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13話 巻き込んでしまったからには(ゲオルグ視点)
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騎士団の応接室に入ると、先にいだリンダは立ち上がり礼の姿勢をとった。
「楽にしてくれ。悪いがちょっとマイザット卿とふたりにしてくれないか」
私は執事に声をかけて退出してもらった。
「まさか、君も?」
「やはり、ハネス公爵閣下の魔法でしたか」
「ナターリエ嬢と私だけが戻るはずだったのだが……まさか、君はナターリエ嬢の後を追い殉死したのか?」
私の問いにリンダは顔を上げ、目で私を射抜いた。
「はい。私はナターリエ様を護ると誓いました。護れないのなら生きている意味がありません。自害しなくても、きっと殿下に殺されるでしょう。それなら自害し、あの世でナターリエ様をお護りしようと思ったのです。でも目が覚めたらマイザット家の自室でした」
「そうか。君の強い気持ちが共鳴してしまったのだな。それでなぜうちの騎士団なのだが? 君は王家の騎士団員だっただろう?」
リンダはふっと笑った。
「アルフレード殿下に関わりたくなかったのです。今度こそナターリエ様をお護りしたいのです。あの令嬢達だけでなく、アルフレード殿下からも」
そうか、リンダも殿下の愛がナターリエ様を追い詰めていることがわかっていたのだな。
「ナターリエ嬢はまだ戻っていないようだ。多分、学園に入学する年齢になる少し前に戻るだろうと思う。それまでうちの騎士団でしっかり鍛えてもらえ。いずれうちからゾイド男爵家にナターリエ嬢の侍女兼護衛として推薦しよう。騎士団だけでなく、侍女としての訓練も受けてもらうことになるが大丈夫か? せっかく時が戻ったのだから、違う人生を過ごしてもいいのだぞ」
「いえ、私はマイザットの家にいてもこれから父が娶るマイザット夫人と祖母から酷いいじめを受けます。時が戻る前はそれから逃れる為に騎士団の試験を受けました。時が戻っても騎士の誓いはたがえません。私はナターリエ様にお仕えしたい」
「しかし、まだ伯爵が結婚していないならその女以外と結婚させることも可能だろう。未来は変えられる」
私の言葉にリンダは首を振る。
「父はいつまでも亡くなった母を思っています。誰と結婚しても心を開くことはないでしょう。夫人の苛立ちのはけ口は私に向きます。祖母も母と私を恨んでいます。私の幸せはナターリエ様が幸せになることです。閣下、よろしくお願いします」
「わかった。ナターリエ嬢が学園に入学するのは5年先だ。3年で力をつけろ。公爵家の力で君をゾイド男爵家におくりこむ」
執事にリンダをとある令嬢の側使いにしたいので、侍女の仕事と騎士の仕事を3年で教え込んでくれと依頼した。それにしてもリンダが殉死し、一緒に時を戻ったとなると、アルフレード殿下も時が戻っている可能性がある。あれほどナターリエ嬢に執着していたのだ。あれは狂気としかいいようがないありさまだった。あの後、ナターリエ嬢の姿を見て、後を追うことはないとは言えない。
もし、記憶を持ったままなら必ずナターリエ嬢に接触するはずだ。他国の王女などと婚約させて、国と国にしがらみでがんじがらめにするしかないな。時を戻す前のようにフリーにしておくのは良くない。王配を探している大国はないか? 父に協力してもらおう。
私の魔法のせいでナターリエ嬢を苦しめた。せめてもの罪滅ぼしだ。これからはナターリエ嬢には幸せになってほしい。いや、幸せにしないといけない。リンダという協力者もいる。きっとうまくいく。
私は父の執務室に向かい、アルフレード殿下の婚約者を探して欲しいと懇願した。
そして、半年程経った頃、クロイツ王国のリビア王女との縁談が持ち上がった。クロイツ王国とは何代か前の王女が我がハネス公爵家に嫁入りした縁がある。リビア王女は次期女王だ。アルフレード殿下がクロイツ王国に王配として行ってくれれば安心だが、あの殿下のことだ。記憶を持っていたなら、ナターリエ嬢を拉致しクロイツ王国に連れて行くかもしれない。あの国で王配をしながら、またナターリエ嬢を監禁するだろう。
それだけは絶対に避けなければならない。父に猛プッシュをかけなければ。アルフレード殿下の時が戻る前に縁談を決めてしまわなければならない。いや、アルフレード殿下の時は戻らない。そう信じよう。
