【完結】冤罪で処刑された令嬢は、幽霊になり復讐を楽しむ

金峯蓮華

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レティシア・バーレント

16話 馬術

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 次は馬術だ。馬術は馬に乗り、障害物をかわしながらタイムを争う。ようするに障害物競争だ。

 もちろん、以前から大得意種目だ。以前の私は大柄だった為、それなりに体重もあったが、今は小柄で体重が少ないので、その分馬の負担も少ないような気がする。

 フィーネが選んでくれた馬、ヴァンとの相性もピッタリだ。何もなかったら、また優勝できるはずだ。

 予選が3試合あり、タイムの良かった者が決勝に残る。

 ラルフが試合前に私に囁いた。

「姫様の体力温存のために、全力を出さず、手の内を見せないで決勝に行きましょう。6割くらいの力でも決勝には行けます」

 フィーネが笑う。

「そうね。みんなの目を欺いておいて、決勝でぶっちぎって優勝の方が楽しいわ。ラルフも策士だったのね」

「ち、違う。俺は姫様の身体の為に……」

 フィーネは分かっていてもラルフをからかっているのだ。

「はい、はい。とりあえず決勝まではのんびり行くわね」

 ラルフの言う通り6割くらいの力でも全体の5位で決勝に残れた。1位で決勝に残ったのはあの赤髪の男だ。

「ぎりぎりで残れて良かったな。弓はまぐれだっただろう。今度は負けないからな」

 めんどくさい奴だな。フランチェスカもこんなのが婚約者なんて可哀想に。

 フランチェスカも、もちろん決勝まで上がってきた。

「レティ、凄いわ。手抜きで決勝に残ったわね」

 フランチェスカはクスクス笑う。手抜きだとわかったのか?

「私は必死で、なんとか6位に食い込めたけど、レティは流している感じだったもの。決勝でぶっちぎるつもり?」

「どうしようかな? 別に優勝する為に出ているわけではないから、1位じゃなくてもいいのだけれど……」

「だめよ。1位になって。あいつの鼻を明かしてよ」

 そうだな。勝ってあの赤髪を凹ますのもいいな。

「じゃあ、ふたりでワンツーフィニッシュにしましょう」

「えっ、私は無理よ」

「大丈夫。フランに合った乗り方を教えるわ」

 フランチェスカに以前、私が馬に乗っていた時の技をこっそり教えた。同じ体型だからその乗り方だともっと力を出せるはずだ。

「なるほど、目から鱗だわ。これならもっと早くなりそうね。ありがとうレティ。ワンツーフィニッシュ目指しましょう!」

 決勝は6人で戦う。

 私はヴァンに「楽しもうね」と声をかけて、スターティングゲートに並ぶ。

 スタートの合図で飛び出した。

 コースには色々な障害が用意されている。予選より障害の数が増え、難度も上がっているが、まぁ、でも大したことはないな。

 私とヴァンは素早く駈け、素早く跳ぶ。本気を出せば少年の部で敵など無い。

 2位に大差をつけ、ぶっちぎりでゴールした。

 2位は赤髪とフランチェスカが競っている。

 最後のクロスバーのジャンプでフランチェスカの馬が大きく伸びた。赤髪の馬より着地が早い。よし、いける! そのままゴールに突っ込め!

 ふたりの馬がゴールに飛び込んできた。

 僅差だが頭ひとつフランチェスカの馬が早い。やった! 2位はフランチェスカだ!

 馬から降りてきたフランチェスカは興奮が冷めないようだ。

「レティ! やったわ! 2位よ、2位、あなたのアドバイス通りやったら、伸びが全然違うし、足運びも早くなったわ。レティ最高よ!!」

 公爵令嬢らしからぬ興奮ぶりだ。晴天の霹靂だったようで、観客席で見ていた公爵夫妻もフランチェスカの傍に走りより抱きついた。

「フランチェスカよくやった! お前は我が家門の誇りだ!」

 母親は涙を流している。この競技会の馬術部門で今まで女子が入賞することはなかった。それなのに今年はワンツーフィニッシュだ。

 いくら、女性にも門戸が開かれていると言っても女性蔑視はまだある。所詮女、女のくせにと言っている男達に勝ったのだ。

 赤髪は悔しそうに歯を食いしばり、拳を握りしめている。父と兄だろうか? 同じような赤髪のふたりに大声で叱責されている。

「女に負けるとは末代までの恥だ。お前のような者が弟で情けない」

「馬鹿者が! 婚約者に負けよって! 恥をしれ!」

 赤髪も正々堂々走って負けたのだ。労いの言葉ではなく責めて罵倒するなんて、つまらない家族だ。

「次は絶対負けません。必ず優勝します」

 赤髪は悔し涙を流している。

 そういえばフランチェスカは小さい頃は良い子だったと言っていたな。あんな父親や兄の影響を受けなかったら、嫌な奴になっていなかったかもしれない。

 次の剣か。まぁ、私も負けないけどね。
赤髪達に女でもデキルところを見せつけてやりましょうかね。

「レティ、凄いな。鍛錬している時からレティは才能があると思っていたが、ここまで強いとはな。私も頑張らなくては」

 兄は嬉しそうだ。父など祝賀パーティーをいつもより大きくしなくてはウキウキしている。

「ラルフとフィーネのおかげですわ。ふたりが私の力を引き出してくれたのです」

「さすがラルフとフィーネだな。ただ、体力をつけるだけのつもりでふたりに頼んだのに、ここまで力をつけてもらえるとは。お前達にも褒美を取らすぞ」

 父の言葉にラルフは遠慮気味だ。

「滅相もありません。姫様のお力です。私は何も……」

「いえ、ラルフはよく教えていましたわ。陛下、まだ剣があります。レティシア様が1番得意なのは剣です。剣の試合も楽しみにして下さいませ」

 フィーネの言葉に父は「そうか、そうかと大喜びだ。

 さぁ、次は最後の剣の試合だ。

ちなみに私達が出場しなかった槍の試合は赤髪が優勝したようだ。やっと面目躍如ということみたいだ。

 でも、観客はあの令嬢達が出場していたらまた負けたかもしれないと口々に言っているらしい。赤髪のプライドはズタズタかな?

 他人のことはどうでもいい。私は私の試合を楽しむだけだ。

 剣も優勝するぞ~!!



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