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42話 断罪?
「今年、デビュタントを迎え、貴族の仲間入りをする者達を心から祝う。皆も祝ってやって欲しい。そして導いてやって欲しい」
国王陛下の挨拶の後、陛下と王妃様のファーストダンスが終わり、貴族達のダンスが始まった。私もアルトゥール様と踊る。
大きなアルトゥール様と小さな私のダンスはなかなか面白いようで、注目を集めてしまった。
「ディーママ、身体浮いていたわよ」
アンネリーゼはくすくすと笑う。
「ディーは小さくて軽いから、つい持ち上げてしまったよ」
アルトゥール様は申し訳なさそうに頭を掻いている。
私は楽で良かったけどね。
顔見知りと挨拶をしたり、美味しいご馳走を食べたり、パーティーを皆楽しんでいる。
ふと、王家の方々の席の辺りを見ると、陛下と目が合った。陛下はニコリと笑い頷く。
「そろそろみたいね」
「そうだな」
アルトゥール様は私の腰を抱き、自分の方に身体を寄せた。
「皆の者、今日の佳き日に皆に知らせたい事がある」
壇上に国王陛下と王妃様、そして王太子のヘンリー兄様が姿を見せた。
「皆の者、わしは、来年度末をもって勇退し、このヘンリーに国王の座を渡すことにする。そして、孫のアビゲイルがヘンリーの次の王太子になる。アビゲイルは我が国始まって以来、初の女性王太子、そしていずれは女王になる。我が国の新しい歴史の幕開けだ。皆でヘンリーとアビゲイルを盛り立ててやって欲しい」
陛下に紹介され、アビゲイルとラウレンツ兄様が壇上に上がる。
「アビゲイルは、前々からの婚約者であるこのラウレンツ・アイゼンシュタットを王配に迎える」
お~、兄様は王配になるのね。
王家の席にいるベアトリス様とギルバートは驚いたような表情をしている。ベアトリス様が立ち上がった。
「お待ちください! 次期王太子はギルバートではないのですか?」
陛下は胡散臭く口角を上げる。
「それがな、最近になってギルバートが王家の血を引いていない事がわかったのだ」
貴族達が陛下の言葉にざわざわし出した。
「な、何を仰っているのですか、悪い冗談はおやめください」
ギルバートが怒り出した。
「皆の者、よく聞くがよい。ギルバートはここにいるベアトリスと隣国の魔導士、キース・フェラーとの間に産まれた子供なのだ。アビゲイルとは双子でも何でもない。キース・フェラーは髪と瞳の色がヘンリーと同じだったせいで、家族を人質に取られ、子を成すことを強制されたそうだ。隣国の王は我が国とは血の繋がらないギルバートを国王にし、私やヘンリーを暗殺し、国を乗っ取るつもりだったらしい。よって、ベアトリスは国家反逆罪とし、ベアトリスとギルバートは隣国に強制送還することにした」
「陛下、何を仰っているのですか。ギルバートはヘンリー様のお子です!」
ベアトリスが慌てて否定する。
「まだ言うか。ベアトリス、諦めろ。すでに鑑定魔法により、ギルバートとキース・フェラーの親子鑑定済みだ。キースは認めた。そして潔く消えたぞ。それにそなたとの不貞も認めた」
「そ、そんな。私は……」
「私には唯一無二と魔法で契りを結んだ印がある。それゆえに誓いを立てた人以外とは閨事はできない。そなたと契りを交わすことは不可能なんだ」
ヘンリー兄様がベアトリスにしれっと話す。
「魔道具でそなたらの逢瀬の証拠は押さえている。恥ずかしくなければこの場で晒しても良いが。キースはそなたが気に入り国から連れてきたのであろう。髪と瞳の色を魔法で変え、名前まで変えて、親を人質にされれば従うしかないわな。可哀想に」
陛下は蔑むような目でベアトリスを見ている。
「ベアトリスとギルバートを連れていけ」
陛下の言葉に騎士がふたりを拘束し、連れていく。
