

「ああ。メルクリーアを失ったダスティンの矛先はこの辺りで一番メルクリーアに似ておるサディーアに向くじゃろうよ。ダスティンの執着は本当に凄まじい。生き伸びて欲しいのう」

「えっ!そっちですか!?」

 こくり、ワシは頷く。ワシは思い出しても空恐ろしい学生時代の記憶が蘇る。
 会った頃のメルクリーアには女性の可愛らしい婚約者がいて、手を繋ぐのも頬を赤らめるような清くてくすぐったくて、笑っちゃうようなお付き合いをしておったのに。
 婚約者がダスティンに変わってすぐに、毎朝頬を赤らめ、目を潤ませて登校して来るし、剣術の授業などで少し強く打ち込むと

「あぁん……痛いぃ♡」

「ひっ?!」

 なんか仕込まれておったな……。

「可愛いだろう?私のメルクは」

「ダスティン……好き♡」

 イチャイチャに何か危険な空気を感じて戦略的撤退を良くしたものだ。

「まあ、逆に考えればサディーアをダスティンに捧げてしまえばゼフ家は安泰かのう……」

「友人としては止めたい所なのですが?!」

「しかしのう……さしものワシもダスティンにあの性癖を改めろとは言えん。どんな報復をされるか分かった物ではないからのう」

 利害が一致した時のダスティンほど心強い存在はないが、敵にだけはしたくない。

「サ、サディーアは人として生きられるでしょうか……?」

「分からぬ……」

 ダスティンがどこまで丸くなっているか、それにかけるしかないのう……。

しおりを挟む
感想 319

あなたにおすすめの小説

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...