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40 冷たい言葉なんかもう怖くない
「騙されるな! キミヒト。絶対こいつが犯人だ、顔を見れば分かる!」
「そうだ……見損なったぞ、アウラリス! キミヒトが憎いからそいつを雇って襲わせたんだろう! 衛兵っ衛兵はいないか、そいつを捕らえろっ」
ダレンとリズティーアに酷い言いがかりをつけられる……こうなることはわかっていたけれど、私が口を挟まなかったらダズはすぐさま衛兵に引き渡されて犯人に仕立て上げられていたことだろう。そしてこの悪人顔だ……無実は証明できそうもない。
「アウラリスがその子を憎むって? 何故そんなありもしないことを思うんだ? 理解に苦しむね」
「なっ……」
激昂するダレンとリズティーアの頭上から冷や水のようなアロウ様の声がぶちまけられる。
「アウラリスはこの子を憎んだりしないさ。まあ過去に少しそう思った時もあっただろうけど、今は心底どうでもいいだろうしね?」
冷たい声からころりと一転して暖かく私に話しかけてくれる。アロウ様の態度は物凄く周囲にわかりやすい……いや、わかりやすく話しかけるのがすごくお上手な方なんだ。当然、私もアロウ様に笑いかける。
「ええ、どうでもいいです。だってそのおかげでアロウ様と会えましたから……いえ、むしろ感謝しているほどかもしれませんね」
「おっと! そうだったか。じゃあ私も感謝しておかないとなぁ? アウラリスを裏切って、捨ててくれてありがとう」
嫌味な言葉だけれど、私の心はもう冷えなかった。本当にもうどうでも良くなっていたし、本当に暖かい人が隣にいて常に私の心も体も温め続けてくれるんだから何も不安なことはない。
「おい、坊ちゃんの取り巻き。どういうことだよ」
ダズが悪い顔でヨキシャとレンスンに話しかけている。どこからどう見ても悪党の会話に見えるがダズは本気で心配してくれている……顔で損する男だ。
「あーあの状況見えてない貴族の二人は……まぁアウリー……アウラリス様の元義兄と元婚約者なんだよ。でも今はアロウ様が婚約者になって……あの通りものすごーく仲がいいだろ? そう言うこと」
「ダズ、頼むからこの話は皆に広げないでよ? アウリー様が本当は貴族のお坊ちゃんってこと!」
「……アウリーが貴族のお坊ちゃんってことは広げなきゃいいんだな?」
「うん。私達まだまだ修行したいからね」
ニヤリと何の意味も含んでいないんだけど、悪巧みをしていそうな顔をダズはした。
「おう……アウリーのことは、内緒な」
「うん!」
それ以外のことは話していいんだな?! と周りが思い込むような顔……やめてくれ、ダズ。周りにたくさんいる街の人のヒソヒソが止まらないじゃないか……! ヨキシャもレンスンも絶妙に誤解される言い方はやめて欲しかった。
「なんだなんだ?」
「あの悪人顔が犯人に仕立て上げられそうなところをお忍び貴族の可愛い坊ちゃんが助けてくれたようだぞ」
「可愛い坊ちゃん? アウリーちゃんじゃねえか……ああ、内緒なんだっけ」
「どうやらそのアウリーちゃんを裏切った元婚約者が言いがかりつけてんだと」
「あのでかい兄ちゃんはアウリーちゃんの新しい婚約者なんだってよ。仲いいもんなー」
「勘違いしてんのはあっちみたいだぜ。元義兄だってよ、貴族って怖いねぇ」
「でもアウリーちゃんとアロウさんは怖くないぞ、貴族だけど」
「それは内緒なんだぞ」
「あーそっかー」
うううっ……言いたい放題言われている。でもダズを助けてやらなきゃ可哀想だ。アロウ様も同じ気持ちだったから、鮫島君の前に飛び出した私を止めなかったんだ。貴族相手じゃどう見ても悪党顔のダズに勝ち目なんてないからね。
「そ、そんなことないだろう! アウラリスは私とキミヒトを憎んだからあんな賠償金なんて物を課してきたんだろう!? 私を困らせるために……!」
「いえ、真っ当な要求だと思いますが」
むしろあの程度で済ませてやったくらいなのに。リズティーアが睨みつけてくるけれど、何も怖くない。だってアロウ様がぴったり後ろにいてくれるんだから。
