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10周目 「何も持たない」魔王
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「しかし、こんな情けない奴と恋愛?ゲームをして楽しかったのか?」
ちょっと離れると泣きながら俺を探して飛びついてくるし、鼻水は垂らしてるし。全然「魔王陛下」じゃない。
「アルトゥス様がお産まれになる前に、私が伝え聞いていた話ではまさに魔王と言った感じでしたね」
力で人間達を従えていたとか、魔族や魔獣を使っていたとか。まだ包帯は巻かれているけれど、メグちゃんの怪我は日に日に回復していっている。
「アルトゥス様が眠っていらっしゃる間はそれはそれは酷いもので、人間だろうが、獣だろうが、魔族だろうが、魔獣だろうが分け隔てなく殺戮してましたね」
「そして、今は鼻水垂らしてる……」
「アルトゥスが起きないのが悪いんだ」
おっと?!俺のせい?!仕方がないだろう?なんか狭間の世界?とかでジェリフとイチャイチャしていた……うん、なんかごめん。
俺が毎日ちゃんと起きて、ちゃんと傍にいる所に慣れて来てやっとグラニェールは鼻水を垂らさなくなった。
「グラニはどうして魔王になったの?」
「……気がついたらなってたんだ」
グラニェールは魔族に捕まって奴隷にされた人間の子供として生まれたようだった。
「たくさん子供はいた、ほとんど死んでいったがな。その中でも俺は生き残ったのが奇跡だった」
劣悪な環境、弱い体。
「何もなかった。でも生き抜いた。生きて生きて生き抜いて。気がついたら魔族すら狩れるようになっていた」
自分達を無慈悲に扱い続けた魔族をグラニェールは殺し回ったそうだ。殺して、殺して、殺して、そして気が付いた。
「今度は魔族の力も使えるようになっていた。俺はどうやら他のやつから力や能力を奪える力を持っていたんだ」
グラニェールの殺戮は止まらず、更に力は増して行く。
「俺の力は強くなっていった。それなのに、俺はどんどん孤独になっていったんだ。寂しくて悲しくて、奪っても奪っても1人だった」
その悲しさを埋める為に戦った。戦いとは呼べなかったようだ、一方的な暴力。
「闇に沈み、何も分からなくなる寸前にぽとりと小さな粒が上から落ちてきた。神というものが俺に向かって何か落としたんだ」
粒?粒ってなんだ??
「その粒はすぐに消えてしまった。でも神はまた粒を落とした。すぐ消えるのを何度も何度も繰り返した。そのうち、それが人間の赤ん坊だと言うことに気がついた。神が俺にこの子供を与えようとしているって」
あ、俺か!俺、粒だったんだ!
「キラキラした粒はすぐに消えるんだ。だから、生まれ落ちた瞬間に迎えに行ってもやっぱり消えていて」
あー……何度も送り返されたからなー。その度にグラニェールは俺を探しに来てたんだ。
「探して探して……でも捕まえられなくて……。やっと生きて見つけたのがアルトゥスだったのに……起きなくなるなんて」
きっと妹達のせいだな、俺のせいじゃないやい!
「折角、俺の為に贈ってくれたのに、神はまた取り上げるのか?もう神を殺そうと、気がついたらあんな化け物の中にいたよ」
妹!お前、ギリギリセーフだよ!グラニェールがお前の家で暴れる寸前だったじゃないか!
《生化けグラニ……旨し……!》
ん?!今のチュートリアルっぽい奴、妹じゃない!あれか?!ミク山先生か!
マニアックすぎるぞ!
「そ、そうか……」
もうそれしか言えないよね。
ちょっと離れると泣きながら俺を探して飛びついてくるし、鼻水は垂らしてるし。全然「魔王陛下」じゃない。
「アルトゥス様がお産まれになる前に、私が伝え聞いていた話ではまさに魔王と言った感じでしたね」
力で人間達を従えていたとか、魔族や魔獣を使っていたとか。まだ包帯は巻かれているけれど、メグちゃんの怪我は日に日に回復していっている。
「アルトゥス様が眠っていらっしゃる間はそれはそれは酷いもので、人間だろうが、獣だろうが、魔族だろうが、魔獣だろうが分け隔てなく殺戮してましたね」
「そして、今は鼻水垂らしてる……」
「アルトゥスが起きないのが悪いんだ」
おっと?!俺のせい?!仕方がないだろう?なんか狭間の世界?とかでジェリフとイチャイチャしていた……うん、なんかごめん。
俺が毎日ちゃんと起きて、ちゃんと傍にいる所に慣れて来てやっとグラニェールは鼻水を垂らさなくなった。
「グラニはどうして魔王になったの?」
「……気がついたらなってたんだ」
グラニェールは魔族に捕まって奴隷にされた人間の子供として生まれたようだった。
「たくさん子供はいた、ほとんど死んでいったがな。その中でも俺は生き残ったのが奇跡だった」
劣悪な環境、弱い体。
「何もなかった。でも生き抜いた。生きて生きて生き抜いて。気がついたら魔族すら狩れるようになっていた」
自分達を無慈悲に扱い続けた魔族をグラニェールは殺し回ったそうだ。殺して、殺して、殺して、そして気が付いた。
「今度は魔族の力も使えるようになっていた。俺はどうやら他のやつから力や能力を奪える力を持っていたんだ」
グラニェールの殺戮は止まらず、更に力は増して行く。
「俺の力は強くなっていった。それなのに、俺はどんどん孤独になっていったんだ。寂しくて悲しくて、奪っても奪っても1人だった」
その悲しさを埋める為に戦った。戦いとは呼べなかったようだ、一方的な暴力。
「闇に沈み、何も分からなくなる寸前にぽとりと小さな粒が上から落ちてきた。神というものが俺に向かって何か落としたんだ」
粒?粒ってなんだ??
「その粒はすぐに消えてしまった。でも神はまた粒を落とした。すぐ消えるのを何度も何度も繰り返した。そのうち、それが人間の赤ん坊だと言うことに気がついた。神が俺にこの子供を与えようとしているって」
あ、俺か!俺、粒だったんだ!
「キラキラした粒はすぐに消えるんだ。だから、生まれ落ちた瞬間に迎えに行ってもやっぱり消えていて」
あー……何度も送り返されたからなー。その度にグラニェールは俺を探しに来てたんだ。
「探して探して……でも捕まえられなくて……。やっと生きて見つけたのがアルトゥスだったのに……起きなくなるなんて」
きっと妹達のせいだな、俺のせいじゃないやい!
「折角、俺の為に贈ってくれたのに、神はまた取り上げるのか?もう神を殺そうと、気がついたらあんな化け物の中にいたよ」
妹!お前、ギリギリセーフだよ!グラニェールがお前の家で暴れる寸前だったじゃないか!
《生化けグラニ……旨し……!》
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「そ、そうか……」
もうそれしか言えないよね。
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