「皆の者、とんだ茶番を見せてしまったな。まぁ、そういうことだ。隣国よりの貴族達はなんらかの処分があるやもしれん。身に覚えのある者は首を洗って待っておれ」
陛下は高らかに笑って、話を続ける。
「国家反逆罪であるベアトリスとヘンリーは離縁となる。ヘンリーに新たな妃が必要だな。まぁ、それはまたおいおいだがな。さぁ、皆の者、パーティーの続きを楽しんでくれ。音楽を頼む。アビー、ラウ!」
音楽が鳴りだすとアビゲイルとラウレンツ兄様がホールに出て踊り出した。
ふたりの優雅なダンスに皆うっとりしている。
国王陛下上手いなぁ。
このダンスで先程の茶番劇が影を潜めた。
◆◆◆
手筈通り、ベアトリス様とギルバートは、あらかじめ捕らえられていた、隣国からついてきた使用人達、スパイ達とともに、移動魔法で強制送還された。
強制送還と言ってもただ移動魔法で王宮前に置き去りにしただけだ。
せめてもの情けでベアトリス達の荷物も一緒に移動させた。
「ちょっと待ってよ。どういう事?」
「母上、どういう事ですか? 説明してください!」
◇◇◇
「なんだかあっけなかったね。もっとウェブ小説の断罪シーンみたいなざまぁを期待していたのだけどなぁ」
ウェブ小説? ざまぁ? なんだろう?
アンネリーゼの言うことは時々難しい。
「もっと、ベアトリス様が言い訳したり、渋ったりすると思ったのに」
「そうね。伯父様が言う隙を与えなかったからね。さすが国王、何も言わせない空気感すごかったわよね」
「うん。威圧感半端なかった。ベアトリス様固まってたよね」
私は屋敷に戻ってから、サロンでアンネリーゼとお茶を飲みながらパーティーの時の話をしている。
アルトゥール様はまだ残って、フォローをしているようだ。
「アビゲイル様と伯父さんのダンス素敵だったなぁ。私もダンス習おうかな?」
「いいと思うわ。領地の子供達集めてダンス教室しようかしら?」
「いいね~」
王宮では男性達が隣国から攻め込まれた時のシュミレーションや段取りをしているというのに、私達は気楽にお菓子をぱくつきながらお茶を飲み、話に花を咲かせていた。
国王陛下の挨拶の後、陛下と王妃様のファーストダンスが終わり、貴族達のダンスが始まった。私もアルトゥール様と踊る。
大きなアルトゥール様と小さな私のダンスはなかなか面白いようで、注目を集めてしまった。
「ディーママ、身体浮いていたわよ」
アンネリーゼはくすくすと笑う。
「ディーは小さくて軽いから、つい持ち上げてしまったよ」
アルトゥール様は申し訳なさそうに頭を掻いている。
私は楽で良かったけどね。
顔見知りと挨拶をしたり、美味しいご馳走を食べたり、パーティーを皆楽しんでいる。
ふと、王家の方々の席の辺りを見ると、陛下と目が合った。陛下はニコリと笑い頷く。
「そろそろみたいね」
「そうだな」
アルトゥール様は私の腰を抱き、自分の方に身体を寄せた。
「皆の者、今日の佳き日に皆に知らせたい事がある」
壇上に国王陛下と王妃様、そして王太子のヘンリー兄様が姿を見せた。
「皆の者、わしは、来年度末をもって勇退し、このヘンリーに国王の座を渡すことにする。そして、孫のアビゲイルがヘンリーの次の王太子になる。アビゲイルは我が国始まって以来、初の女性王太子、そしていずれは女王になる。我が国の新しい歴史の幕開けだ。皆でヘンリーとアビゲイルを盛り立ててやって欲しい」
陛下に紹介され、アビゲイルとラウレンツ兄様が壇上に上がる。
「アビゲイルは、前々からの婚約者であるこのラウレンツ・アイゼンシュタットを王配に迎える」
お~、兄様は王配になるのね。
王家の席にいるベアトリス様とギルバートは驚いたような表情をしている。ベアトリス様が立ち上がった。
「お待ちください! 次期王太子はギルバートではないのですか?」
陛下は胡散臭く口角を上げる。
