18 / 35
レティシア・バーレント
18話 ゲオルグの今
しおりを挟む
競技会以来、フランチェスカと時々、お茶会を楽しんでいる。ゾイゼ家は親戚で公爵は父とも仲がいい。私達が仲良くなることに何の問題もなかった。
「レティ、私ね。婚約が解消になったの」
「うん。父から聞いたわ。リッケン卿が、廃籍されたんでしょう?」
「ええ、競技会で私達に負けたことで、侯爵が腹を立てて、折檻したあと叩き出したらしいわ」
酷い親だ。
「弟と再婚約しないかと打診されたけど、断ったの。もう、あの家に関わりたくないわ。うちの方が爵位が上で良かったわ。向こうもゴリ押しできないものね」
確かに爵位が下なら、偉そうにゴリ押しするだろう。
「でも、ゲオルグが行方不明になっているの。酷い折檻を受けてかなり怪我をしているようなので、あんな奴だけど、長年婚約者だったし、気になっているの」
目の前に座るフランチェスカは肘を付いて両手の指を緩く絡ませ、不安そうな表情をしている。
「ゲオルグは保護しているわ」
「えっ?」
フランチェスカは驚いたのから目を丸くしている。
「あの父親や兄が気になったので。競技会の後からフィーネの家の手の者に潜入してもらっていたの。折檻を止めることはできなかったそうだけど、屋敷から放り出されてすぐ保護して病院に連れて行き、手当を受けさせたわ。何箇所か骨折していたし、鞭で打たれて皮膚が裂けていたり、火傷もあったらしくて、かなり酷い状態だったと報告を受けているわ」
「今も病院に?」
「いえ、今はクーア侯爵家で療養しているの」
「フィーネ様が拾ってくれたのね。良かったわ」
安心したような表情を浮かべた。
「本人次第なのだけど、身体が良くなったらラルフに預けようと思っているの。もう、廃籍されてリッケン家とは関係ないし、あの能力を埋もれさすのは勿体無いものね。フランはどう思う?」
フランチェスカは眉根を寄せた。
「そりゃ、ラルフ様はゲオルグの憧れの人だからゲオルグは喜ぶだろうけど、あの性格よ。大丈夫かしら?」
確かに小さい頃から父親に刷り込まれている偏見はそう簡単にはなおらないだろう。
「それは、クーア家に任せましょう」
クーア家に任せておけばなんとかなるだろう。
「でも、良かったわ。あのまま野垂死なれたら寝覚めが悪いもの。さすがレティね。やっぱり凄いわ」
いや、別に私は凄くはない。王女だから周りが動いてくれるだけだ。
それからしばらくしてゲオルグがフィーネに付き添われ、王女宮にやってきた。まだあちらこちらに包帯が巻かれていて痛々しい。
ゲオルグは私の前に跪いた。
「王国の咲き誇る花であられる王女殿下にご挨拶申し上げます。元リッケン侯爵家が次男、ゲオルグと申します。今は廃籍され、平民の身、殿下の御前に姿を見せる無礼をお許し下さい」
たどたどしく挨拶の口上を述べる。
「ゲオルグ、顔を上げて頂戴。クーア家はどうだった?」
少し顔を上げたゲオルグはあの時より少し痩せて精悍な顔つきになっていた。
「クーア家で私の間違った考えや驕り高ぶっていた心を綺麗に洗い流してもらいました。今はただ、生家の父や祖父、兄に嫌悪しかありません。そして今までの自分を恥じています。殿下、あの時はご無礼致しまして申し訳ありませんでした」
まるで別人のようで驚いてしまう。フィーネの話では、クーア家独特の手法で真人間に戻したらしい。ゲオルグの素は善良な人間だったからなんとか元に戻れたという。
さすが我が国の暗部。クーア家はかなり怖い技を色々持っているようだ。ゲオルグから男尊女卑の思想を消し、高圧的なところも消した。そして、父や兄を嫌悪するようにマインドコントロールをしたのだろうか? あとでフィーネに聞いてみよう。
「ねぇ、ゲオルグ、あなたに提案があるのだれど、あなたさえ良ければ、ラルフの弟子にならない? ラルフの補佐として護衛騎士の修行をしてもらいたいの。興味ないかしら?」
ゲオルグは大きく目を見開き固まっている。まさかこんな事を言われるなんて思っていなかったのだろう。
「シュタイン卿の弟子、補佐ですか?」
