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神様?
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ここはどこだろう?
何もない。青い空みたいな空間に白い雲のような綿菓子のようなドライアイスに水をかけたようなもくもくが足元に漂う。
外なのか中なのかもよくわからない。
「アイリーン、アイリーン」
後ろから私を呼ぶ声がする。振り向くとそこには白い服を着た美しい人がいた。
「あなたは?」
「私は神です。あなたを転生させ、そして召喚でこの世界に再び戻しました」
神? やっぱり神の采配だったのか? 私はイラっとした。
「なぜこんなことをしたのですか?」
「民の要望です。あまりにもたくさんの人があなたの復活を望んだので、叶えてみました」
叶えてみましたって。
「いきなりあの国の誰かに転生させるのはむりがあるし、初めから決まっていた岩倉愛莉に転生させて、この国が聖女を召喚するタイミングでこちらの世界に戻しました」
いやいや、それも無理があるでしょう。
「日本に戻してくれるんでしょう?」
神様は微笑む。
「それは無理だわ」
無理?
「岩倉愛莉はもういない。身体がないから戻れない」
「身体がない?」
どういうこっちゃ?
「あちらの世界でのあなたはもう亡くなっている。あのスーパーで爆発が起き、あなたは犠牲になって亡くなった」
爆発?
「ちょうど召喚されて、時空の歪みに入った時にあのスーパーでガス爆発が起きた。閉店間際だったのでほとんどお客さんがいなくて、軽傷の怪我人は出たけど亡くなったのはあなただけ。ほらこんな感じ」
神は手をサッと払うと、そこに大きな水晶が現れ、映像が流れ出した。
確かにスーパーで爆発が起き、私は亡くなったようだ。お葬式の場面では近しい人達が泣いていた。こうして映像で見ると他人のことのようだ。
「お詫びにあなたにはいろんな力を与えている。これから先は好きなように生きてくれて大丈夫だ。もうあなたを陥れようなどとする者はいない。この国で生きてもいい、あの国に戻ってもいい。他の国に行ってもいい。ただあなたはあの国の民にとっては聖女アイリーンなのだ。ちょっと窮屈かもな。ふふふ。じゃあまた」
そう言うと消えた。
ちょっと待ってよ。私はもう日本に戻れないの?
死んじゃってるの?
これ、信用していいの?
信用しなきゃならないの?
とにかくここはどこよ。私はブランケンハイム領に戻らなきゃ。みんな心配するわ。
歩き出そうとするが、足がくっついていて動かない。
仕方ない転移魔法で飛ぶか。
魔法を発動させるが、やっぱり動かない。
なんなのよ。
「アイリ殿、アイリ殿」
また、誰かが私を呼んでる。
「アイリ殿、大丈夫か! しっかりしろ!」
ん? この声は? ジークヴァルトね。
青い空から太い腕が出てきて私の手を掴み引っ張る。
私の足は地面から離され青い空に引っ張り込まれる。
私はどこに連れて行かれるのだろう。
「アイリ殿!」
「アイリ様」
「聖女様」
ここは?
「気がついたか。アイリ殿が一向に目覚めないので、みんな心配して集まってきたのだ。目覚めてよかった。やはり魔力の使いすぎか? 身体に負担がかかったのかもしれないな」
ジークヴァルトは心配そうに私を見る。手はしっかりと握られている。
私のベッドの周りにはいろんな人がいる。みんな私を心配して来てくれたのだな。
「私はどれくらい寝ていたの?」
「3日だ」
「そんなに!」
驚いてしまった。
3日の間に神に会い、あの話を聞いたのか?
いや、あれは夢だ。寝ていたなら私が勝手に見た夢だ。
私が死んだなんて夢の中の話なんだ。
まだ、希望は捨ててはいけない。私は日本に帰るんだから。
何もない。青い空みたいな空間に白い雲のような綿菓子のようなドライアイスに水をかけたようなもくもくが足元に漂う。
外なのか中なのかもよくわからない。
「アイリーン、アイリーン」
後ろから私を呼ぶ声がする。振り向くとそこには白い服を着た美しい人がいた。
「あなたは?」
「私は神です。あなたを転生させ、そして召喚でこの世界に再び戻しました」
神? やっぱり神の采配だったのか? 私はイラっとした。
「なぜこんなことをしたのですか?」
「民の要望です。あまりにもたくさんの人があなたの復活を望んだので、叶えてみました」
叶えてみましたって。
「いきなりあの国の誰かに転生させるのはむりがあるし、初めから決まっていた岩倉愛莉に転生させて、この国が聖女を召喚するタイミングでこちらの世界に戻しました」
いやいや、それも無理があるでしょう。
「日本に戻してくれるんでしょう?」
神様は微笑む。
「それは無理だわ」
無理?
「岩倉愛莉はもういない。身体がないから戻れない」
「身体がない?」
どういうこっちゃ?
「あちらの世界でのあなたはもう亡くなっている。あのスーパーで爆発が起き、あなたは犠牲になって亡くなった」
爆発?
「ちょうど召喚されて、時空の歪みに入った時にあのスーパーでガス爆発が起きた。閉店間際だったのでほとんどお客さんがいなくて、軽傷の怪我人は出たけど亡くなったのはあなただけ。ほらこんな感じ」
神は手をサッと払うと、そこに大きな水晶が現れ、映像が流れ出した。
確かにスーパーで爆発が起き、私は亡くなったようだ。お葬式の場面では近しい人達が泣いていた。こうして映像で見ると他人のことのようだ。
「お詫びにあなたにはいろんな力を与えている。これから先は好きなように生きてくれて大丈夫だ。もうあなたを陥れようなどとする者はいない。この国で生きてもいい、あの国に戻ってもいい。他の国に行ってもいい。ただあなたはあの国の民にとっては聖女アイリーンなのだ。ちょっと窮屈かもな。ふふふ。じゃあまた」
そう言うと消えた。
ちょっと待ってよ。私はもう日本に戻れないの?
死んじゃってるの?
これ、信用していいの?
信用しなきゃならないの?
とにかくここはどこよ。私はブランケンハイム領に戻らなきゃ。みんな心配するわ。
歩き出そうとするが、足がくっついていて動かない。
仕方ない転移魔法で飛ぶか。
魔法を発動させるが、やっぱり動かない。
なんなのよ。
「アイリ殿、アイリ殿」
また、誰かが私を呼んでる。
「アイリ殿、大丈夫か! しっかりしろ!」
ん? この声は? ジークヴァルトね。
青い空から太い腕が出てきて私の手を掴み引っ張る。
私の足は地面から離され青い空に引っ張り込まれる。
私はどこに連れて行かれるのだろう。
「アイリ殿!」
「アイリ様」
「聖女様」
ここは?
「気がついたか。アイリ殿が一向に目覚めないので、みんな心配して集まってきたのだ。目覚めてよかった。やはり魔力の使いすぎか? 身体に負担がかかったのかもしれないな」
ジークヴァルトは心配そうに私を見る。手はしっかりと握られている。
私のベッドの周りにはいろんな人がいる。みんな私を心配して来てくれたのだな。
「私はどれくらい寝ていたの?」
「3日だ」
「そんなに!」
驚いてしまった。
3日の間に神に会い、あの話を聞いたのか?
いや、あれは夢だ。寝ていたなら私が勝手に見た夢だ。
私が死んだなんて夢の中の話なんだ。
まだ、希望は捨ててはいけない。私は日本に帰るんだから。
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