1 / 50
1話 王命?
しおりを挟む
サロンで母とお茶を飲んでいたら、父が執務室まで来いと呼んでいると、執事のレナードに言われた。どうせろくな話ではない気がする。
めんどくさいと思いながらカップを置き立ちあがった。
階段を上り、廊下を進むと執務室がある。私は扉をノックした。
―コンコン
「ディートリントです」
「入れ」
扉を開き中に入る。
「ディー、こちらに」
父は私にデスクの前に来るように促す。
私が前に立つとデスクの引き出しから絵姿を取り出した。
「王命による縁談だ。断れんぞ。陛下がお前にどうかとおっしゃってな。どちらも二度目なのでそんなに長い婚約期間もいらんだろう」
父はそう言うと私に絵姿を見せた。断れないのならどうかと思うもなにもないものだ。
私は手渡された絵姿を見た。大柄そうだ。筋肉隆々なゴリマッチョだとわかる。顔は身体に不似合いな綺麗な顔だがキツい顔だな。まぁ悪くはない。
「子供がふたりいる。だからお前は別に産まんでもいいからな」
父は険しい表情でそんなこと言う。
「元の奥様は?」
「逃げたらしい」
「逃げた?」
「なんでも真実の愛を見つけたとかで平民の男と逃げたそうだ」
「子供を置いて?」
「真実の愛だから仕方なかったのだろう」
父は軽蔑しているようにふんと鼻を鳴らした。
子供を置いて家も捨て、男と出て行ったのか。真実の愛って凄いなぁ。
「当時はかなり噂になったようだが、お前、知らんかったのか?」
あ~、あの“真実の愛“の人か、確か女性は辺境伯夫人、相手の男性は平民だったわね。ひとめ会って恋に落ち、家も子供も全て捨て二人で逃げたって……。
「残された夫が後妻を探しておるのだが、なかなか見つからんらしい。子供もいるし、見た目もキツく冷たそうだし、身体も大きく威圧感がなぁ……。しかも無口だ。それでなかなか決まらんらしい。お前に縁談を持ってくるくらいだ、余程困っているのだろう」
酷い言われ方だ。
「お父様はお相手の方をご存知なのですか?」
父は頷く。
「あぁ、陛下のはとこの子息だから、うちとも親戚になる。陛下が辺境の地に行かれた時について行き、会った」
「どんな印象でした?」
父は手を顎に当て上を見た。思い出しているのだろう。
「まだ、子供であったが、身体が大きく、顔は綺麗だったが目つきが鋭どかったな。挨拶はきちんとしていたが、冷たい印象だ。あれは水や氷属性の魔法を使うのかもしれん」
ブルブルと震えるような格好をし、話を続けた。
「とりあえず一度会ってほしいと向こうが言ってきている。来週王宮に用があり、王都に出てくるそうだ。王宮で顔合わせをすると陛下がお決めになった」
お決めになったって。まぁ王命だしね。
う~ん。どうしたものか。まぁ、とりあえず会わなきゃ仕方ないだろうな。王命だしね。私はため息をついた。
私は去年、政略結婚で同じ爵位を持つ家の嫡男と結婚した。
一目惚れで是非結婚してほしいと毎日うちに通い、懇願され、父がそこまで思うならと言い、結婚することになった。
しかし、その男には好いた女がいた。相手は平民なので結婚できない。とりあえず私と結婚し、お飾りの妻として女主人の仕事をさせ、時期を見て離縁する。再婚だと平民でも結婚出来ないことはない。親がうるさいから、おとなしそうで逆らわなさそうな私ならちょうどいいとそれを隠して結婚したという。
初夜にお約束の「君を愛することはない」発言とともに、上から偉そうに私に告げたのだ。
「私もあなたのような嘘つきを愛することなどありません。そんなことは婚姻する前に聞きたかったですわ!」
私は結婚したばかりの夫をぶん殴り、義両親に夫に言われたことや平民の恋人のことを暴露し、離縁宣言をして家に戻った。
父に怒られるかと思ったが、父は婚家に乗り込み「婚姻前から愛人がいて、それを隠して結婚し、お飾りの妻としてこき使い、時が来たら離縁し、その愛人と結婚するつもりとは笑止千万、そちらの有償で離縁させていただく!」と宣言した。
夫が私に殴られたと父に訴えたそうだが「それくらいで済んで良かったな。娘が本気を出したら生きてはおらんだろう」と言い、父の高笑いの声が屋敷中に響いたらしい。
我が家はこのフォルトナー王国建国以来の武門の家だ。
代々宮廷騎士団を率い、国王陛下をお守りしている。我が家門は女でも小さい頃から鍛えられる。
私は見た目は小柄で儚げなのだが、下手な男よりはずっと強い。しかも一本気で勝気だ。男に産まれていれば良かったのにと父や祖父に何度言われたことかわからない。
確かに出戻りではあるが、たった1日だけの結婚生活だったので、まだ乙女である。しかし、戸籍上はバツがついた。
もう、良い縁談は来ないと父は嘆いていたが、元々結婚などしたくなかったからちょうどいい。これからは魔法騎士としてどこかの令嬢の護衛騎士にでもなって一人で生きていけばいい。
それに元夫の家から慰謝料もいただいた。元夫がいくら私に殴られたと言っても、私は見た目が弱々しいし、普段は猫を被っているので、誰もあの男のいうことなんか信用しないはず。
反対にまあまり評判がよろしくなかった元夫から私が殴られたなんて噂もあるという。
今では私は酷い男と婚姻させられ、虐げられた可哀想な令嬢というポジションらしい。
父がきっと噂を流させたのだと思う。
離縁後、予想に反して何件か結婚の打診があったみたいだが、私が元夫に騙されて婚姻したことにショックを受け、今はそんな状態ではないと全て断ったようだ。
私は元気溌剌。毎日鍛錬に励んでいるのに。
父と仲が良い陛下は私の真の姿を知っている。知っていて頼むのであれば、猫を被らなくてもいい相手ということか?
