【完結】尻神様が降臨なされた。BL世界を何周もする俺の尻はミラクル!

鏑木 うりこ

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10周目 「何も持たない」魔王

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「くるしいよ、グラニ」

「アルトゥス!アルトゥス!うええええ……」

 3つあった首の真ん中の一番人の顔っぽかった奴の額がメリッと割れてそこから人間のグラニが落ちて来た。
 俺にぎゅっと抱きついて、ぎゅうぎゅう締め上げるもんだからくるしいんだ。

「寂しかったのか?グラニ」

「うえええ……うええ……ざびじがっだぁーー!」

「ごめんね?」

「うええええ……!!」

 素っ裸なグラニは俺にしがみついて泣いている。しょうがない奴だ。周りはぽかーんと口を見ているけど。おいおい……一番俺のことをわかってるメグちゃんがやっぱり一番先に気がついて俺の欲しい物を持って来てくれた。

「とりあえずマントでよろしいでしょうか」

「ありがと、メグちゃん。グラニのお尻隠して上げて?」

 尻は俺の専売特許だからな……そんな特許要らないけどね。

「アルトゥスぅぅうーー!うわーぁーーん!」

「うんうん、俺はここにいるよ。大丈夫だよ」

 メグちゃんは気を遣って下がって行った。遠巻きにチラチラ扉から見ている人もいるが、ほとんどこれからのたくさんあるであろう仕事に備えて忙しく動き始めた。やる事は山積みだろうな~何せ外にはまだグラニが着ていた(?)化け物の着ぐるみ(??)も落ちているからね。

 日が暮れ始めた所で、俺はずっと縋り付いてめそめそ泣いているグラニに声をかける。

「俺、お腹空いた。一緒にご飯を食べよう」

 グラニは小さな子供の様にこくんと頷く。魔王陛下かたなしだけど、素直なグラニはとても可愛いと思う。背の低い俺がグラニの手を引いて立ち上がらせるととメグちゃんが夕食の入ったワゴンを押してやってくる。凄いタイミング。

「お食事の用意が出来ていますよ。アルトゥス様」

「あと、グラニに服をちょうだい」

「畏まりました」

 やっぱりメグちゃんはわかっていて、簡素な服を持ってきてくれる。魔王陛下を感じさせない、簡単な服だ。今のグラニに陛下っていう言葉はちょっと重いだろうな、あーメグちゃん最高だ~。

「ほら、グラニ。服きよう?」

「うん……」

 俺とメグちゃんが手伝って服を着せ、そんなに豪華ではない食事が小さなテーブルの上に置かれている。やっぱりメグちゃん、分かってる。

「おかわりが必要でしたらお呼びくださいね」

「うん」

 グラニと俺はピッタリくっついて椅子を並べ、パンを齧る。

「パン食べるの久しぶりーグラニは?」

「……俺も……」

 そか、それだけ答えた。とろりとしたスープはとても質が良くて、料理人が丹精込めて作った物だろうが、それが簡素な皿に盛られている。質素そうに見えて贅沢なお食事。ごめんね、色々注文つけて。もうちょっとしたらちゃんとさせるからね。

「グラニもいる?」

「アルトゥスが食べるなら」

「俺ねーパンに染み込ませて食べるの好きだなー」

「……ガキの頃やってた」

 そうだね、魔王陛下になってからはやらないだろうね。行儀がいいとは言えないもんね。

「ミルクは?」

「アルトゥスが飲むなら」

「俺は飲むよ!背が伸びるもん」

 俺たちは他愛もない話をたくさんたくさんした。その間もグラニはずっと俺の手を握って、小さく震えていた。
 ごめんな、俺の泣き虫魔王様。もう大丈夫だからね?

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