私は王子宮に公爵家の影を潜入させることにした。
「楽にしてくれ。悪いがちょっとマイザット卿とふたりにしてくれないか」
私は執事に声をかけて退出してもらった。
「まさか、君も?」
「やはり、ハネス公爵閣下の魔法でしたか」
「ナターリエ嬢と私だけが戻るはずだったのだが……まさか、君はナターリエ嬢の後を追い殉死したのか?」
私の問いにリンダは顔を上げ、目で私を射抜いた。
「はい。私はナターリエ様を護ると誓いました。護れないのなら生きている意味がありません。自害しなくても、きっと殿下に殺されるでしょう。それなら自害し、あの世でナターリエ様をお護りしようと思ったのです。でも目が覚めたらマイザット家の自室でした」
「そうか。君の強い気持ちが共鳴してしまったのだな。それでなぜうちの騎士団なのだが? 君は王家の騎士団員だっただろう?」
リンダはふっと笑った。
「アルフレード殿下に関わりたくなかったのです。今度こそナターリエ様をお護りしたいのです。あの令嬢達だけでなく、アルフレード殿下からも」
そうか、リンダも殿下の愛がナターリエ様を追い詰めていることがわかっていたのだな。
「ナターリエ嬢はまだ戻っていないようだ。多分、学園に入学する年齢になる少し前に戻るだろうと思う。それまでうちの騎士団でしっかり鍛えてもらえ。いずれうちからゾイド男爵家にナターリエ嬢の侍女兼護衛として推薦しよう。騎士団だけでなく、侍女としての訓練も受けてもらうことになるが大丈夫か? せっかく時が戻ったのだから、違う人生を過ごしてもいいのだぞ」
「いえ、私はマイザットの家にいてもこれから父が娶るマイザット夫人と祖母から酷いいじめを受けます。時が戻る前はそれから逃れる為に騎士団の試験を受けました。時が戻っても騎士の誓いはたがえません。私はナターリエ様にお仕えしたい」
「しかし、まだ伯爵が結婚していないならその女以外と結婚させることも可能だろう。未来は変えられる」
私の言葉にリンダは首を振る。
「父はいつまでも亡くなった母を思っています。誰と結婚しても心を開くことはないでしょう。夫人の苛立ちのはけ口は私に向きます。祖母も母と私を恨んでいます。私の幸せはナターリエ様が幸せになることです。閣下、よろしくお願いします」
「わかった。ナターリエ嬢が学園に入学するのは5年先だ。3年で力をつけろ。公爵家の力で君をゾイド男爵家におくりこむ」
執事にリンダをとある令嬢の側使いにしたいので、侍女の仕事と騎士の仕事を3年で教え込んでくれと依頼した。それにしてもリンダが殉死し、一緒に時を戻ったとなると、アルフレード殿下も時が戻っている可能性がある。あれほどナターリエ嬢に執着していたのだ。あれは狂気としかいいようがないありさまだった。あの後、ナターリエ嬢の姿を見て、後を追うことはないとは言えない。
もし、記憶を持ったままなら必ずナターリエ嬢に接触するはずだ。他国の王女などと婚約させて、国と国にしがらみでがんじがらめにするしかないな。時を戻す前のようにフリーにしておくのは良くない。王配を探している大国はないか? 父に協力してもらおう。
私の魔法のせいでナターリエ嬢を苦しめた。せめてもの罪滅ぼしだ。これからはナターリエ嬢には幸せになってほしい。いや、幸せにしないといけない。リンダという協力者もいる。きっとうまくいく。
私は父の執務室に向かい、アルフレード殿下の婚約者を探して欲しいと懇願した。
そして、半年程経った頃、クロイツ王国のリビア王女との縁談が持ち上がった。クロイツ王国とは何代か前の王女が我がハネス公爵家に嫁入りした縁がある。リビア王女は次期女王だ。アルフレード殿下がクロイツ王国に王配として行ってくれれば安心だが、あの殿下のことだ。記憶を持っていたなら、ナターリエ嬢を拉致しクロイツ王国に連れて行くかもしれない。あの国で王配をしながら、またナターリエ嬢を監禁するだろう。
それだけは絶対に避けなければならない。父に猛プッシュをかけなければ。アルフレード殿下の時が戻る前に縁談を決めてしまわなければならない。いや、アルフレード殿下の時は戻らない。そう信じよう。
私は王子宮に公爵家の影を潜入させることにした。
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