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番外編
31 樽とダンジョンと俺3
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「リドリーーー!助けて下さいお願いしますーーー!」
「えー……やだぁ」
「うわぁああーー!!」
ボス部屋の扉を開けたら本当にボススライムが旦那様めがけて飛びついて行ったのでとてもびっくりした!
「がぼ?!むぐぅ!!」
「嘘だろ?!」
確かにボススライムは大人を飲み込める程でかい。大体は向かいあってちくちく斬り合うんだけど、旦那様は丸ごとすっぽり食べられた。
慌ててスライムを倒して救出したけど、この人、本当に魔物に好かれてる!あれは食べたと言うか懐こうとして勢い余って取り込まれた、そんな感じだった。
2階のでっかい豹みたいなのはゴロゴロ喉を鳴らして飛びついてきたし。試しに9階に連行していってボスのケルベロスに会わせてみたら
「くーん!!」
って鼻を鳴らして尻尾を振っていた。
「ひっ!」
本人は一瞬で気を失っていたけど、魔物、しかもボスクラスって懐くんだ!驚きだ!
「ち、父上ぇーカレリオぉーー!もう何もしないから、ダンジョンはもう嫌だぁーーーー!」
「……カナン、たっぷり搾られたらしいのう」
「父上、お体がスッキリしましたね!」
「もうやだーもうやだー!怖いよー!」
とうとう旦那様は屋敷に来ていた大旦那様とカレリオ様に泣きついてしまった。そんな厳しくしてないのになぁ。
まあ、確かに樽の面影は無くなって、顔も体もスッキリした。みんなが噂した通り、顔の基本的な造形はカレリオ様と一緒なのに、髪の毛が金色なので冷たさが半減される。確かに金貨色だし。肉に埋まり気味だった目も垂れ目がちで大きい。
おじさんのくせに可愛い顔をしている。あと使用人に優しくなった。
「頼む!誰かリドリーを止めてくれ!止まるように一緒にお願いしてください~~!」
って頭をペコペコ下げ続けたからなんだけど……え、俺が悪いのかあ?
「見てくださいよ、こんなにマメが出来たんです!ボスは怖いし、モンスターには囲まれるし、スライムに食べられるし!」
「た、食べられた?!」
流石に大旦那様は驚いて目を丸くした。大旦那様は丸ごとぱっくりされた事ないもんね。
流石に哀れになったのか
「リドリー、もう止めてやってくれんか……?」
「良いっすよー。王宮の方の仕事に復帰して良いなら!」
「しょうがない奴じゃ……明日から来なさい」
「やったー!俺も旦那様とダンジョン行くのヤなんですー」
「どうして?リドリー。最初はあんなにやる気だったのに」
カレリオ様が不思議そうに尋ねてきたけどね。
「だって!旦那様と一緒に行くと何にもドロップしないんですよ!何にもですよ!!」
どのボスを倒しても何にも無いんです!大旦那様ならポロポロ瓶とか落としてくれるのに!ゼロなんです!!
「俺ももーやだー!」
「私だってもーやだー!」
とにかく俺と旦那様の意見は一致したし、元の高給職場に戻れたし。旦那様はスッキリしていい感じになったからオッケーだろう。
「また元の体型に戻るようなら、また行かせるからな、カナン」
「わわわ分かりましたー父上ーー!」
俺はボーナスをカレリオ様から貰って、楽チン職場に復帰した。大旦那様にも報告してボーナス二重取りを敢行したらめちゃくちゃ怒られたからもうしない……。
「リドリー。カナン・バンドールは魔物寄せの体質だと言うのは本当か?」
「へ?」
ダスティン様にそうきかれたので、呼び出された執務室で命が惜しいから素直に全部喋った。旦那様の命より自分の命の方が大事だもんね。
「ふむ、便利そうだな。然るべき時に使うか」
どこからその情報を拾ってきたのか分からないけれど、この人の耳に入ったら最後、死ぬまでこき使われそうだ、可哀想な旦那様……。
「リドリー、お前もダグラスの下で働いているうちは見逃してやるが、牙を剥こうものなら如何に古代龍の末裔といえど容赦はせんからな」
「え?」
「話は以上だ、もうダグラスの所へ戻れ」
「へ?」
それ以上の質問は何も受け付けてもらえず、執務室から追い出された。え?俺がなんだって???
「こだいりゅー……?えー??聞き間違いだな!」
早く大旦那様の所に行っておやつを貰わなきゃ。ここのおやつは豪華だから美味しいのばっかりなんだよね~。
確か、龍種は光る物が好きで金貨とか財宝とか集めるって聞いたことがあるけど。
確か、龍種はその財宝の上で寝転がるのが好きって聞いたことあるけど。
「そんな訳ないよね~~~~~~!」
とりあえず、俺は大旦那様にしっかりお仕えしていこうと思う!なんかあの人の傍が一番安全な気がしてきた!
