【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華

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18話 前の世界の記憶(ジェミニーナ視点1)

 私は前の世界の記憶を持って産まれてきた。

 気がついたのは産まれた時、身体は産まれたてなのに、18歳の頭を持つ私は、毎日が歯痒かった。歩けない、話せない。イライラでよく爆発し、周りから癇癪持ちだと思われていた。

 ある程度成長するまでは仕方ないと諦め、ようやく癇癪を起こさなくなったので、母や乳母はめちゃくちゃ喜んでいた。

 産まれてから1年は領地にいた。その間に前の世界の記憶をしっかり思い出し、検証していた。そしてどうすれば変えられるか、憎いあいつをやっつけることができるかと策を練っていた。

 前の世界では、私は5歳の時、イグザレルト様と婚約した。イグザレルト様は母の親友の息子で私より2歳年上だった。

 騎士団の団長の息子で、先祖代々続く武門の家の嫡男。私はお転婆で剣や馬の稽古もしたかったので、イグザレルト様と婚約するとそれができると喜んだ。

 イグザレルト様は寡黙だが、思いやりがあり、私を大切にしてくれた。私は母の命令でイグザレルト様に嫌われない様に淑女教育を受け、かなり分厚目に猫を被り、淑女らしく控えめで慈悲深いと思ってもらえるようにがんばった。本来は活発で気が強く、お転婆。淑女なと私には程遠い言葉だ。まぁ、月に1度の顔合わせの時だけなのでがんばれた。

 イグザレルト様がテオドール殿下の側近になり、忙しい日々の中でも、月に一度の顔合わせの日にはちゃんとプレゼントを持ち、会いにきてくれた。

 それが変わったのは私が貴族学校に入った年。あの女がイグザレルト達の学年な編入してきてからだった。

 私はその頃、聖女の仕事が忙しくなり、入学はしたが、飛び級で卒業しており、聖女の仕事のあいた時間に学校に通っていたので、あの女と殿下やイグザレルトのことを知らなかった。もっと学校に通っていれば、もっと違う未来があったかもしれないが、気がついたときにはもう手遅れだった。

 全てがおかしい。おかしすぎる。

 父と弟はあの女を支持し、テオドール殿下の婚約者であったルナベル様を排除して、あの女を王太子妃にすると声を上げている仲間に入っていた。

 反対する母は父に離縁され、イグザレルト様の母親と一緒に隣国の彼女の実家に身を寄せた。その時、私に一緒に戻ろうと言ったのだが、私は聖女、母国を捨てるわけにはいかないと教会に身を置くことにしたのだ。

 あの女は男性からの支持は凄いが女性からは全く支持されていない。むしろ嫌悪されている。そのことも不思議だった。

 私は教会で、夫や父親があの女に懸想し、身の危険を感じている女性達。秘密裏に保護し、隣国や友好国に逃す活動をしていた。

 そしてあの日がきた。

 殿下が婚約者のルナベル様との婚約を破棄し、断罪した。ルナベル様は国外追放とされた。私は教会で夫人達の保護活動をしていたため、そのことを知ったのはルナベル様が国を出てすぐに破落戸達に襲われそうになり、自害された後だった。

 隣国との境界あたりは安全なはずだ。大司教様は「これはきっとあの女が後ろで糸を引いているに違いない。早く、夫人達を他国に逃さなくてはならない」と今まで以上に受け入れ先を探し出す活動に力を入れた。

 大司教が私の顔を見た。

「聖女、私は古い文献で、人の心を操る魔法があると読んだことがあります。もしや、あの女はその魔法を使っているのではないのか? その魔法は男子にしか効かないと書いてありました。その目を見る、声を聞く、それだけでもかかってしまうらしいのです」

「では、殿下や側近、周りの男達を魔法にかけ、意のままにあやつり、この国を我が物にしようとしていると申されているのですか?」

 大司教はゆっくりと頷く。

 私も大聖堂の奥にある図書室でその文献を手にした。かなり古い本で、紙は黄ばんでいる。しかも古代語で書かれていた。私は簡単な古代語ならわかる。とにかく読んでみよう。

 聖女の仕事の合間にその文献を読むことにした。

 『魅了の魔法』

 きっとあの女が使っているのはそれだ。

 なんとかして魅了の魔法を解く方法はないものか。文献には魔法の解き方は強力な浄化魔法をかけるしかなと書いてあった。私は浄化の魔法は使えるが簡単なものだ。強力なとはどのくらいなのだろう。

 もしくは、無効化魔法をかけることだともかいてある。我が国に無効化魔法を使えるものがいるのだろうか?

 大司教に聞いてみると、洗礼の儀でその様な神託が来たものがいないか調べてみると言ってくれた。


しばらくして、大司教から連絡が来た。

「聖女、無効化の魔法はいなかったのですが、無効と言う神託を受けた者が1人おりました。もしや、彼ならあの魔女の魔法を無効化できるかもしれませんな」

 それは私達に希望の光が灯った瞬間だった。
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