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73 全てのもふの幸せを願う俺
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「ジュード」
「ん?」
「まさかとは思うが……そいつは」
ルディが恐る恐ると言った感じで声をかけて来た。どうしたんだろう?
「下がれ、下郎!誰が頭を上げて良いと言った!!」
飽きずに俺を舐め回していたヴォルフが一声叫ぶと、周りがまた少し寒くなる。
「ぐっ!」
何か重い物を乗せられたように、ルディは地面に押し付けられる。何も見えないし、不思議だがヴォルフが何かやったんだろう!
「こらっ!ヴォルフ!お前だろ!ルディを潰すな、俺の仲間なんだぞ!」
ごつん!と頭にゲンコツを落としてやった。うーん、昔と違って俺の拳は小さいし、ヴォルフの頭はデカイからコツン程度だったかもしれないけど
「い、痛いーー!ジュード!痛いー!ごめんよぉー!」
「うわっ!」
子供の時みたいに飛びつかれると、俺が潰れるっつーの!ヴォルフは完全に俺の上に馬乗りになって、またベロベロしてくる。お前本当に反省してんのか!
「ジュード!ああ!ジュード!好き!大好きぃ!」
「お前!いい加減に止めろ!止めろぉ!」
それで俺の横にちょこんと図体のでかくなったヴォルフが座っている。
「それでお前、なんで魔王になんてなっちゃったの?」
「ジュードージュードー。あー小さくなったけど、ジュードはジュードだよなぁ!ちゃんと俺は最初から気づいてたよ!ほんとだよ!」
ゴツン
「話を聞けっ!」
「あーー!痛いー!ジュードに叩かれたぁー!」
って言いながら抱きついて頬擦りしてくるのは何でかな?ヴォルフ君??
「いい加減にしろっ!」
「わー!またジュードに怒られた!」
嬉しそうにすんの止めろ!俺は怒ってるんだぞ!
「なあ、ジュード」
「口を開くな!」
「ぐっ!」
「止めろ!ヴォルフ」
「……はーい」
このワンセット、何回繰り返すのか……。誰かがおれに話しかけると、ヴォルフはそいつを威嚇する。そしてそれを俺が怒って、ヴォルフが反省……したように見えて何も変わらない。
「いいか、ヴォルフ。この人たちは俺の仲間!分かる?仲間!仲間を虐めるな!仲間を虐めるのは良い事か?」
「……ごめんなさい、ジュード」
こうしていると、昔と変わらないな。レリューク以外が俺にくっ付いてるとキャンキャン吠えてうるさかったっけ。
「そうだぞ。全く大きくなってもヴォルフは困った奴だなぁ」
「俺は困った奴なんかじゃないよ!ジュード。俺は良い子だよ!褒めて、撫でて!」
「困った奴だろ?何だよ、魔王って。この辺壊れた家とかばっかりだし、空気は悪いし。お前、毛はゴワゴワだし!何でもふもふしてないんだよ。これだから魔王は最悪だな」
言い切る俺にヴォルフは泣きそうな顔をしているが、俺は騙されないぞ。このゴワゴワ狼め!
「今日から毎日お手入れしてもふもふになるから嫌わないでーー!」
「なら良いぞ」
もふもふは全てを解決して、許すからな!全てのもふに幸あれ!
「ん?」
「まさかとは思うが……そいつは」
ルディが恐る恐ると言った感じで声をかけて来た。どうしたんだろう?
「下がれ、下郎!誰が頭を上げて良いと言った!!」
飽きずに俺を舐め回していたヴォルフが一声叫ぶと、周りがまた少し寒くなる。
「ぐっ!」
何か重い物を乗せられたように、ルディは地面に押し付けられる。何も見えないし、不思議だがヴォルフが何かやったんだろう!
「こらっ!ヴォルフ!お前だろ!ルディを潰すな、俺の仲間なんだぞ!」
ごつん!と頭にゲンコツを落としてやった。うーん、昔と違って俺の拳は小さいし、ヴォルフの頭はデカイからコツン程度だったかもしれないけど
「い、痛いーー!ジュード!痛いー!ごめんよぉー!」
「うわっ!」
子供の時みたいに飛びつかれると、俺が潰れるっつーの!ヴォルフは完全に俺の上に馬乗りになって、またベロベロしてくる。お前本当に反省してんのか!
「ジュード!ああ!ジュード!好き!大好きぃ!」
「お前!いい加減に止めろ!止めろぉ!」
それで俺の横にちょこんと図体のでかくなったヴォルフが座っている。
「それでお前、なんで魔王になんてなっちゃったの?」
「ジュードージュードー。あー小さくなったけど、ジュードはジュードだよなぁ!ちゃんと俺は最初から気づいてたよ!ほんとだよ!」
ゴツン
「話を聞けっ!」
「あーー!痛いー!ジュードに叩かれたぁー!」
って言いながら抱きついて頬擦りしてくるのは何でかな?ヴォルフ君??
「いい加減にしろっ!」
「わー!またジュードに怒られた!」
嬉しそうにすんの止めろ!俺は怒ってるんだぞ!
「なあ、ジュード」
「口を開くな!」
「ぐっ!」
「止めろ!ヴォルフ」
「……はーい」
このワンセット、何回繰り返すのか……。誰かがおれに話しかけると、ヴォルフはそいつを威嚇する。そしてそれを俺が怒って、ヴォルフが反省……したように見えて何も変わらない。
「いいか、ヴォルフ。この人たちは俺の仲間!分かる?仲間!仲間を虐めるな!仲間を虐めるのは良い事か?」
「……ごめんなさい、ジュード」
こうしていると、昔と変わらないな。レリューク以外が俺にくっ付いてるとキャンキャン吠えてうるさかったっけ。
「そうだぞ。全く大きくなってもヴォルフは困った奴だなぁ」
「俺は困った奴なんかじゃないよ!ジュード。俺は良い子だよ!褒めて、撫でて!」
「困った奴だろ?何だよ、魔王って。この辺壊れた家とかばっかりだし、空気は悪いし。お前、毛はゴワゴワだし!何でもふもふしてないんだよ。これだから魔王は最悪だな」
言い切る俺にヴォルフは泣きそうな顔をしているが、俺は騙されないぞ。このゴワゴワ狼め!
「今日から毎日お手入れしてもふもふになるから嫌わないでーー!」
「なら良いぞ」
もふもふは全てを解決して、許すからな!全てのもふに幸あれ!
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