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74 フィーラ行き超特急
しおりを挟む急ぎの旅程らしいが、夜はかなり良い宿への宿泊が用意されていて、休憩も兼ねて揺れない場所へ足をつけるのは嬉しい。
「うっ……へ、へっくしゅん!」
「うへ、レンスン風邪かぁ? うつすなよ?!」
「うう~! なんだか急にブルブルって来たぁ」
馬車から先にヨキシャとレンスンが出たが直後にレンスンは大きなくしゃみをした。
「馬車の中が暖かかったからかな? アウリー、上着を羽織って行こう」
「はい、アロウ様」
手荷物の中からフード付きの上着をアロウ様は取り出し、私にかけてくれた。暖かい上にふわふわの手触りのフード付きのポンチョみたいな上着はちょっと可愛すぎるかな? と思うけれど、皆が似合うっていうし、何よりアロウ様が気に入っているらしく……そういう物を身につけるのは悪くないなぁって思っている。
心配だからと、ふわふわの毛皮がついたフードまでしっかり目深に被せられる……顔にかかる部分が少しくすぐったい。
「アウリー、手を」
「はい!」
いつの間にか先に馬車を降りたアロウ様に手を引かれ、地面に着地した。フードで視界は少し遮られるけど、何の問題もない。
「寒くないですね?」
「そうだな寒さは感じないね……レンスン、大丈夫か?」
「ううーん? 私も寒い訳じゃないんですけどぉ……ひぇっくしゅん!!」
「おいおい~気をつけろよぉ」
「うう~なんだろー」
むしろ暖かい気がするけれど、なにか寒気を感じるらしくレンスンはくしゃみを何度も繰り返す。風邪じゃなきゃいいな……。
レンスンのくしゃみは宿に入ると止まったので、一安心だった。
「すみません! 銀の狐亭の焼き芋サラダを食べに行っても良いですか?!」
「申し訳ございません。銀の狐亭はここから少し離れている為、難しいですね」
「そ、そんなぁ~~」
宿に入ると、フィーラから護衛でやってきた騎士の方にレンスンは交渉していたけれど、許可は貰えなかった。風邪っぽかったのは気のせいなのか、くしゃみや咳は出なかったようだ。
「モンティ様がおいしくて15皿食べて伝説を作ったって聞いたのにぃ!」
「ああ、モンティ姉上ならやりかねんなぁ。そうだな、帰り道ならゆっくりできるだろう。その時寄るとしよう」
「やったぁ! 絶対ですよ、アルバルストさま! アウラリス様も絶対焼き芋サラダを食べましょう!」
「ふふっそうだね、モンティ義姉上がそんなに気に入ったのなら私も食べてみたいよ。アロウ様は食べたのですか?」
「いや……私はサラダは甘くない方が好みかな?」
「そうなんですね!」
宿泊宿の料理も美味しかったし、お部屋もとてもきれいで良い宿だった。
「すみません……急かしてしまって」
「仕方あるまい、シュバル兄上も一度決めたら動かんお方だ。早く会ってやらねば、大臣達は青息吐息であろうさ」
「はい……急げと最速の手紙まで届きまして……アウラリス様とご友人には本当にご迷惑をお掛けしております」
「大丈夫ですよ! な、レンスン」
「はい~! 帰りの楽しみにしますぅ」
本当に申し訳なさそうな騎士達に私達も同情するしかない。朝に馬車に乗り込むとさらにスピードが上がっている……よっぽどなんだろうなぁ。
「レンスン、調子どう?」
「んー……全然平気です! 朝ごはんも美味しかったしー、何だったんでしょう?」
「ま、平気ならいいんじゃないか? 気をつけて行こうぜ」
「そだね、国王様の前で鼻水垂らしたくないや!」
皆で笑い合い、馬車はフィーラへ超特急で向かって行った。私もアロウ様のお兄様に会う時に悪体調の変な顔でご挨拶なんて無様な事にならないように気をつけようと思う。
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