「陛下からの頼みだ。王命だぞ。断れないからな」
「わかってます。それで、そのゴリマッチョは私でよろしいのかしら?」
「さぁ。向こうも王命で断れないのではないか? お前の性格を知ったら断りたいだろうな」
父はため息をつく。
「辺境伯ということは辺境の地で住むのですわね?」
「ああそうだ。他国の侵略や魔獣の脅威もある」
「それでなかなか後添いが決まらなかったのですか?」
確かに、そんな場所に嫁ぎたくはないだろう。令嬢は王都が好きだもの。
「まぁそんなところだろうな。誰も可愛い娘をそんな危ないところにはやりたくない」
私は可愛い娘じゃないのか? 父は睨む私にバツが悪そうな顔をして話を続けた。
「逃げた元夫人は家臣の娘で辺境に慣れているから問題ないと思ったそうだ。その真実の愛の相手が現れるとまではそれなりに上手くいっていたらしい。お前なら辺境の地は逆にうれしいのではないかと陛下が仰って、今回の縁組となったのだ」
さすが陛下よくわかっていらっしゃる。たとえ輿入れがダメだとしても、魔法騎士として楽しく過ごせそうだ。父は私の気持ちがわかったようで、呆れたモノをみるような目で私を見た。
「では、顔合わせは来週だからな」
父は言うだけ言うと私を部屋から追い出した。
めんどくさいと思いながらカップを置き立ちあがった。
階段を上り、廊下を進むと執務室がある。私は扉をノックした。
―コンコン
「ディートリントです」
「入れ」
扉を開き中に入る。
「ディー、こちらに」
父は私にデスクの前に来るように促す。
私が前に立つとデスクの引き出しから絵姿を取り出した。
「王命による縁談だ。断れんぞ。陛下がお前にどうかとおっしゃってな。どちらも二度目なのでそんなに長い婚約期間もいらんだろう」
父はそう言うと私に絵姿を見せた。断れないのならどうかと思うもなにもないものだ。
私は手渡された絵姿を見た。大柄そうだ。筋肉隆々なゴリマッチョだとわかる。顔は身体に不似合いな綺麗な顔だがキツい顔だな。まぁ悪くはない。
「子供がふたりいる。だからお前は別に産まんでもいいからな」
父は険しい表情でそんなこと言う。
「元の奥様は?」
「逃げたらしい」
「逃げた?」
「なんでも真実の愛を見つけたとかで平民の男と逃げたそうだ」
「子供を置いて?」
「真実の愛だから仕方なかったのだろう」
父は軽蔑しているようにふんと鼻を鳴らした。
子供を置いて家も捨て、男と出て行ったのか。真実の愛って凄いなぁ。
「当時はかなり噂になったようだが、お前、知らんかったのか?」
あ~、あの“真実の愛“の人か、確か女性は辺境伯夫人、相手の男性は平民だったわね。ひとめ会って恋に落ち、家も子供も全て捨て二人で逃げたって……。
「残された夫が後妻を探しておるのだが、なかなか見つからんらしい。子供もいるし、見た目もキツく冷たそうだし、身体も大きく威圧感がなぁ……。しかも無口だ。それでなかなか決まらんらしい。お前に縁談を持ってくるくらいだ、余程困っているのだろう」
酷い言われ方だ。
「お父様はお相手の方をご存知なのですか?」
父は頷く。
「あぁ、陛下のはとこの子息だから、うちとも親戚になる。陛下が辺境の地に行かれた時について行き、会った」
「どんな印象でした?」
父は手を顎に当て上を見た。思い出しているのだろう。
「まだ、子供であったが、身体が大きく、顔は綺麗だったが目つきが鋭どかったな。挨拶はきちんとしていたが、冷たい印象だ。あれは水や氷属性の魔法を使うのかもしれん」
ブルブルと震えるような格好をし、話を続けた。
「とりあえず一度会ってほしいと向こうが言ってきている。来週王宮に用があり、王都に出てくるそうだ。王宮で顔合わせをすると陛下がお決めになった」
お決めになったって。まぁ王命だしね。
う~ん。どうしたものか。まぁ、とりあえず会わなきゃ仕方ないだろうな。王命だしね。私はため息をついた。
私は去年、政略結婚で同じ爵位を持つ家の嫡男と結婚した。
一目惚れで是非結婚してほしいと毎日うちに通い、懇願され、父がそこまで思うならと言い、結婚することになった。
しかし、その男には好いた女がいた。相手は平民なので結婚できない。とりあえず私と結婚し、お飾りの妻として女主人の仕事をさせ、時期を見て離縁する。再婚だと平民でも結婚出来ないことはない。親がうるさいから、おとなしそうで逆らわなさそうな私ならちょうどいいとそれを隠して結婚したという。
