【完結】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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122 もちろんですとも

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「あ、あの」
「大丈夫です、完璧です」
「で、でも」
「いつも以上に可愛らしいです」
「だって」
「では、私達は失礼しますね」
「あ」

 我が家なんだけど、私の部屋でもなく、アロウ様の部屋でもない……いつもは使わない客室の、しかも少し離れた場所にある部屋。中はほとんど白い布で飾り付けられ、花なんかも生けてあって……。

「わ、わあ……」

 恥ずかしさで顔を覆ってみても、どこからどうみても初めての夜を過ごす部屋そのものだった。それに自分の姿を直視するのも恥ずかしい。

「ひぇえ……」

 メイドが張り切って着替えさせくれた夜着は……もう、レースのスケスケで、髪の毛には花まで数輪挿してある……。そ、そうなんだけど分かってるけど、大きくて頑丈でも華やかなベッドの縁にちょこんと腰掛け、何だか目が回って倒れそうな気すらしてくる。

「こ、これから……あのその……うわぁ」

 想像してもよく分からない想像を打ち消したり、また考えたり。ベッドサイドのテーブルの上にドンと置かれた黒い鞄を持ち上げたり、置いたり。他の人が見たら不審な行動を繰り返す。コンコンと控えめなノックの音が聞こえた時には飛び上がってつい、ベッドの中に鞄を隠して、驚いた声で返事をしてしまったけれど、誰も笑わないでほしいと思う。

「ひ、ひゃいっ!!」
「……アウリー……」
「ひひひひひゃいっ!!」

 ドキンと心臓が跳ねてそのまま口から飛び出してくるかと思った。きっと私が会場から無理矢理出された後、アロウ様もすぐにヨキシャとレンスンに押されながらメイド達に支度をさせられたんだろう。間違いなくお風呂上がりだ……何だかいつもに増してかっこいいなぁ。

「アウリー……凄い」
「えっ……そ、そんなこと……」

 アロウ様の視線がこの色々と見えちゃってるスケスケを捉えているのは分かるけれど、何故かアロウ様は扉の前から動かない。ぱたんと後ろで扉は閉まったのに、そのまま立ちっぱなしだ。

「あ、あの……」

 横を向いてしまったアロウ様。不安が黒雲のように広がった。もしかしてこう言うのは好きじゃない? 似合ってない? 私、失敗したの?! 悲しくなって顔が歪む前に、苦しげな呻きが聞こえた。

「くっ……駄目だアウリー、可愛すぎる! このままでは色々自制が効かない。アウリーを傷つけてしまいそうだ……一回出直してくる」
「えっ! そ、そんな! わ、私は大丈夫ですから……っ」

 出直すって何なんだ?! 私はここに一人で残されるのか? そ、そんなの嫌だ!結婚して初めての夜が一人なんて嫌だ!

「でも、アウリー。私はーー」
「大丈夫っ! ですからーーっ!」

 ばっとついさっき隠してしまった黒い鞄を取り出してアロウ様に突き付けてしまった。

「そ、それは……!」
「だ、だいじょうぶ……らしい、デス……」
「あ、兄上達から……その、聞いた、よ」
「あ、はひ……」

 顔に熱が集まって多分真っ赤になったと思う。口調もなんだかおかしくなって、カタコトになって……まっすぐ見ることが出来ないけれど、アロウ様も耳まで赤くなっているから、この鞄の中身が何でどう言うことに使うのが聞き及んでいるんだろう。

「ち、近くに……寄っても?」
「も、もちろん、デス」

 右手と右足が一緒に出ている気がするけれど、アロウ様がゆっくりやってくる。私の心臓はもう早鐘なんてレベルじゃない。

「と、隣にす、座っても?」
「も、もちろんデストモ!」

 私も緊張しているけれど、アロウ様もガチガチだ。いつもはこんな断りもせずに隣に座るのに、今日は特別だ。

「だ、抱きしめても、イイデスカ……」
「も、もちろん、デス!」

 ゆっくり手を伸ばしてお互いの体を抱きしめる。ぎゅっと埋まった温かい胸の奥が私と同じにドキンドキンと跳ねていて、そのリズムも一緒で嬉しくなる。

「あ、あのね、アウリー」
「なんでしょうか?」

 何を聞かれるのか少し不思議だったけれど、それが知りたくて仕方がない。

「あ、愛しても良いでしょうか……?」

 すぐに答えなくちゃ。だって答えはもう決まってるんだから迷う必要なんてない。

「もちろんですとも!」
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