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困った
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どうやって殿下との結婚話から逃げようかと自室で策を巡らせていたら、扉をノックする音が聞こえた。
「ヴィヴィ、少しいいか? 話をしたい」
フィル兄様の声だ。
私は扉を少し開けて顔を出した。
「結婚の話ですか? 私の気持ちは変わりませんよ」
「とにかく話をしたい。中に入れてくれないか?」
仕方がない。
私は大きなため息をついて、フィル兄様を部屋に入れた。
「クロエ、お茶をいれてくれないかしら?」
クロエにお茶の用意をしてもらう。
「どうぞ、お掛けになって」
フィル兄様に椅子をすすめ、私も座った。
「先程も申しましたが、殿下と結婚するつもりはありませんわ」
とりあえず私は結論をぶつける。
「わかっている。しかし、なぜそこまで嫌がるんだ。殿下がそんなに嫌いなのか?」
フィル兄様は私の顔をのぞきこむ。
クロエがお茶を入れてくれたのでひと口飲んだ。
「殿下のことは好きも嫌いもありませんわ。まだ一度しかお会いしておりませんし、何年も手紙のやりとりをしたとはいえ、殿下とは思っておりませんでしたもの。殿下とジェフ様が同一人物と言われても、混乱しており、にわかには信じられません」
私は一気に思っていることを告げた。
「ヴィヴィと殿下がどんな内容です手紙のやりとりをしていたかは知らないが、きっと手紙の中の殿下は素の殿下だと思う」
確かにそうかもしれないと私も思う。
ジェフ様から手紙がくるのを私は楽しみにしていたし、ほのかに恋心を抱いていた。
前世でもまともに恋などした事はない。
35歳まで色恋とは無縁だった。ただただ忙しい人生だった。
今世では、ゆっくりのんびりぐうたら生きたい。そこに恋することは含まれていなかった。
公爵令嬢だし、きっと政略結婚で嫁がされる。でも、うちよりも爵位の低い家に嫁ぐ事になるだろうし、愛の無い相手に嫁いでもぐうたらするつもりでいた。
王太子妃なんかになったらぐうたらできない。毎日前世と変わらないくらい忙しくなる。
私はまた大きなため息をついた。
「お嬢様、殿下がお見えになっておりますが、いかがいたしましょう」
家令のルーカスが伝えに来た。
会いませんと言おうとしたら、フィル兄様が「通して」と告げた。
「会いたくありません」
私はフィル兄様を睨んだ。
「会ってちゃんと話をしなきゃダメだよ。私も立ち会うし、ヴィヴィの気持ちを伝えて、殿下の話も聞いてみなさい」
フィル兄様は珍しく高圧的に私に言った。
「わかりました。クロエ、殿下の分もお茶を用意してちょうだい」
クロエにお茶の用意を頼み、殿下の到着を待った。
「ヴィー、やっと会えた」
「お越しいただきありがとうございます。王太子殿下におかれましては……」
「堅苦しい挨拶はいい」
挨拶を遮られた。
「ヴィー、会いたかった」
殿下は切なそうな顔をしている。それを見ていると私も苦しくなってきた。
「申し訳ございません。やはり殿下とは結婚できません」
そう告げると私は後ろを向いた。
後ろから殿下の声が聞こえる。
「理由を聞かせてほしい。私が嫌いか? 私がそんなに嫌か?」
「殿下が嫌いとかそういうわけではありません」
「では、どういう理由だ。頼む、本当の事を言ってほしい」
本当の事を言ってほしいと言われても、王太子妃になったらぐうたらできないからだなんて言えない。
だんだん真面目に私と結婚したいと言ってくれている殿下に対して申し訳なくなってきた。
「ヴィヴィ、少しいいか? 話をしたい」
フィル兄様の声だ。
私は扉を少し開けて顔を出した。
「結婚の話ですか? 私の気持ちは変わりませんよ」
「とにかく話をしたい。中に入れてくれないか?」
仕方がない。
私は大きなため息をついて、フィル兄様を部屋に入れた。
「クロエ、お茶をいれてくれないかしら?」
クロエにお茶の用意をしてもらう。
「どうぞ、お掛けになって」
フィル兄様に椅子をすすめ、私も座った。
「先程も申しましたが、殿下と結婚するつもりはありませんわ」
とりあえず私は結論をぶつける。
「わかっている。しかし、なぜそこまで嫌がるんだ。殿下がそんなに嫌いなのか?」
フィル兄様は私の顔をのぞきこむ。
クロエがお茶を入れてくれたのでひと口飲んだ。
「殿下のことは好きも嫌いもありませんわ。まだ一度しかお会いしておりませんし、何年も手紙のやりとりをしたとはいえ、殿下とは思っておりませんでしたもの。殿下とジェフ様が同一人物と言われても、混乱しており、にわかには信じられません」
私は一気に思っていることを告げた。
「ヴィヴィと殿下がどんな内容です手紙のやりとりをしていたかは知らないが、きっと手紙の中の殿下は素の殿下だと思う」
確かにそうかもしれないと私も思う。
ジェフ様から手紙がくるのを私は楽しみにしていたし、ほのかに恋心を抱いていた。
前世でもまともに恋などした事はない。
35歳まで色恋とは無縁だった。ただただ忙しい人生だった。
今世では、ゆっくりのんびりぐうたら生きたい。そこに恋することは含まれていなかった。
公爵令嬢だし、きっと政略結婚で嫁がされる。でも、うちよりも爵位の低い家に嫁ぐ事になるだろうし、愛の無い相手に嫁いでもぐうたらするつもりでいた。
王太子妃なんかになったらぐうたらできない。毎日前世と変わらないくらい忙しくなる。
私はまた大きなため息をついた。
「お嬢様、殿下がお見えになっておりますが、いかがいたしましょう」
家令のルーカスが伝えに来た。
会いませんと言おうとしたら、フィル兄様が「通して」と告げた。
「会いたくありません」
私はフィル兄様を睨んだ。
「会ってちゃんと話をしなきゃダメだよ。私も立ち会うし、ヴィヴィの気持ちを伝えて、殿下の話も聞いてみなさい」
フィル兄様は珍しく高圧的に私に言った。
「わかりました。クロエ、殿下の分もお茶を用意してちょうだい」
クロエにお茶の用意を頼み、殿下の到着を待った。
「ヴィー、やっと会えた」
「お越しいただきありがとうございます。王太子殿下におかれましては……」
「堅苦しい挨拶はいい」
挨拶を遮られた。
「ヴィー、会いたかった」
殿下は切なそうな顔をしている。それを見ていると私も苦しくなってきた。
「申し訳ございません。やはり殿下とは結婚できません」
そう告げると私は後ろを向いた。
後ろから殿下の声が聞こえる。
「理由を聞かせてほしい。私が嫌いか? 私がそんなに嫌か?」
「殿下が嫌いとかそういうわけではありません」
「では、どういう理由だ。頼む、本当の事を言ってほしい」
本当の事を言ってほしいと言われても、王太子妃になったらぐうたらできないからだなんて言えない。
だんだん真面目に私と結婚したいと言ってくれている殿下に対して申し訳なくなってきた。
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