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37 始まってピシャン
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「このように衆人の中で我が娘を貶めるのは例え殿下と言えやめていただきたいですなあ!」
言葉に詰まるコリアンナ様を庇うように確かに頭髪の侘しい樽体型の壮年の男性が歩み出てきました。きっと彼がセルウィッチ公爵なのでしょう。なんというか目の感じがそっくりです。ちょっと意地悪というか……狐の様につり上がっている所がまた、親子だという事を強く印象付けますね。
「それに良いのですか?婚約破棄などなさって。この年頃の貴族達はほぼ婚約者が決まっております。決まっていないのはよっぽど下位か訳ありですぞ?そんな海とも山とも知れぬものを新たな婚約者に据え、それこそ未来の王妃になどできようはずもない!それならば多少我がままでも我が娘のコリアンナの方が良い、そうではありませんねえ!?」
干上がったおでこをピカン!と光らせながらセルウィッチ公爵は大げさに両手を広げて、取り囲んでいる貴族達に賛同を求めている。小さくだけれど「確かに」「我が家とてもう……」なんて同意する声が聞こえてきているし、確かにそう思う。でも王太子妃となれば昔からの婚約者を捨てる令嬢も現れてもおかしくない気もします。
それに対して殿下は待っていましたとばかりに余裕の笑み。本当に何かの演劇のようです。
「それならば何も問題はないぞセルウィッチ公爵!実力、血筋共に申し分ない令嬢がおる!マリー!マリー・ロンド子爵令嬢!こちらへ!」
やだっ!!対岸の火事が飛び火したわよ!?盛大にっ!!!あり得ないわ!背の高いアイザックさんの後ろに隠れようとしたのに、人垣が割れて隠れる暇がなかったわ!!なんてこと!
「彼女は入学してからこの短期間で素晴らしい成績と、発見を繰り返してる。その功績は王子妃に相応しいと言えよう。シロカイコの宝石糸への関与、ポーション作りによる病人たちへの対応……どれも素晴らしい」
宝石糸は偶然だし、ポーションは部屋が埋まりそうだから配っただけじゃない!何言ってるのかしらっ知ってるくせに!
「し、子爵令嬢……?ジュリアン殿下本気ですか?この国の、一番尊い女性を子爵家から排出させるおつもりか!狂ったとしか思えない!冗談も休み休み言いなされ!この件は仕方がないので聞かなかった事にして差し上げましょうぞ?それが国の為ですからなあ!」
セルウィッチ公爵はお腹をたぷたぷ揺らしながら大笑いしています。まあそれで良いと思います、確かに私は子爵家の長女ですし、王妃様になんてなるつもりもありません。面倒ごとは勘弁ですわと胸を撫でおろそうとしたのに、隣からカッ!といい音を立てて踏み出すお母様がいらっしゃるじゃありませんか!お、お母様!?
「お黙り!ツルピカ樽丸君!」
「な」
酷い声かけですが、お父様がニコニコしながら手を叩いてらっしゃる……!止めて下さいまし!!
言葉に詰まるコリアンナ様を庇うように確かに頭髪の侘しい樽体型の壮年の男性が歩み出てきました。きっと彼がセルウィッチ公爵なのでしょう。なんというか目の感じがそっくりです。ちょっと意地悪というか……狐の様につり上がっている所がまた、親子だという事を強く印象付けますね。
「それに良いのですか?婚約破棄などなさって。この年頃の貴族達はほぼ婚約者が決まっております。決まっていないのはよっぽど下位か訳ありですぞ?そんな海とも山とも知れぬものを新たな婚約者に据え、それこそ未来の王妃になどできようはずもない!それならば多少我がままでも我が娘のコリアンナの方が良い、そうではありませんねえ!?」
干上がったおでこをピカン!と光らせながらセルウィッチ公爵は大げさに両手を広げて、取り囲んでいる貴族達に賛同を求めている。小さくだけれど「確かに」「我が家とてもう……」なんて同意する声が聞こえてきているし、確かにそう思う。でも王太子妃となれば昔からの婚約者を捨てる令嬢も現れてもおかしくない気もします。
それに対して殿下は待っていましたとばかりに余裕の笑み。本当に何かの演劇のようです。
「それならば何も問題はないぞセルウィッチ公爵!実力、血筋共に申し分ない令嬢がおる!マリー!マリー・ロンド子爵令嬢!こちらへ!」
やだっ!!対岸の火事が飛び火したわよ!?盛大にっ!!!あり得ないわ!背の高いアイザックさんの後ろに隠れようとしたのに、人垣が割れて隠れる暇がなかったわ!!なんてこと!
「彼女は入学してからこの短期間で素晴らしい成績と、発見を繰り返してる。その功績は王子妃に相応しいと言えよう。シロカイコの宝石糸への関与、ポーション作りによる病人たちへの対応……どれも素晴らしい」
宝石糸は偶然だし、ポーションは部屋が埋まりそうだから配っただけじゃない!何言ってるのかしらっ知ってるくせに!
「し、子爵令嬢……?ジュリアン殿下本気ですか?この国の、一番尊い女性を子爵家から排出させるおつもりか!狂ったとしか思えない!冗談も休み休み言いなされ!この件は仕方がないので聞かなかった事にして差し上げましょうぞ?それが国の為ですからなあ!」
セルウィッチ公爵はお腹をたぷたぷ揺らしながら大笑いしています。まあそれで良いと思います、確かに私は子爵家の長女ですし、王妃様になんてなるつもりもありません。面倒ごとは勘弁ですわと胸を撫でおろそうとしたのに、隣からカッ!といい音を立てて踏み出すお母様がいらっしゃるじゃありませんか!お、お母様!?
「お黙り!ツルピカ樽丸君!」
「な」
酷い声かけですが、お父様がニコニコしながら手を叩いてらっしゃる……!止めて下さいまし!!
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