「嫌なら無理にとは言わないわ」
ゲオルグは首を振る。
「無理などとんでもない。身に余る光栄です。が、しかし、姫様にご無礼を働いた私にそんな資格はありません」
「資格とか関係ないわ。私はあなたを良い護衛騎士になれる人間だと評価したの。別に私に忠誠を誓えとか言ってるんじゃないわ。あなたは本来のあなたで生き直してみたらどうかと思うの。まだ14歳だもの。やり直せるわ」
「やり直せる……」
「ええ」
ゲオルグはどうしていいのかわからないようだ。
「嫌じゃないようなので決まりね。それから、クーア家の養子になってもらうわ。今日からゲオルグ・クーアと名乗ってね。確か7男だったかしら?」
フィーネの顔を見ると頷いている。我が国の暗部であるクーア家の実子はフィーネともうひとつだけであとは全て養子らしい。信頼のできる者を養子にし、影として鍛えていくそうだ。ゲオルグは影になる訳ではないが、リッケン家と完全に決別するためにクーア家に属してもらうことにした。
ゲオルグは跪き涙を流している。それにしても凄い洗脳だな。あの時のゲオルグと今のゲオルグが同じ人間だと思えない。
ゲオルグをラルフに預け、私は自室に戻った。
「ねぇ、フィーネ、クーア家の洗脳って凄いわね。どうやってマインドコントロールするの?」
フィーネはニヤリと口角を上げた。
「あれは洗脳を解いただけですわ。ゲオルグは父親からかなりひどく洗脳されていたようで、解くのに時間がかかったみたいです。暴力や暴言を使いながら洗脳したのでしょう。潜在意識の中に父の考え方を受け入れないと怖い目に遭う、痛い目に遭う。そう思って逆らえなくしたようです。早く夫人や屋敷にいるまだ年若い子息、令嬢達も保護して洗脳を解いた方が良いのですが、今はまだ難しいようです」
「そうなの。では、あれはゲオルグの素の姿? そういえば、フランが小さい頃は良い子だったと言っていたわね」
フィーネは頷く。
「元々、ゲオルグは気が小さく、繊細で優しく性格みたいです。父親が怖くて、暴力を振るわれないために、あんな風になってしまったのでしょうね。廃籍されてよかったですわ」
早急にリッケン侯爵家をなんとかしないといけないな。まずは屋敷にいる夫人と令嬢達を救出するか。
父や兄を巻き込んでやるのが早いだろう。私はヨハンを呼び、父と兄に内密に会って話がしたいから時間を作って欲しいと伝言を頼んだ。
「レティ、私ね。婚約が解消になったの」
「うん。父から聞いたわ。リッケン卿が、廃籍されたんでしょう?」
「ええ、競技会で私達に負けたことで、侯爵が腹を立てて、折檻したあと叩き出したらしいわ」
酷い親だ。
「弟と再婚約しないかと打診されたけど、断ったの。もう、あの家に関わりたくないわ。うちの方が爵位が上で良かったわ。向こうもゴリ押しできないものね」
確かに爵位が下なら、偉そうにゴリ押しするだろう。
「でも、ゲオルグが行方不明になっているの。酷い折檻を受けてかなり怪我をしているようなので、あんな奴だけど、長年婚約者だったし、気になっているの」
目の前に座るフランチェスカは肘を付いて両手の指を緩く絡ませ、不安そうな表情をしている。
「ゲオルグは保護しているわ」
「えっ?」
フランチェスカは驚いたのから目を丸くしている。
「あの父親や兄が気になったので。競技会の後からフィーネの家の手の者に潜入してもらっていたの。折檻を止めることはできなかったそうだけど、屋敷から放り出されてすぐ保護して病院に連れて行き、手当を受けさせたわ。何箇所か骨折していたし、鞭で打たれて皮膚が裂けていたり、火傷もあったらしくて、かなり酷い状態だったと報告を受けているわ」
「今も病院に?」
「いえ、今はクーア侯爵家で療養しているの」
「フィーネ様が拾ってくれたのね。良かったわ」
安心したような表情を浮かべた。
「本人次第なのだけど、身体が良くなったらラルフに預けようと思っているの。もう、廃籍されてリッケン家とは関係ないし、あの能力を埋もれさすのは勿体無いものね。フランはどう思う?」
フランチェスカは眉根を寄せた。
