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43話 ざまぁ1 (ベアトリス視点)
なにがなんだかわからないうちに、国家反逆罪とか言われ、母国に戻された。
隣国とはいえ、あの国とこの国の距離は結構離れていて、馬車でひと月半くらいはかかる。
それなのに一瞬じゃない? 一瞬で戻れるなんて、ヘンリーは魔法使いだったの?
それに行方不明になっているアビゲイルだってちゃんといた。
なんなの? 全くわからないわ。
ヘンリーが契りの魔法で、唯一無二の人以外と閨事ができないなんて知らなかった。
ギルバートが自分の子じゃないこと、最初からわかっていて、私達を泳がしていたのね。酷いわ。まぁ、私も酷いことをしたのだからお互い様か。
それにしてもキースが裏切るなんて。親を殺されてもいいのかしら?
とにかく、お父様に会うしかないわね。
しばらくすると父の従者がやってきた。
「ベアトリス姫、陛下がお待ちです」
従者についていくと、父は怒り狂っていた。
「この馬鹿者が! 15年もの間耐えていたのに、全てぶち壊しだ」
「私じゃないわ。キースよ。キースがバラしたのよ。キースの親はどうしたの?」
「親はとうに死んだ」
死んだ?
「キースに知らせたの?」
「馬鹿か? 知らせるわけがないだろう。あいつは親を殺すと言えばなんでも言うことを聞く」
「だったらなぜ寝返ったの?」
お父様は腕組みをして考えているようだ。
「拷問でもされたのかもな。あいつは気が弱い。だから連れていくのは反対だったのだ」
お父様にあの国から伝書が届いたらしい。私とギルバート、スパイ達を引き取れ、そして本来なら処刑されるのだが、情けで返してやる。しかし、国家としては賠償金を請求すると。
お父様はまだ機嫌が悪いままだ。
「とにかくお前はラーナデンタ国の国王の後添いになってもらう」
私はお父様の言葉に絶句した。出戻ってきたばかりの可愛い娘にすぐ次の嫁ぎ先へ行けと言うなんて。
しかもラーナデンタ国の国王はもう60を超えているのに好色で、正妃になったものは次々と亡くなっているとの噂がある。
側妃も何人もいて、愛妾も沢山いると聞いた事もある。あの国の正妃は亡くなったばかりだし、そんな人のところに行きたくない。
「お父様、嫌です」
「お前に拒否権はない。賠償金はあの好色王が出してくれる。だから行くしかない。むざむざ戻ってきて、恥を知れ!」
お父様は優しかったのに。変わってしまった。
お父様より年上の人と閨事をするなんて気持ち悪い。逃げよう。逃げるしかない。
「逃げられると思うなよ。国王を骨抜きにしろ。その間に国を落とす。そしたらお役御免にしてやる」
お父様は騎士に命じ、私を逃げないように縄で縛りつけ、馬車に乗せた。
◇◇◇
「お~.ベアトリス姫。待っておったぞ」
何日馬車に乗っていたのだろう。逃げようとすると薬で眠らされるため、どれくらい経ったのかわからない。馬車から降ろされると、そこにはお父様より少し年上で見目麗しくない恰幅のいい国王らしき人がいた。
「わしの妃達が次々に亡くなってしまってな、困っておったのだ。愛妾ならどんな身分の娘でも良いのだが、正妃となるとそんなわけにはいかん。まぁ、我が国は妃は表に出ることはない。房事の相手をするだけでよい。だから頭もマナーも要らんのだ。仕事は子供を産む事だ。お前はすでに産んだ経験があるそうだな。生娘ではないし、話は早い」
ちょっと待ってよ。何が話は早いよ。房事の相手だけして何でそんなにみんな死んでいくのよ。逃げなきゃ。
「ベアトリス姫、逃げようとしても無駄じゃ。妃の部屋は皆鍵をかけてあり、出ることは許されん。窓にも鉄格子がはめてある。これからは死ぬまでこの部屋の中でわしの相手をし、子供を産むが良い」
私は足に長い鎖をつけられた。部屋の外に出ることがないのでドレスは与えられず、ずっと夜着を着ている。というか何も着ていない時間が長い。
国王は病気か、または誰かに呪いをかけられているのではないかと思うくらいタフだ。私だけでなく何人もの側妃や愛妾のところにも行くという。なのに子供はいない。やっぱり呪いね。跡継ぎを作るために励んでいるのに結果が出ない。種無しじゃないの?
それにしても、まだ、国を落とせないのかしら?
ぼやぼやしていたら国を落とす前に私が身体を壊して死んじゃうわ。
そういえば、お父様はあの時助けてやるじゃなく、お役御免にしてやると言っていたような気がする。お役御免って何よ。消されちゃうって事?
今度生まれ変わったら、あんな野心家の国王の娘なんかじゃなく、普通の娘に生まれて、普通の暮らしがしたい。駒になるのはもう沢山だわ。
お父様のいうことなんか聞かないで、あの国に本当の事を話せば保護してもらえたんじゃないかしら。
あの国は我が国に比べたらまともだった。ヘンリーは婚約者がいたし、私が正直に話していれば婚約者とその親達も殺されなくて済んだかも知れない。私も逃がしてもらえて、お父様に内緒でキースとギルバートと3人でどこかで静かに暮らせたかも知れない。
あ~失敗した。きっとキースにあんな扱いをしたからバチが当たったのね。
今、私は私がキースにした事をされているだわ。因果応報ね。
こんなことなら……。こんなことなら……。後悔ばかりだわ。
神様、今度はちゃんと生きます。真面目に勉強もします。マナーもダンスも学びます。だから、やり直させてほしい。お願いします。
私はゆっくり瞼を閉じた。
隣国とはいえ、あの国とこの国の距離は結構離れていて、馬車でひと月半くらいはかかる。
それなのに一瞬じゃない? 一瞬で戻れるなんて、ヘンリーは魔法使いだったの?
