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77 ケンウッドの悪夢
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ケンウッド……ケンウッド……お前だけ逃げようなどと……許さん、許さんぞ……!
「うわぁーーーー!ダグラス!こっちへ来るなーー!」
まだ明け方にケンウッドは悪夢を見て目を覚ました。いくら年寄りの朝が早いとはいえ、少し早すぎた。
「ゆ、夢か……」
学園長であるケンウッドの元には生徒からの情報がよく集まる。素行があまり良くなかったセブスト殿下の婚約者になり、どうも婚約者としては近過ぎる距離のお付き合いをしているダグラス。
本人はその気が全くないのだが、押しかけてどうにもこうにも離れないトレヴァーに諦めつつあるレイモンド。
血が繋がらないとは言え、孫にナニかをやらかしているらしいダスティン。
「いや、まさかな……ははは……」
確かにあの3人とは学生時代に色々な事をした。ケンウッドはかなり魔法が得意なので、攻撃魔法から回復魔法までなんでもござれ。
まあそれを便利に使われた。
「いかん、このまま王都にいては必ず奴らに呼び出され、何をさせられるか判ったものではない!」
ここ最近見る悪夢はダグラスとレイモンドとダスティンが変わるがわる出てきて、こっちへこいと足を引っ張るのだ。
「そ、そうじゃ!逃げよう!国のなるべく端っこ……おお!ジェスターの領の辺境じゃ!学園長など、誰かがやれば良い!」
この思い切りの良さと先見の明でケンウッドは面倒くさい王家のゴタゴタから逃げ回って来たのだ。ケンウッドのグレイズ侯爵家ももう息子に譲っている。
「この歳になってまたあいつらにこき使われるなんぞ絶対に嫌じゃ!!そうと決まればジェスターに辺境について詳しく聞いておかねば!」
何とか仕事も纏め、ケンウッドは辺境へ逃げる手筈を整えつつあった。
「ふん、あの光速のケニーも老いたと言うことか」
「そりゃ70も過ぎておるからの。正真正銘の老ぼれジジイじゃろ」
「学生時代はまんまと逃げられたからな!もう逃がさん……よな?二人とも策はあるのであろう?ワシは考える事は好かん」
どうやって集まったのか、やけに言葉遣いが爺むさい若人が3人、円形に座り込んでいる。
「良いではないか、辺境に強い魔導士を一人配備したかった所だ」
「ジェスターは責任感の強い男じゃし、元いた婚約者の方は……」
「何とかしとけ、ダグ」
「嫌じゃー!そう言うのが嫌なんじゃーー!」
「ああ、サディーアの婚約者が余っておろう?まとめておけば良かろう」
「そう言う所だぞ!ティム!ゼフ家にパプリーを箱で送りつけてやる!」
「セブスト殿下の仕事を20倍に増やすが?」
「ワシ、婚約者まとめ頑張るぞい」
「で、どうする?」
「なぁに、便利な薬があるんだろう?レイ、お前も拾った筈だ」
「ああ!そうだな!セットで使えば若者など、あっという間にケダモノか!」
「一回ヤってしまえば責任を取って妻の座に収めるだろうよ、ははは!」
「ぶえっくしょーーーい!」
ケンウッドは盛大にくしゃみをしたが、彼の敗因は学園長故、学生のジェスターが、長期休暇で休みの時に辺境を案内してもらおうと悠長に時間を置いたせいだ。
昔のようにさっさと逃げ出せば良かったのに……。
「うわぁーーーー!ダグラス!こっちへ来るなーー!」
まだ明け方にケンウッドは悪夢を見て目を覚ました。いくら年寄りの朝が早いとはいえ、少し早すぎた。
「ゆ、夢か……」
学園長であるケンウッドの元には生徒からの情報がよく集まる。素行があまり良くなかったセブスト殿下の婚約者になり、どうも婚約者としては近過ぎる距離のお付き合いをしているダグラス。
本人はその気が全くないのだが、押しかけてどうにもこうにも離れないトレヴァーに諦めつつあるレイモンド。
血が繋がらないとは言え、孫にナニかをやらかしているらしいダスティン。
「いや、まさかな……ははは……」
確かにあの3人とは学生時代に色々な事をした。ケンウッドはかなり魔法が得意なので、攻撃魔法から回復魔法までなんでもござれ。
まあそれを便利に使われた。
「いかん、このまま王都にいては必ず奴らに呼び出され、何をさせられるか判ったものではない!」
ここ最近見る悪夢はダグラスとレイモンドとダスティンが変わるがわる出てきて、こっちへこいと足を引っ張るのだ。
「そ、そうじゃ!逃げよう!国のなるべく端っこ……おお!ジェスターの領の辺境じゃ!学園長など、誰かがやれば良い!」
この思い切りの良さと先見の明でケンウッドは面倒くさい王家のゴタゴタから逃げ回って来たのだ。ケンウッドのグレイズ侯爵家ももう息子に譲っている。
「この歳になってまたあいつらにこき使われるなんぞ絶対に嫌じゃ!!そうと決まればジェスターに辺境について詳しく聞いておかねば!」
何とか仕事も纏め、ケンウッドは辺境へ逃げる手筈を整えつつあった。
「ふん、あの光速のケニーも老いたと言うことか」
「そりゃ70も過ぎておるからの。正真正銘の老ぼれジジイじゃろ」
「学生時代はまんまと逃げられたからな!もう逃がさん……よな?二人とも策はあるのであろう?ワシは考える事は好かん」
どうやって集まったのか、やけに言葉遣いが爺むさい若人が3人、円形に座り込んでいる。
「良いではないか、辺境に強い魔導士を一人配備したかった所だ」
「ジェスターは責任感の強い男じゃし、元いた婚約者の方は……」
「何とかしとけ、ダグ」
「嫌じゃー!そう言うのが嫌なんじゃーー!」
「ああ、サディーアの婚約者が余っておろう?まとめておけば良かろう」
「そう言う所だぞ!ティム!ゼフ家にパプリーを箱で送りつけてやる!」
「セブスト殿下の仕事を20倍に増やすが?」
「ワシ、婚約者まとめ頑張るぞい」
「で、どうする?」
「なぁに、便利な薬があるんだろう?レイ、お前も拾った筈だ」
「ああ!そうだな!セットで使えば若者など、あっという間にケダモノか!」
「一回ヤってしまえば責任を取って妻の座に収めるだろうよ、ははは!」
「ぶえっくしょーーーい!」
ケンウッドは盛大にくしゃみをしたが、彼の敗因は学園長故、学生のジェスターが、長期休暇で休みの時に辺境を案内してもらおうと悠長に時間を置いたせいだ。
昔のようにさっさと逃げ出せば良かったのに……。
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