「それがな、最近になってギルバートが王家の血を引いていない事がわかったのだ」
貴族達が陛下の言葉にざわざわし出した。
「な、何を仰っているのですか、悪い冗談はおやめください」
ギルバートが怒り出した。
「皆の者、よく聞くがよい。ギルバートはここにいるベアトリスと隣国の魔導士、キース・フェラーとの間に産まれた子供なのだ。アビゲイルとは双子でも何でもない。キース・フェラーは髪と瞳の色がヘンリーと同じだったせいで、家族を人質に取られ、子を成すことを強制されたそうだ。隣国の王は我が国とは血の繋がらないギルバートを国王にし、私やヘンリーを暗殺し、国を乗っ取るつもりだったらしい。よって、ベアトリスは国家反逆罪とし、ベアトリスとギルバートは隣国に強制送還することにした」
「陛下、何を仰っているのですか。ギルバートはヘンリー様のお子です!」
ベアトリスが慌てて否定する。
「まだ言うか。ベアトリス、諦めろ。すでに鑑定魔法により、ギルバートとキース・フェラーの親子鑑定済みだ。キースは認めた。そして潔く消えたぞ。それにそなたとの不貞も認めた」
「そ、そんな。私は……」
「私には唯一無二と魔法で契りを結んだ印がある。それゆえに誓いを立てた人以外とは閨事はできない。そなたと契りを交わすことは不可能なんだ」
ヘンリー兄様がベアトリスにしれっと話す。
「魔道具でそなたらの逢瀬の証拠は押さえている。恥ずかしくなければこの場で晒しても良いが。キースはそなたが気に入り国から連れてきたのであろう。髪と瞳の色を魔法で変え、名前まで変えて、親を人質にされれば従うしかないわな。可哀想に」
陛下は蔑むような目でベアトリスを見ている。
「ベアトリスとギルバートを連れていけ」
陛下の言葉に騎士がふたりを拘束し、連れていく。
「皆の者、とんだ茶番を見せてしまったな。まぁ、そういうことだ。隣国よりの貴族達はなんらかの処分があるやもしれん。身に覚えのある者は首を洗って待っておれ」
陛下は高らかに笑って、話を続ける。
「国家反逆罪であるベアトリスとヘンリーは離縁となる。ヘンリーに新たな妃が必要だな。まぁ、それはまたおいおいだがな。さぁ、皆の者、パーティーの続きを楽しんでくれ。音楽を頼む。アビー、ラウ!」
音楽が鳴りだすとアビゲイルとラウレンツ兄様がホールに出て踊り出した。
ふたりの優雅なダンスに皆うっとりしている。
国王陛下上手いなぁ。
このダンスで先程の茶番劇が影を潜めた。
◆◆◆
手筈通り、ベアトリス様とギルバートは、あらかじめ捕らえられていた、隣国からついてきた使用人達、スパイ達とともに、移動魔法で強制送還された。
強制送還と言ってもただ移動魔法で王宮前に置き去りにしただけだ。
せめてもの情けでベアトリス達の荷物も一緒に移動させた。
「ちょっと待ってよ。どういう事?」
「母上、どういう事ですか? 説明してください!」
◇◇◇
「なんだかあっけなかったね。もっとウェブ小説の断罪シーンみたいなざまぁを期待していたのだけどなぁ」
ウェブ小説? ざまぁ? なんだろう?
アンネリーゼの言うことは時々難しい。
「もっと、ベアトリス様が言い訳したり、渋ったりすると思ったのに」
「そうね。伯父様が言う隙を与えなかったからね。さすが国王、何も言わせない空気感すごかったわよね」
「うん。威圧感半端なかった。ベアトリス様固まってたよね」
私は屋敷に戻ってから、サロンでアンネリーゼとお茶を飲みながらパーティーの時の話をしている。
アルトゥール様はまだ残って、フォローをしているようだ。
「アビゲイル様と伯父さんのダンス素敵だったなぁ。私もダンス習おうかな?」
「いいと思うわ。領地の子供達集めてダンス教室しようかしら?」
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