【完結】冤罪で処刑された令嬢は、幽霊になり復讐を楽しむ

金峯蓮華

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レティシア・バーレント

17話 競技会終了

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 剣のトーナメント戦がはじまった。フランチェスカは剣の試合には出場していないので、婚約者ではなく、私の応援をしてくれている。

 私は弓と馬術で優勝しているからかシードで、3回戦まで試合がない。

 赤髪も槍で優勝しているので、2回戦からだ。

 私達はトーナメントの両端いる。私は北の端、赤髪は南の端で、当たるのは決勝だ。

 赤髪も強い。大きな身体と体力をいかしたダイナミックな戦い方だ。荒削りだが伸び代もある。きっとラルフに師事したら本来持っている良さがいきて、強い剣士になれるだろう。しかし、性格に難ありだ。

 私に負けたイライラを剣にぶつけている。剣に私怨を乗せて相手を叩きのめしているだけだ。

 冷静さに欠け、相手を見ていない。相手の動きを読むようなこともない。ただの力任せだ。敵にあらずだな。

 3回戦と準決勝の相手はちゃんとしていた。女性だからと侮ることもなく、私に負けたあとも「完敗です。楽しい試合でした」と握手を求めてきた。

 その方々の家族も彼を「頑張ったけど、相手が強かったな。次は負けないようにまた鍛錬だな」と労い励ましていた。

 やはり、家族は大事だな。馬鹿が育てると馬鹿になる。

 赤髪は私の試合をひと試合も見ていないようだ。相手の戦い方を知らないで戦うのだな。過信は身を滅ぼすだけだ。

 いよいよ決勝だ。赤髪と顔を合わす。

「なんだ、勝ち上がってきたのか? 相手が余程弱かったのか、それとも金でも渡して負けてもらったのか?」

 私だけでなく、対戦相手まで侮辱してくる。

「今の言葉許せません。あなたの家に抗議します。私と対戦した方々はどの方もあなたとは違って立派な剣士でしたわ」

「どうだか。勝手に抗議しろよ。もう二度と剣を持つ気にならないくらい、コテンパンにしてやるよ」

 あぁ、嫌な奴だ。さっさと終わらせよう。

「試合はじめ!」

 審判の声で試合がはじまった。

「一瞬で決めてやるぜ!」

 叫びながら赤髪が突進してくる。私は飛び上がり、奴の後ろに舞い降りた。

「なんだと~! こしゃくな奴め!」

 振り返り、剣を振り上げた瞬間、私の剣が赤髪の胴を斬りつけた。斬りつけたと言っても競技用の剣には刃が付いていないので、実際に斬られることはない。

 あまりの速さに審判が息を呑む。私の持ち味は俊敏さと速さ。フィーネに鍛えられた体幹があるから動ける。

「一本! 北の勝利!」

「そ、そんな、まさか……」

 赤髪は座り込み項垂れている。

「南の選手、挨拶をしなさい」

 審判に言われしぶしぶ立ち上がったが、挨拶どころか私の顔を見ない。なんだか目が虚だ。

 観客達は優勝候補が敗れ、初出場の小さな女の子が勝利したことで大盛り上がりだ。


 表彰式で初めて名前が明かされた。

「弓の部、馬術の部、剣の部、3つの部で優勝したのは、レティシア・バーレント! 我がバーレント王国の王女殿下です」

 場内アナウンスに観客がどよめく。

「殿下、喜びの声をいただけますか」

 マイクを私に向けた。

「3つの種目で優勝できたことはとても嬉しく思います。13歳になるまで、病がちで運動とは皆無の生活を過ごしておりました。医師や看護師、薬師方のおかげで元気な身体を取り戻すことができ、フィーネとラルフの鍛錬のおかげでこの大会で頑張ることができました。私のように身体の小さな女の子でも身体の大きな、強い男の子と互角に戦える姿を見て、病気がちな人や女性に希望を持ってもらえたら嬉しいです。この大会に出場することをすすめてくれた父に感謝します。皆さん、ありがとうございました」

 ぺこりと頭を下げた。

「姫様万歳!」

「レティシア姫万歳!」

「姫様!」

 皆口々に称賛の声をあげてくれている。

 ラルフは号泣だ。

 続いて総合2位の発表だ。

「惜しくも1位は逃しましたが、槍の優勝、他の競技も素晴らしい成績でした。
ゲオルグ・リッケン! リッケン侯爵家の子息であります。尚、リンケン卿は所用により表彰式は不参加であります」

 赤髪はリッケン侯爵家の子息だったか。それにしても不参加って?

 表彰式が終わり、フランチェスカが花束を持ち、会いにきてくれた。

「ゲオルグ・リッケンは表彰式出なかったね。プライドが傷ついて出るの嫌だったのかしら?」

 フランチェスカは難しい顔をしている。

「それもあるかもしれないけど、侯爵に女にまけるなど家の恥だと連れて帰られたみたい」

 そんな。

「去年もふた種目落としたから折檻されていたわ」

「折檻?」

「ええ、リッケン侯爵家はそういう家なの。侯爵の意にそぐわないことがあると、体罰を受けるのよ。ゲオルグも鞭で打たれた痕があるわ。ゲオルグのお姉様は侯爵に殴られた後遺症で片方の耳が聞こえなくなったの。もう手駒にもならないからと領地の屋敷に閉じ込められているそうよ」

 フランチェスカの言葉に耳を疑った。父や兄は知っているのか?

「侯爵、かなり怒っていたから、ゲオルグは酷い目に遭っているのじゃないかしら。前に父が体罰はどうかと思うと意見したのだけれど、他家の躾に口を挟まないでほしいと言われたので、それからはもう何も言えないのよ」

 ゲオルグがどうなっているのか、気になるが、私にもどうしようもない。

 フィーネが私の耳元で囁いた。

「レティシア様、うちの者を潜入させております。その者達からの報告をお待ち下さい」

 影か。それなら報告を待つしかない。

 ゲオルグのことが気になるが、とにかく今日は疲れた。王女宮に戻って少し眠りたい。

 うつらうつらしている私をラルフが抱っこしてくれた。

「姫様、ゆっくりお休み下さい。このまま馬車までお連れします」

「ありがとう。疲れた~。眠いわ~」

 そのまま夢中に突入していった。




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