「そうだ……見損なったぞ、アウラリス! キミヒトが憎いからそいつを雇って襲わせたんだろう! 衛兵っ衛兵はいないか、そいつを捕らえろっ」
ダレンとリズティーアに酷い言いがかりをつけられる……こうなることはわかっていたけれど、私が口を挟まなかったらダズはすぐさま衛兵に引き渡されて犯人に仕立て上げられていたことだろう。そしてこの悪人顔だ……無実は証明できそうもない。
「アウラリスがその子を憎むって? 何故そんなありもしないことを思うんだ? 理解に苦しむね」
「なっ……」
激昂するダレンとリズティーアの頭上から冷や水のようなアロウ様の声がぶちまけられる。
「アウラリスはこの子を憎んだりしないさ。まあ過去に少しそう思った時もあっただろうけど、今は心底どうでもいいだろうしね?」
冷たい声からころりと一転して暖かく私に話しかけてくれる。アロウ様の態度は物凄く周囲にわかりやすい……いや、わかりやすく話しかけるのがすごくお上手な方なんだ。当然、私もアロウ様に笑いかける。
「ええ、どうでもいいです。だってそのおかげでアロウ様と会えましたから……いえ、むしろ感謝しているほどかもしれませんね」
「おっと! そうだったか。じゃあ私も感謝しておかないとなぁ? アウラリスを裏切って、捨ててくれてありがとう」
嫌味な言葉だけれど、私の心はもう冷えなかった。本当にもうどうでも良くなっていたし、本当に暖かい人が隣にいて常に私の心も体も温め続けてくれるんだから何も不安なことはない。
「おい、坊ちゃんの取り巻き。どういうことだよ」
ダズが悪い顔でヨキシャとレンスンに話しかけている。どこからどう見ても悪党の会話に見えるがダズは本気で心配してくれている……顔で損する男だ。
「あーあの状況見えてない貴族の二人は……まぁアウリー……アウラリス様の元義兄と元婚約者なんだよ。でも今はアロウ様が婚約者になって……あの通りものすごーく仲がいいだろ? そう言うこと」
「ダズ、頼むからこの話は皆に広げないでよ? アウリー様が本当は貴族のお坊ちゃんってこと!」
「……アウリーが貴族のお坊ちゃんってことは広げなきゃいいんだな?」
「うん。私達まだまだ修行したいからね」
ニヤリと何の意味も含んでいないんだけど、悪巧みをしていそうな顔をダズはした。
「おう……アウリーのことは、内緒な」
「うん!」
それ以外のことは話していいんだな?! と周りが思い込むような顔……やめてくれ、ダズ。周りにたくさんいる街の人のヒソヒソが止まらないじゃないか……! ヨキシャもレンスンも絶妙に誤解される言い方はやめて欲しかった。
「なんだなんだ?」
「あの悪人顔が犯人に仕立て上げられそうなところをお忍び貴族の可愛い坊ちゃんが助けてくれたようだぞ」
「可愛い坊ちゃん? アウリーちゃんじゃねえか……ああ、内緒なんだっけ」
「どうやらそのアウリーちゃんを裏切った元婚約者が言いがかりつけてんだと」
「あのでかい兄ちゃんはアウリーちゃんの新しい婚約者なんだってよ。仲いいもんなー」
「勘違いしてんのはあっちみたいだぜ。元義兄だってよ、貴族って怖いねぇ」
「でもアウリーちゃんとアロウさんは怖くないぞ、貴族だけど」
「それは内緒なんだぞ」
「あーそっかー」
うううっ……言いたい放題言われている。でもダズを助けてやらなきゃ可哀想だ。アロウ様も同じ気持ちだったから、鮫島君の前に飛び出した私を止めなかったんだ。貴族相手じゃどう見ても悪党顔のダズに勝ち目なんてないからね。
「そ、そんなことないだろう! アウラリスは私とキミヒトを憎んだからあんな賠償金なんて物を課してきたんだろう!? 私を困らせるために……!」
「いえ、真っ当な要求だと思いますが」
むしろあの程度で済ませてやったくらいなのに。リズティーアが睨みつけてくるけれど、何も怖くない。だってアロウ様がぴったり後ろにいてくれるんだから。
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