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7周目 人間をやめるぞおおおお?
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「アルトゥス、こちらへ」
「はい、テリオス様」
あの時から俺の中の常識がいくつか塗り変わった。塗り変わった、違うと分かるのに、それで良いと思わせる強制力が働くんだ。何日かその恐怖と戦ったが、俺の頭は悲鳴を上げ、降参した。
それからは楽になった。
テリオス様に逆らってはいけない。ご主人様だから。俺はテリオス様の後ろを着いて歩く。
テリオス様は存在が吸血鬼の頂点である神祖様に近くなったので、昼間の太陽の下を歩いてもなんの問題もないのだ。
屋敷の巨大な薔薇園の散歩に付き添っている。と言うか、俺はテリオス様から離れてはいけないんだ。テリオス様の御意向で俺は人間のままだったから。
「ふふ、アルトゥスを眷属に加えても良いのですが、そうすると昼間の散策はできなくなってしまいますからね」
「そうですね、俺では塵になってしまいます」
「貴方が老いさらばえるそれまでの間は人間でいてもらいましょう。それと例の件、やっと整いました。良いですね」
いやだな、テリオス様。俺が断るとでも思っているんだろうか?
「勿論ですよ、テリオス様。ああ、俺も貴方の子供を産めるんですね、嬉しいなあ。子供を産まないとレベルは跳ね上がりませんからね」
嬉しい訳がないのだし、方法も最悪なんだ。人間の女の人を攫ってきて、その、中身を俺に移植するとか言うのだ。やめろ気持ち悪い!とんでもない話なのだが、それは塗り替わる。だって仕方がないじゃないか?俺は男で子供は産めない。テリオス様のレベルは1500くらいに到達してしまって、毎日抱かれてもこれ以上あまり上がらなくなってしまったのだ。
この壁を越えたのは……グラムとアウラー。多分俺が子供を産むことが条件になっていそうだ。
「そうですね、今でも敵対する者はそういないのですけれど、どこまで強くなるのかという事に興味はあります」
俺もテリオス様がどこまで強くなるのか見てみたい。テリオス様は強い。でも俺は大きな屋敷に住みたくなかったので、初めて会ったあの村の小さな屋敷に住んでいる。もっともっと大きい家に住むこともできるけれど、ここがいいって言ったんだ。
あとテリオス様以外の吸血鬼は相変わらず怖いから、交流とかしたくないし。テリオス様も俺を他の奴らに見せるのはあまり積極的じゃなかったしね。
「アルトゥス」
「はい」
呼ばれて答える。恐怖の美貌の主から恐怖を取ったら、ただただ美しい人がいて、その人が俺を呼んでくれる。俺はこの人が好きだ。この気持ちは本当か塗り替えられた物か知らないが、それでも好きなんだ、愛している。この人の為になら何でもできる。だからこの人の為に誰かを犠牲にすることも、俺は選んでしまえるんだ。
差し出された左手に、自分の右手を重ねてしまう。まるで淑女をエスコートするようで俺はちょっと嫌な気持ちになるが、それでもその先で美しく微笑むテリオス様がいるから、俺は笑ってこの人の要望に応えたいんだ。
「はい、テリオス様」
あの時から俺の中の常識がいくつか塗り変わった。塗り変わった、違うと分かるのに、それで良いと思わせる強制力が働くんだ。何日かその恐怖と戦ったが、俺の頭は悲鳴を上げ、降参した。
それからは楽になった。
テリオス様に逆らってはいけない。ご主人様だから。俺はテリオス様の後ろを着いて歩く。
テリオス様は存在が吸血鬼の頂点である神祖様に近くなったので、昼間の太陽の下を歩いてもなんの問題もないのだ。
屋敷の巨大な薔薇園の散歩に付き添っている。と言うか、俺はテリオス様から離れてはいけないんだ。テリオス様の御意向で俺は人間のままだったから。
「ふふ、アルトゥスを眷属に加えても良いのですが、そうすると昼間の散策はできなくなってしまいますからね」
「そうですね、俺では塵になってしまいます」
「貴方が老いさらばえるそれまでの間は人間でいてもらいましょう。それと例の件、やっと整いました。良いですね」
いやだな、テリオス様。俺が断るとでも思っているんだろうか?
「勿論ですよ、テリオス様。ああ、俺も貴方の子供を産めるんですね、嬉しいなあ。子供を産まないとレベルは跳ね上がりませんからね」
嬉しい訳がないのだし、方法も最悪なんだ。人間の女の人を攫ってきて、その、中身を俺に移植するとか言うのだ。やめろ気持ち悪い!とんでもない話なのだが、それは塗り替わる。だって仕方がないじゃないか?俺は男で子供は産めない。テリオス様のレベルは1500くらいに到達してしまって、毎日抱かれてもこれ以上あまり上がらなくなってしまったのだ。
この壁を越えたのは……グラムとアウラー。多分俺が子供を産むことが条件になっていそうだ。
「そうですね、今でも敵対する者はそういないのですけれど、どこまで強くなるのかという事に興味はあります」
俺もテリオス様がどこまで強くなるのか見てみたい。テリオス様は強い。でも俺は大きな屋敷に住みたくなかったので、初めて会ったあの村の小さな屋敷に住んでいる。もっともっと大きい家に住むこともできるけれど、ここがいいって言ったんだ。
あとテリオス様以外の吸血鬼は相変わらず怖いから、交流とかしたくないし。テリオス様も俺を他の奴らに見せるのはあまり積極的じゃなかったしね。
「アルトゥス」
「はい」
呼ばれて答える。恐怖の美貌の主から恐怖を取ったら、ただただ美しい人がいて、その人が俺を呼んでくれる。俺はこの人が好きだ。この気持ちは本当か塗り替えられた物か知らないが、それでも好きなんだ、愛している。この人の為になら何でもできる。だからこの人の為に誰かを犠牲にすることも、俺は選んでしまえるんだ。
差し出された左手に、自分の右手を重ねてしまう。まるで淑女をエスコートするようで俺はちょっと嫌な気持ちになるが、それでもその先で美しく微笑むテリオス様がいるから、俺は笑ってこの人の要望に応えたいんだ。
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