初夜にお約束の「君を愛することはない」発言とともに、上から偉そうに私に告げたのだ。
「私もあなたのような嘘つきを愛することなどありません。そんなことは婚姻する前に聞きたかったですわ!」
私は結婚したばかりの夫をぶん殴り、義両親に夫に言われたことや平民の恋人のことを暴露し、離縁宣言をして家に戻った。
父に怒られるかと思ったが、父は婚家に乗り込み「婚姻前から愛人がいて、それを隠して結婚し、お飾りの妻としてこき使い、時が来たら離縁し、その愛人と結婚するつもりとは笑止千万、そちらの有償で離縁させていただく!」と宣言した。
夫が私に殴られたと父に訴えたそうだが「それくらいで済んで良かったな。娘が本気を出したら生きてはおらんだろう」と言い、父の高笑いの声が屋敷中に響いたらしい。
我が家はこのフォルトナー王国建国以来の武門の家だ。
代々宮廷騎士団を率い、国王陛下をお守りしている。我が家門は女でも小さい頃から鍛えられる。
私は見た目は小柄で儚げなのだが、下手な男よりはずっと強い。しかも一本気で勝気だ。男に産まれていれば良かったのにと父や祖父に何度言われたことかわからない。
確かに出戻りではあるが、たった1日だけの結婚生活だったので、まだ乙女である。しかし、戸籍上はバツがついた。
もう、良い縁談は来ないと父は嘆いていたが、元々結婚などしたくなかったからちょうどいい。これからは魔法騎士としてどこかの令嬢の護衛騎士にでもなって一人で生きていけばいい。
それに元夫の家から慰謝料もいただいた。元夫がいくら私に殴られたと言っても、私は見た目が弱々しいし、普段は猫を被っているので、誰もあの男のいうことなんか信用しないはず。
反対にまあまり評判がよろしくなかった元夫から私が殴られたなんて噂もあるという。
今では私は酷い男と婚姻させられ、虐げられた可哀想な令嬢というポジションらしい。
父がきっと噂を流させたのだと思う。
離縁後、予想に反して何件か結婚の打診があったみたいだが、私が元夫に騙されて婚姻したことにショックを受け、今はそんな状態ではないと全て断ったようだ。
私は元気溌剌。毎日鍛錬に励んでいるのに。
父と仲が良い陛下は私の真の姿を知っている。知っていて頼むのであれば、猫を被らなくてもいい相手ということか?
「陛下からの頼みだ。王命だぞ。断れないからな」
「わかってます。それで、そのゴリマッチョは私でよろしいのかしら?」
「さぁ。向こうも王命で断れないのではないか? お前の性格を知ったら断りたいだろうな」
父はため息をつく。
「辺境伯ということは辺境の地で住むのですわね?」
「ああそうだ。他国の侵略や魔獣の脅威もある」
「それでなかなか後添いが決まらなかったのですか?」
確かに、そんな場所に嫁ぎたくはないだろう。令嬢は王都が好きだもの。
「まぁそんなところだろうな。誰も可愛い娘をそんな危ないところにはやりたくない」
私は可愛い娘じゃないのか? 父は睨む私にバツが悪そうな顔をして話を続けた。
「逃げた元夫人は家臣の娘で辺境に慣れているから問題ないと思ったそうだ。その真実の愛の相手が現れるとまではそれなりに上手くいっていたらしい。お前なら辺境の地は逆にうれしいのではないかと陛下が仰って、今回の縁組となったのだ」
さすが陛下よくわかっていらっしゃる。たとえ輿入れがダメだとしても、魔法騎士として楽しく過ごせそうだ。父は私の気持ちがわかったようで、呆れたモノをみるような目で私を見た。
「では、顔合わせは来週だからな」
父は言うだけ言うと私を部屋から追い出した。
317
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
前世を思い出したので、最愛の夫に会いに行きます!
お好み焼き
恋愛
ずっと辛かった。幼き頃から努力を重ね、ずっとお慕いしていたアーカイム様の婚約者になった後も、アーカイム様はわたくしの従姉妹のマーガレットしか見ていなかったから。だから精霊王様に頼んだ。アーカイム様をお慕いするわたくしを全て消して下さい、と。
……。
…………。
「レオくぅーん!いま会いに行きます!」
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる