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こういうことになりました
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ナムーリ国の者は捕らえられた。
私は王宮にくるように言われたが面倒なので屋敷に戻っている。
どうやらこの茶番劇のシナリオを書いたのは陛下らしい。父は片棒を担いだ訳ね。長い物には巻かれなきゃならないから仕方ないけど、娘を囮にってどういう訳なの?
屋敷に戻ると母の声が聞こえていた。
「離縁しますわ。実の娘を囮にするような血も涙もないような人と一緒には暮らせません」
母はいつも穏やかなだけに怒ったら怖い。父はきっと土下座でもしているんだろうと思い部屋に入るとまさに土下座中だった。
「お母様、離縁などしなくても大丈夫ですわ。私はこのとおりピンピンしております」
母は涙目で私に抱きついてきた。
「ヴィヴィ~。良かった~」
私は絶賛土下座中の父に上から話しかけた。
「お父様、囮にするなら最初から言っておいて下さいませ」
「ヴィヴィ、すまない。ヴィヴィを誘拐すると情報が急に入ってきたんだ」
「メイドや騎士を入れ替える時間があるなら私に話ができたはずです」
私は父を見下ろしたままで話を続けた。
「王太子の婚約者になったばっかりにこんな目にあうのなら、もう結婚はいたしません」
そう吐き捨てるように言い、自分の部屋に引きこもった。
その頃、王宮では国王陛下が父と同じ目にあっていたらしい。国王陛下は王妃様とアイク様から責め立てられ、やはり父と同じように土下座していたそうだ。
あれから5年経った。私は大公妃として、ぐーたら暮らしている。
あの後、私はアイク様が囮計画を知らなかったと知った。アイク様は自分が王太子だったことで私を危険な目に合わせたことで心を痛めたらしい。そして自分に何も知らせなかったことに対して怒り、国王になってもそんな家臣と一緒に国を治めることなどできないと王太子を辞めた。
国王陛下や宰相の父は必死で止めたが、アイク様は意外と強情で周りの声を一切聞かなかった。
まぁ、でも王妃様は味方で、アイク様が廃嫡したあとの事を全て取り仕切り片付けてくれた。
そして、アイク様に代わって王弟殿下が王太子となった。もちろん国王の器ではないので王妃様の傀儡の国王になる。フィル兄様はあの時の罰なのか? 新王太子の側近として毎日こき使われている。
王太子妃にはナムーリ国の第3王女のエリザベス様に落ち着いた。エリザベス様は王弟殿下のちょっと歪んだ寵愛を受けてはいたが、特に迫害されたり、傷つけられたり、薬や魔法で精神がおかしくなっているわけではないので表に出すことになったそうだ。
私たちの結婚式は王弟殿下とエリザベス様にお譲りする事になった。
エリザベス様は他国の王女なので王妃教育はいらないかと思ったが、王妃様が納得できるレベルではなかったので朝から夕方まで王妃教育でしごかれ、夕方から朝までは王弟殿下にご寵愛されているのでヘトヘトだったが、今はなんとか王太子妃としてがんばっている。
しかし、公の場に出る時以外は、足元には足枷、首には首輪がつけられている。王弟殿下の趣味なのだろう。
「ヴィー、またここにいたのか? 風邪をひくよ」
「おかあさま、かぜひきましゅよ」
大公邸の中庭のガゼボで本を読んでいた私をアイク様と息子のフランが呼びにきた。
あの時、王太子を返上したアイク様は大公になった。結婚する気などもうなかったが、大公妃は王太子妃とは違いぐうたらできると両親や国王陛下、王妃様に説得された。今は最低限の社交の場に顔を出せばいいだけだ。
結婚してからは前世の記憶をフル回転し、色んな情報をアイク様に伝えて、大公家の領地や経営する商会に貢献して繁栄の一端をになっている。
私はちょこちょこ口を出すだけ、あとはのんびりゴロゴロしている。
いっときは王太子妃になり、また忙しい日々をおくることを受け入たが、やっぱりぐうたらできる生活ができてよかったなぁと、今ではナムーリ国の皆さんに感謝している。
もちろんその後、エリザベス様とも仲良くしている。愛されすぎているエリザベス様を見ていると気の毒になるが、まぁうちも見る人が見るとあまり変わらないらしい。
大公様は奥様を溺愛するせいでお屋敷に閉じ込めていて、表にださないと噂されている。その噂のおかげでぐうたらできているので有難や有難やだ。
今思えば、デビュタントの一年は本当に濃い一年だった。あれがあったから今があると言っても過言ではない。
アイク様は良き夫であり、良き父だ。もうすぐふたり目の子供も生まれる。
だれも私をぐうたら大公妃などとは思わないだろう。
私はこれからも私らしくぐうたら生きていきたい。もちろんただのぐうたらではなく、ちゃんとやることはやっているぐうたら大公妃としてね。
〈了〉
私は王宮にくるように言われたが面倒なので屋敷に戻っている。
どうやらこの茶番劇のシナリオを書いたのは陛下らしい。父は片棒を担いだ訳ね。長い物には巻かれなきゃならないから仕方ないけど、娘を囮にってどういう訳なの?
屋敷に戻ると母の声が聞こえていた。
「離縁しますわ。実の娘を囮にするような血も涙もないような人と一緒には暮らせません」
母はいつも穏やかなだけに怒ったら怖い。父はきっと土下座でもしているんだろうと思い部屋に入るとまさに土下座中だった。
「お母様、離縁などしなくても大丈夫ですわ。私はこのとおりピンピンしております」
母は涙目で私に抱きついてきた。
「ヴィヴィ~。良かった~」
私は絶賛土下座中の父に上から話しかけた。
「お父様、囮にするなら最初から言っておいて下さいませ」
「ヴィヴィ、すまない。ヴィヴィを誘拐すると情報が急に入ってきたんだ」
「メイドや騎士を入れ替える時間があるなら私に話ができたはずです」
私は父を見下ろしたままで話を続けた。
「王太子の婚約者になったばっかりにこんな目にあうのなら、もう結婚はいたしません」
そう吐き捨てるように言い、自分の部屋に引きこもった。
その頃、王宮では国王陛下が父と同じ目にあっていたらしい。国王陛下は王妃様とアイク様から責め立てられ、やはり父と同じように土下座していたそうだ。
あれから5年経った。私は大公妃として、ぐーたら暮らしている。
あの後、私はアイク様が囮計画を知らなかったと知った。アイク様は自分が王太子だったことで私を危険な目に合わせたことで心を痛めたらしい。そして自分に何も知らせなかったことに対して怒り、国王になってもそんな家臣と一緒に国を治めることなどできないと王太子を辞めた。
国王陛下や宰相の父は必死で止めたが、アイク様は意外と強情で周りの声を一切聞かなかった。
まぁ、でも王妃様は味方で、アイク様が廃嫡したあとの事を全て取り仕切り片付けてくれた。
そして、アイク様に代わって王弟殿下が王太子となった。もちろん国王の器ではないので王妃様の傀儡の国王になる。フィル兄様はあの時の罰なのか? 新王太子の側近として毎日こき使われている。
王太子妃にはナムーリ国の第3王女のエリザベス様に落ち着いた。エリザベス様は王弟殿下のちょっと歪んだ寵愛を受けてはいたが、特に迫害されたり、傷つけられたり、薬や魔法で精神がおかしくなっているわけではないので表に出すことになったそうだ。
私たちの結婚式は王弟殿下とエリザベス様にお譲りする事になった。
エリザベス様は他国の王女なので王妃教育はいらないかと思ったが、王妃様が納得できるレベルではなかったので朝から夕方まで王妃教育でしごかれ、夕方から朝までは王弟殿下にご寵愛されているのでヘトヘトだったが、今はなんとか王太子妃としてがんばっている。
しかし、公の場に出る時以外は、足元には足枷、首には首輪がつけられている。王弟殿下の趣味なのだろう。
「ヴィー、またここにいたのか? 風邪をひくよ」
「おかあさま、かぜひきましゅよ」
大公邸の中庭のガゼボで本を読んでいた私をアイク様と息子のフランが呼びにきた。
あの時、王太子を返上したアイク様は大公になった。結婚する気などもうなかったが、大公妃は王太子妃とは違いぐうたらできると両親や国王陛下、王妃様に説得された。今は最低限の社交の場に顔を出せばいいだけだ。
結婚してからは前世の記憶をフル回転し、色んな情報をアイク様に伝えて、大公家の領地や経営する商会に貢献して繁栄の一端をになっている。
私はちょこちょこ口を出すだけ、あとはのんびりゴロゴロしている。
いっときは王太子妃になり、また忙しい日々をおくることを受け入たが、やっぱりぐうたらできる生活ができてよかったなぁと、今ではナムーリ国の皆さんに感謝している。
もちろんその後、エリザベス様とも仲良くしている。愛されすぎているエリザベス様を見ていると気の毒になるが、まぁうちも見る人が見るとあまり変わらないらしい。
大公様は奥様を溺愛するせいでお屋敷に閉じ込めていて、表にださないと噂されている。その噂のおかげでぐうたらできているので有難や有難やだ。
今思えば、デビュタントの一年は本当に濃い一年だった。あれがあったから今があると言っても過言ではない。
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だれも私をぐうたら大公妃などとは思わないだろう。
私はこれからも私らしくぐうたら生きていきたい。もちろんただのぐうたらではなく、ちゃんとやることはやっているぐうたら大公妃としてね。
〈了〉
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