それに行方不明になっているアビゲイルだってちゃんといた。
なんなの? 全くわからないわ。
ヘンリーが契りの魔法で、唯一無二の人以外と閨事ができないなんて知らなかった。
ギルバートが自分の子じゃないこと、最初からわかっていて、私達を泳がしていたのね。酷いわ。まぁ、私も酷いことをしたのだからお互い様か。
それにしてもキースが裏切るなんて。親を殺されてもいいのかしら?
とにかく、お父様に会うしかないわね。
しばらくすると父の従者がやってきた。
「ベアトリス姫、陛下がお待ちです」
従者についていくと、父は怒り狂っていた。
「この馬鹿者が! 15年もの間耐えていたのに、全てぶち壊しだ」
「私じゃないわ。キースよ。キースがバラしたのよ。キースの親はどうしたの?」
「親はとうに死んだ」
死んだ?
「キースに知らせたの?」
「馬鹿か? 知らせるわけがないだろう。あいつは親を殺すと言えばなんでも言うことを聞く」
「だったらなぜ寝返ったの?」
お父様は腕組みをして考えているようだ。
「拷問でもされたのかもな。あいつは気が弱い。だから連れていくのは反対だったのだ」
お父様にあの国から伝書が届いたらしい。私とギルバート、スパイ達を引き取れ、そして本来なら処刑されるのだが、情けで返してやる。しかし、国家としては賠償金を請求すると。
お父様はまだ機嫌が悪いままだ。
「とにかくお前はラーナデンタ国の国王の後添いになってもらう」
私はお父様の言葉に絶句した。出戻ってきたばかりの可愛い娘にすぐ次の嫁ぎ先へ行けと言うなんて。
しかもラーナデンタ国の国王はもう60を超えているのに好色で、正妃になったものは次々と亡くなっているとの噂がある。
側妃も何人もいて、愛妾も沢山いると聞いた事もある。あの国の正妃は亡くなったばかりだし、そんな人のところに行きたくない。
「お父様、嫌です」
「お前に拒否権はない。賠償金はあの好色王が出してくれる。だから行くしかない。むざむざ戻ってきて、恥を知れ!」
お父様は優しかったのに。変わってしまった。
お父様より年上の人と閨事をするなんて気持ち悪い。逃げよう。逃げるしかない。
「逃げられると思うなよ。国王を骨抜きにしろ。その間に国を落とす。そしたらお役御免にしてやる」
お父様は騎士に命じ、私を逃げないように縄で縛りつけ、馬車に乗せた。
◇◇◇
「お~.ベアトリス姫。待っておったぞ」
何日馬車に乗っていたのだろう。逃げようとすると薬で眠らされるため、どれくらい経ったのかわからない。馬車から降ろされると、そこにはお父様より少し年上で見目麗しくない恰幅のいい国王らしき人がいた。
「わしの妃達が次々に亡くなってしまってな、困っておったのだ。愛妾ならどんな身分の娘でも良いのだが、正妃となるとそんなわけにはいかん。まぁ、我が国は妃は表に出ることはない。房事の相手をするだけでよい。だから頭もマナーも要らんのだ。仕事は子供を産む事だ。お前はすでに産んだ経験があるそうだな。生娘ではないし、話は早い」
ちょっと待ってよ。何が話は早いよ。房事の相手だけして何でそんなにみんな死んでいくのよ。逃げなきゃ。
「ベアトリス姫、逃げようとしても無駄じゃ。妃の部屋は皆鍵をかけてあり、出ることは許されん。窓にも鉄格子がはめてある。これからは死ぬまでこの部屋の中でわしの相手をし、子供を産むが良い」
私は足に長い鎖をつけられた。部屋の外に出ることがないのでドレスは与えられず、ずっと夜着を着ている。というか何も着ていない時間が長い。
国王は病気か、または誰かに呪いをかけられているのではないかと思うくらいタフだ。私だけでなく何人もの側妃や愛妾のところにも行くという。なのに子供はいない。やっぱり呪いね。跡継ぎを作るために励んでいるのに結果が出ない。種無しじゃないの?
それにしても、まだ、国を落とせないのかしら?
ぼやぼやしていたら国を落とす前に私が身体を壊して死んじゃうわ。
そういえば、お父様はあの時助けてやるじゃなく、お役御免にしてやると言っていたような気がする。お役御免って何よ。消されちゃうって事?
今度生まれ変わったら、あんな野心家の国王の娘なんかじゃなく、普通の娘に生まれて、普通の暮らしがしたい。駒になるのはもう沢山だわ。
お父様のいうことなんか聞かないで、あの国に本当の事を話せば保護してもらえたんじゃないかしら。
あの国は我が国に比べたらまともだった。ヘンリーは婚約者がいたし、私が正直に話していれば婚約者とその親達も殺されなくて済んだかも知れない。私も逃がしてもらえて、お父様に内緒でキースとギルバートと3人でどこかで静かに暮らせたかも知れない。
あ~失敗した。きっとキースにあんな扱いをしたからバチが当たったのね。
今、私は私がキースにした事をされているだわ。因果応報ね。
こんなことなら……。こんなことなら……。後悔ばかりだわ。
神様、今度はちゃんと生きます。真面目に勉強もします。マナーもダンスも学びます。だから、やり直させてほしい。お願いします。
私はゆっくり瞼を閉じた。
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