【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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番外編

15 50年位昔の話をしようと思う3

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 1か月ほどでメルクリーアはダスティンの手に落ちていた。

「なんて言うか……ティムのやり方は汚すぎて私まで汚れた気持ちだよ」

「まあ……一蓮托生ってやつなのかな……」

 メルクリーアの元々いた女性の婚約者はどこかへ消えた……その先は怖いから聞かないで置こう。私とダグラスはため息をついたが、レイモンドまで駆り出されなかったのが幸いだろう……あいつが呼ばれる時はまあ確実にヤバイ。

「ダスティン……♡」

「メルク、私の事はティムと」

「はぁい♡ティム♡」

 べったりくっついていて、イチャイチャしている。しかもどうも寮の部屋も一緒だ。

「ダスティンの奴は高位貴族の階だろう?メルクリーアをねじ込んだのか?」

「ダスティンだしなぁ」

 寮長も懐柔したか、弱みを握ったか……学園の教師たちの何割かはダスティンに逆らえないんだろうな。

「何で毎朝メルクリーアはあんなにぐったりしてるんだ?」

 レイモンドは流石の脳筋だ。当然夜はやる事ヤってるからだろ!

「夜も鍛錬してんだろ」

「なるほど!」

 ダグラスも適当に返事してる……。とりあえず鍛錬と言っておけば問題ないからなぁ。
 しかし、土日に寮ではなくそれぞれのタウンハウスに帰り、月曜日に戻ってくるとダスティンの方がぐったりしている……。

「メルク!!」

「わっ?ティム、おはよう」

 月曜の朝はダスティンがくっついている。どうもメルクが側にいないと不安でしょうがないらしい。好きすぎて近くにいないとなんてどうなってるんだ?

「ふふ、ティムは甘えん坊さんだなぁ」

「うるさい」

 そう言いながら、ぴったり腕を組んで歩いているから、まあ良いコンビなんだろう。もしメルクが先に死んだらダスティンはどうなるんだ?生きるしかばねだろうか??

「あの鬼畜眼鏡の弱点だな」

「まあ、メルクリーアに手を出したら一族諸共滅亡させられるだろうけどなぁ」

 学園にいる間に5つの貴族の家が消え去ったのはまあ……仕方がない事だろう、うん。

 所かまわずイチャイチャしているダスティンとメルクリーアのせいで、ダスティンは人気がない。実は我々の学年で一番モテるのはダグラスであった。
 腹は黒いがダグラスは見た目は良い。銀色の髪に紫の瞳、子供の頃は美少年と言われ続け、最近は美青年と呼ばれ始めている……しかもそれを最大限に利用する術に長けている。

「ありがとうございます」

 うっすら頬を染めて、嬉しそうに微笑む。完璧な顔で。

「いや、訓練すれば顔色は変えられる、簡単だ」

 ダグラスは前にそんな事を言いながら、顔を色んな色に変えて遊んでいた。真似してみたけど無理だったぞ……。

「悪い、ケンウッド」

「今度は誰だ?」

「上級生……アガイル公爵家の次男だ」

「使えないのか?」

「長男より劣る次男だぞ?いらんわ」

 廊下の曲がり角でダグラスと合流し、隠匿魔法で姿を消してしまう。

「……ダグ!……?!いない?こっちに曲がったのに、どこだ!」

 名前も覚える必要がなさそうなアガイル家の次男が辺りをキョロキョロして……しばらくして行ってしまう。それを見計らって魔法を解いた。

「勝手に愛称で呼んで気持ち悪い。何で私があんなのと愛し合っている事にならなきゃならんのだ」

「勝手に恋人だと吹聴されたか?」

「ああ。私には婚約者もいるのに、迷惑極まりない」

 表面上の人当たりも良くて、優し気なダグラスはそういう輩に付きまとわれ易くて、良く私やレイモンドが追い払っていたなあ。

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