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10周目 「何も持たない」魔王
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「駄目だ眠い」
「寝ないで!」
「無理、寝る、無理、無理ぃ……」
「寝ないでぇーーー!」
俺は寝不足だ。グラニが俺が寝ようとすると、揺すって起こしてくるからだ。無理、無理です。
「ちゃんと起きるから、大丈夫だから、眠らせてぇ……」
「嫌だー!」
大丈夫、今度は寝たきりにならないから……。しばらくの間、俺は安眠出来なかった。寝てもすぐ起こされるし、散々だけれど、まあしょうがないかと諦めた。俺がまた眠りっぱなしになる事が怖くて怖くて仕方がないんだろう、でも人間には限界というものがあるんです……ぐー……。
「グラニ、あの化け物スタイルどうしたの?」
「知らない。気がついたらああなってた」
グラニは俺から離れない。離れない所かしがみついている。
「ま、魔王陛下……」
部下らしき人に話しかけられるも、ギリッ!とひと睨みで吹っ飛ばしてしまった。いや目力で人を飛ばしちゃいかんだろう。
「こら!話しかけられただけで人を吹っ飛ばしたら駄目だろう?!何か用事があったんだろ?」
「俺にはない!」
俺はゴツンとグラニにゲンコツを落とす。幼児化してるグラニを躾けるのは俺の仕事みたいだ。
「メグちゃん、簡単な事なら出来そうだけど、難しい事は無理だ。メグちゃんが仕分けてくれない?」
「かしこまりました、アルトゥス様」
俺の膝にくっついて猫みたいになっているけれど、グラニは魔王だ。この辺一帯をぐちゃぐちゃにしたのもグラニなんだから、仕事しない訳にはいかないぞ?
「グラニー?いつから仕事してないのー?」
「分かんない。アルトゥスが起きるまで、悲しくて苦しくて寂しくてイライラして、壊して……色々したけど、仕事はしてない」
「年単位か……」
俺のせいじゃないけど、俺のせいでもあるのか、頑張ろう。グラニが魔王グラニェールの顔を取り戻すまで、まだまだかかりそうだ。
もうしばらく泣き虫グラニちゃんて居させてやろうかな?
「アルトゥスー!」
「はいはい」
それでも厚く垂れ込めていた暗雲は薄まり、隙間から日差しが差し込まれる。
できることからやっていこう。
「まずはメグちゃんの怪我をなんとかしないと」
「魔物を組み込んだこの体は丈夫ですから、しばらくすれば治りますよ」
「組み込んだ?!どういう事??」
聞けば俺の世話をする為に人間でいる事を辞めたらしい!ご、ごめんね、メグちゃん……。
「でも目も見えるようになりましたし!私がアルトゥス様から離れたくなかったんです。謝らないでくださいませ」
「……分かった」
本意にしろ、不本意にしろもうそうなってしまったんだから、仕方がない。この後どうするか、どうしたらメグちゃんが幸せになれるかそれを考えることにしよう。
「それで此処はどこ?俺の居た国?」
メグちゃんは一瞬グラニを見てから、少し言いづらそうにして
「あの国ではありません。……あの国は、その、アルトゥス様が起きなかったので初日に……消えまして……」
「消えた」
まだ俺にしがみついているグラニを見る。目が合うとにこっと笑った。まだ頭の中身は幼児化したままのようだ。
「はい、アルトゥス様の部屋を残して、消し飛びました」
「消し飛んだ」
私と数人の部屋にいた侍女以外、見渡す限りえぐれた岩地に変わっておりました、と冷めた目でグラニを見つめるメグちゃん。やり過ぎだろう!?グラニ!
「ここは元フィオルと言う国であったそうです。私達が知っている地図にすら乗っていなかったほど、遠くでございますが、気候は似ておりました」
なるほど。元の気候に戻れば住みやすいかもね……元に戻ればね?!
「寝ないで!」
「無理、寝る、無理、無理ぃ……」
「寝ないでぇーーー!」
俺は寝不足だ。グラニが俺が寝ようとすると、揺すって起こしてくるからだ。無理、無理です。
「ちゃんと起きるから、大丈夫だから、眠らせてぇ……」
「嫌だー!」
大丈夫、今度は寝たきりにならないから……。しばらくの間、俺は安眠出来なかった。寝てもすぐ起こされるし、散々だけれど、まあしょうがないかと諦めた。俺がまた眠りっぱなしになる事が怖くて怖くて仕方がないんだろう、でも人間には限界というものがあるんです……ぐー……。
「グラニ、あの化け物スタイルどうしたの?」
「知らない。気がついたらああなってた」
グラニは俺から離れない。離れない所かしがみついている。
「ま、魔王陛下……」
部下らしき人に話しかけられるも、ギリッ!とひと睨みで吹っ飛ばしてしまった。いや目力で人を飛ばしちゃいかんだろう。
「こら!話しかけられただけで人を吹っ飛ばしたら駄目だろう?!何か用事があったんだろ?」
「俺にはない!」
俺はゴツンとグラニにゲンコツを落とす。幼児化してるグラニを躾けるのは俺の仕事みたいだ。
「メグちゃん、簡単な事なら出来そうだけど、難しい事は無理だ。メグちゃんが仕分けてくれない?」
「かしこまりました、アルトゥス様」
俺の膝にくっついて猫みたいになっているけれど、グラニは魔王だ。この辺一帯をぐちゃぐちゃにしたのもグラニなんだから、仕事しない訳にはいかないぞ?
「グラニー?いつから仕事してないのー?」
「分かんない。アルトゥスが起きるまで、悲しくて苦しくて寂しくてイライラして、壊して……色々したけど、仕事はしてない」
「年単位か……」
俺のせいじゃないけど、俺のせいでもあるのか、頑張ろう。グラニが魔王グラニェールの顔を取り戻すまで、まだまだかかりそうだ。
もうしばらく泣き虫グラニちゃんて居させてやろうかな?
「アルトゥスー!」
「はいはい」
それでも厚く垂れ込めていた暗雲は薄まり、隙間から日差しが差し込まれる。
できることからやっていこう。
「まずはメグちゃんの怪我をなんとかしないと」
「魔物を組み込んだこの体は丈夫ですから、しばらくすれば治りますよ」
「組み込んだ?!どういう事??」
聞けば俺の世話をする為に人間でいる事を辞めたらしい!ご、ごめんね、メグちゃん……。
「でも目も見えるようになりましたし!私がアルトゥス様から離れたくなかったんです。謝らないでくださいませ」
「……分かった」
本意にしろ、不本意にしろもうそうなってしまったんだから、仕方がない。この後どうするか、どうしたらメグちゃんが幸せになれるかそれを考えることにしよう。
「それで此処はどこ?俺の居た国?」
メグちゃんは一瞬グラニを見てから、少し言いづらそうにして
「あの国ではありません。……あの国は、その、アルトゥス様が起きなかったので初日に……消えまして……」
「消えた」
まだ俺にしがみついているグラニを見る。目が合うとにこっと笑った。まだ頭の中身は幼児化したままのようだ。
「はい、アルトゥス様の部屋を残して、消し飛びました」
「消し飛んだ」
私と数人の部屋にいた侍女以外、見渡す限りえぐれた岩地に変わっておりました、と冷めた目でグラニを見つめるメグちゃん。やり過ぎだろう!?グラニ!
「ここは元フィオルと言う国であったそうです。私達が知っている地図にすら乗っていなかったほど、遠くでございますが、気候は似ておりました」
なるほど。元の気候に戻れば住みやすいかもね……元に戻ればね?!
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