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76 相談すべき(ジェスター視点
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突然だが、私の名前はジェスターと言う。そう、殿下と懇意にしていた辺境伯の息子だ。
「……」
カズハは海の向こうの遠くの国へ行ってしまった。とても楽しそうに船に乗り込んでいたから、カレリオ……いや、カレリオの祖父ダグラス様が何か卑劣な手を使って孫を虐めた神子を忘却の彼方に放逐したのかと思ったが、そうでもないようだ。
「ファンディスクかなぁ!2部かなぁー!あーーーっすっごい楽しみぃーー!」
一応見送りに来た私には一瞥もくれず、さっさと船に乗り込んだカズハ。
「ジェスター……ふふ!だぁいすき」
なんて言い寄ってくるカズハの事が頭から離れず悩んだ事も一時期あったが、カレリオが離れ、セブスト達とダンジョンを回るようになってから、それも無くなり悩みはスッキリとした。
あの頃の私達はどうかしていた、そうはっきり言えるようになっていた。
「いくら神子だったと言え、あれはないな」
最初にカレリオにおかしいと指摘された時は意味不明なほど、カレリオが憎く思えたのだが、今となっては何か良くない力でも働いていたのかと思う程だ。
体を動かせば、悩みは解消される物なんだな!
「すまなかった、カレリオ」
学園に戻ってきた正真正銘のカレリオに皆で謝罪した。
「もう済んだ事ですし。私は大丈夫です」
アルフォンスを隣ににこやかに微笑むカレリオ。カレリオは正しかったと思わざるを得なかった。
「それに……私より皆さんの方が大変そうですし……ジェスター、あなたも気をつけて下さいね?」
「え、ああ……」
そう言えばと、親友達を見回す。セブストはカレリオの祖父ダグラス様に相変わらずお熱で
「最近、私の事を可愛がって下さるダグラス様がとても可愛いんだ!」
と、これは惚気?なのか?を永遠と語っているし
「レイモンド様は良いぞ!剣の腕もさることながら、あの体捌き!くぅーーっ!カッコいい!」
なんだかよく分からない惚気……とは違う話を熱く語るトレヴァー。
「お祖父様……いや、ダスティン様と呼ばねばお仕置きが……うっ……思い出しただけで……あぅ♡」
変調をきたしている?サディーア。
「と、言う感じで親友が遠くにいるような気がして……」
「……さようか」
私の話を聞いて下さるのは学園長のケンウッド・グレイズ様。この方もダグラス様の同期だと言うので、何か良きアドバイスを貰えればと、声をかけてみたのだ。
「何も近くにいることだけが親友のできる事ではないぞ、ジェスターよ」
「と、言いますと?」
「我が身の保身……げふんがふん!ついていけない友人達と物理的に距離を取ることは今後の人生にとっては大切な……げふんごふん!」
「ケンウッド学長?風邪ですか?」
「う、うむ。そうかもしれぬ。そ、そう!離れているからこそ出来る事があると言う事じゃ」
そう言えば、ダグラス様達は卒業後王宮に士官されたが、ケンウッド学長は王宮ではなく学園の教師となられたのだったな。
王宮で活躍できる優れた人材の育成を陰ながら支えた、そう言うことか!
「そうですね、私は辺境を守ると言う使命もあります……王都の平和は私の手にかかっているといっても過言ではない……」
「過言じゃろ」
「ん?」
「何でもない、続けたまえ」
しかし、1人寂しい気もしたが、ケンウッド学長に話を聞いてもらえてスッキリとして、自分のやるべき事が見つかった気がする。
やはり学園長のお人柄は素晴らしい。相談してよかった!
「……」
カズハは海の向こうの遠くの国へ行ってしまった。とても楽しそうに船に乗り込んでいたから、カレリオ……いや、カレリオの祖父ダグラス様が何か卑劣な手を使って孫を虐めた神子を忘却の彼方に放逐したのかと思ったが、そうでもないようだ。
「ファンディスクかなぁ!2部かなぁー!あーーーっすっごい楽しみぃーー!」
一応見送りに来た私には一瞥もくれず、さっさと船に乗り込んだカズハ。
「ジェスター……ふふ!だぁいすき」
なんて言い寄ってくるカズハの事が頭から離れず悩んだ事も一時期あったが、カレリオが離れ、セブスト達とダンジョンを回るようになってから、それも無くなり悩みはスッキリとした。
あの頃の私達はどうかしていた、そうはっきり言えるようになっていた。
「いくら神子だったと言え、あれはないな」
最初にカレリオにおかしいと指摘された時は意味不明なほど、カレリオが憎く思えたのだが、今となっては何か良くない力でも働いていたのかと思う程だ。
体を動かせば、悩みは解消される物なんだな!
「すまなかった、カレリオ」
学園に戻ってきた正真正銘のカレリオに皆で謝罪した。
「もう済んだ事ですし。私は大丈夫です」
アルフォンスを隣ににこやかに微笑むカレリオ。カレリオは正しかったと思わざるを得なかった。
「それに……私より皆さんの方が大変そうですし……ジェスター、あなたも気をつけて下さいね?」
「え、ああ……」
そう言えばと、親友達を見回す。セブストはカレリオの祖父ダグラス様に相変わらずお熱で
「最近、私の事を可愛がって下さるダグラス様がとても可愛いんだ!」
と、これは惚気?なのか?を永遠と語っているし
「レイモンド様は良いぞ!剣の腕もさることながら、あの体捌き!くぅーーっ!カッコいい!」
なんだかよく分からない惚気……とは違う話を熱く語るトレヴァー。
「お祖父様……いや、ダスティン様と呼ばねばお仕置きが……うっ……思い出しただけで……あぅ♡」
変調をきたしている?サディーア。
「と、言う感じで親友が遠くにいるような気がして……」
「……さようか」
私の話を聞いて下さるのは学園長のケンウッド・グレイズ様。この方もダグラス様の同期だと言うので、何か良きアドバイスを貰えればと、声をかけてみたのだ。
「何も近くにいることだけが親友のできる事ではないぞ、ジェスターよ」
「と、言いますと?」
「我が身の保身……げふんがふん!ついていけない友人達と物理的に距離を取ることは今後の人生にとっては大切な……げふんごふん!」
「ケンウッド学長?風邪ですか?」
「う、うむ。そうかもしれぬ。そ、そう!離れているからこそ出来る事があると言う事じゃ」
そう言えば、ダグラス様達は卒業後王宮に士官されたが、ケンウッド学長は王宮ではなく学園の教師となられたのだったな。
王宮で活躍できる優れた人材の育成を陰ながら支えた、そう言うことか!
「そうですね、私は辺境を守ると言う使命もあります……王都の平和は私の手にかかっているといっても過言ではない……」
「過言じゃろ」
「ん?」
「何でもない、続けたまえ」
しかし、1人寂しい気もしたが、ケンウッド学長に話を聞いてもらえてスッキリとして、自分のやるべき事が見つかった気がする。
やはり学園長のお人柄は素晴らしい。相談してよかった!
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