樽とダンジョンと俺【終】
「えー……やだぁ」
「うわぁああーー!!」
ボス部屋の扉を開けたら本当にボススライムが旦那様めがけて飛びついて行ったのでとてもびっくりした!
「がぼ?!むぐぅ!!」
「嘘だろ?!」
確かにボススライムは大人を飲み込める程でかい。大体は向かいあってちくちく斬り合うんだけど、旦那様は丸ごとすっぽり食べられた。
慌ててスライムを倒して救出したけど、この人、本当に魔物に好かれてる!あれは食べたと言うか懐こうとして勢い余って取り込まれた、そんな感じだった。
2階のでっかい豹みたいなのはゴロゴロ喉を鳴らして飛びついてきたし。試しに9階に連行していってボスのケルベロスに会わせてみたら
「くーん!!」
って鼻を鳴らして尻尾を振っていた。
「ひっ!」
本人は一瞬で気を失っていたけど、魔物、しかもボスクラスって懐くんだ!驚きだ!
「ち、父上ぇーカレリオぉーー!もう何もしないから、ダンジョンはもう嫌だぁーーーー!」
「……カナン、たっぷり搾られたらしいのう」
「父上、お体がスッキリしましたね!」
「もうやだーもうやだー!怖いよー!」
とうとう旦那様は屋敷に来ていた大旦那様とカレリオ様に泣きついてしまった。そんな厳しくしてないのになぁ。
まあ、確かに樽の面影は無くなって、顔も体もスッキリした。みんなが噂した通り、顔の基本的な造形はカレリオ様と一緒なのに、髪の毛が金色なので冷たさが半減される。確かに金貨色だし。肉に埋まり気味だった目も垂れ目がちで大きい。
おじさんのくせに可愛い顔をしている。あと使用人に優しくなった。
「頼む!誰かリドリーを止めてくれ!止まるように一緒にお願いしてください~~!」
って頭をペコペコ下げ続けたからなんだけど……え、俺が悪いのかあ?
「見てくださいよ、こんなにマメが出来たんです!ボスは怖いし、モンスターには囲まれるし、スライムに食べられるし!」
「た、食べられた?!」
流石に大旦那様は驚いて目を丸くした。大旦那様は丸ごとぱっくりされた事ないもんね。
流石に哀れになったのか
「リドリー、もう止めてやってくれんか……?」
「良いっすよー。王宮の方の仕事に復帰して良いなら!」
「しょうがない奴じゃ……明日から来なさい」
「やったー!俺も旦那様とダンジョン行くのヤなんですー」
「どうして?リドリー。最初はあんなにやる気だったのに」
カレリオ様が不思議そうに尋ねてきたけどね。
「だって!旦那様と一緒に行くと何にもドロップしないんですよ!何にもですよ!!」
どのボスを倒しても何にも無いんです!大旦那様ならポロポロ瓶とか落としてくれるのに!ゼロなんです!!
「俺ももーやだー!」
「私だってもーやだー!」
とにかく俺と旦那様の意見は一致したし、元の高給職場に戻れたし。旦那様はスッキリしていい感じになったからオッケーだろう。
「また元の体型に戻るようなら、また行かせるからな、カナン」
「わわわ分かりましたー父上ーー!」
俺はボーナスをカレリオ様から貰って、楽チン職場に復帰した。大旦那様にも報告してボーナス二重取りを敢行したらめちゃくちゃ怒られたからもうしない……。
「リドリー。カナン・バンドールは魔物寄せの体質だと言うのは本当か?」
「へ?」
ダスティン様にそうきかれたので、呼び出された執務室で命が惜しいから素直に全部喋った。旦那様の命より自分の命の方が大事だもんね。
「ふむ、便利そうだな。然るべき時に使うか」
どこからその情報を拾ってきたのか分からないけれど、この人の耳に入ったら最後、死ぬまでこき使われそうだ、可哀想な旦那様……。
「リドリー、お前もダグラスの下で働いているうちは見逃してやるが、牙を剥こうものなら如何に古代龍の末裔といえど容赦はせんからな」
「え?」
「話は以上だ、もうダグラスの所へ戻れ」
「へ?」
それ以上の質問は何も受け付けてもらえず、執務室から追い出された。え?俺がなんだって???
「こだいりゅー……?えー??聞き間違いだな!」
早く大旦那様の所に行っておやつを貰わなきゃ。ここのおやつは豪華だから美味しいのばっかりなんだよね~。
確か、龍種は光る物が好きで金貨とか財宝とか集めるって聞いたことがあるけど。
確か、龍種はその財宝の上で寝転がるのが好きって聞いたことあるけど。
「そんな訳ないよね~~~~~~!」
とりあえず、俺は大旦那様にしっかりお仕えしていこうと思う!なんかあの人の傍が一番安全な気がしてきた!
樽とダンジョンと俺【終】
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