「そりゃ、ラルフ様はゲオルグの憧れの人だからゲオルグは喜ぶだろうけど、あの性格よ。大丈夫かしら?」
確かに小さい頃から父親に刷り込まれている偏見はそう簡単にはなおらないだろう。
「それは、クーア家に任せましょう」
クーア家に任せておけばなんとかなるだろう。
「でも、良かったわ。あのまま野垂死なれたら寝覚めが悪いもの。さすがレティね。やっぱり凄いわ」
いや、別に私は凄くはない。王女だから周りが動いてくれるだけだ。
それからしばらくしてゲオルグがフィーネに付き添われ、王女宮にやってきた。まだあちらこちらに包帯が巻かれていて痛々しい。
ゲオルグは私の前に跪いた。
「王国の咲き誇る花であられる王女殿下にご挨拶申し上げます。元リッケン侯爵家が次男、ゲオルグと申します。今は廃籍され、平民の身、殿下の御前に姿を見せる無礼をお許し下さい」
たどたどしく挨拶の口上を述べる。
「ゲオルグ、顔を上げて頂戴。クーア家はどうだった?」
少し顔を上げたゲオルグはあの時より少し痩せて精悍な顔つきになっていた。
「クーア家で私の間違った考えや驕り高ぶっていた心を綺麗に洗い流してもらいました。今はただ、生家の父や祖父、兄に嫌悪しかありません。そして今までの自分を恥じています。殿下、あの時はご無礼致しまして申し訳ありませんでした」
まるで別人のようで驚いてしまう。フィーネの話では、クーア家独特の手法で真人間に戻したらしい。ゲオルグの素は善良な人間だったからなんとか元に戻れたという。
さすが我が国の暗部。クーア家はかなり怖い技を色々持っているようだ。ゲオルグから男尊女卑の思想を消し、高圧的なところも消した。そして、父や兄を嫌悪するようにマインドコントロールをしたのだろうか? あとでフィーネに聞いてみよう。
「ねぇ、ゲオルグ、あなたに提案があるのだれど、あなたさえ良ければ、ラルフの弟子にならない? ラルフの補佐として護衛騎士の修行をしてもらいたいの。興味ないかしら?」
ゲオルグは大きく目を見開き固まっている。まさかこんな事を言われるなんて思っていなかったのだろう。
「シュタイン卿の弟子、補佐ですか?」
「嫌なら無理にとは言わないわ」
ゲオルグは首を振る。
「無理などとんでもない。身に余る光栄です。が、しかし、姫様にご無礼を働いた私にそんな資格はありません」
「資格とか関係ないわ。私はあなたを良い護衛騎士になれる人間だと評価したの。別に私に忠誠を誓えとか言ってるんじゃないわ。あなたは本来のあなたで生き直してみたらどうかと思うの。まだ14歳だもの。やり直せるわ」
「やり直せる……」
「ええ」
ゲオルグはどうしていいのかわからないようだ。
「嫌じゃないようなので決まりね。それから、クーア家の養子になってもらうわ。今日からゲオルグ・クーアと名乗ってね。確か7男だったかしら?」
フィーネの顔を見ると頷いている。我が国の暗部であるクーア家の実子はフィーネともうひとつだけであとは全て養子らしい。信頼のできる者を養子にし、影として鍛えていくそうだ。ゲオルグは影になる訳ではないが、リッケン家と完全に決別するためにクーア家に属してもらうことにした。
ゲオルグは跪き涙を流している。それにしても凄い洗脳だな。あの時のゲオルグと今のゲオルグが同じ人間だと思えない。
ゲオルグをラルフに預け、私は自室に戻った。
「ねぇ、フィーネ、クーア家の洗脳って凄いわね。どうやってマインドコントロールするの?」
フィーネはニヤリと口角を上げた。
「あれは洗脳を解いただけですわ。ゲオルグは父親からかなりひどく洗脳されていたようで、解くのに時間がかかったみたいです。暴力や暴言を使いながら洗脳したのでしょう。潜在意識の中に父の考え方を受け入れないと怖い目に遭う、痛い目に遭う。そう思って逆らえなくしたようです。早く夫人や屋敷にいるまだ年若い子息、令嬢達も保護して洗脳を解いた方が良いのですが、今はまだ難しいようです」
「そうなの。では、あれはゲオルグの素の姿? そういえば、フランが小さい頃は良い子だったと言っていたわね」
フィーネは頷く。
「元々、ゲオルグは気が小さく、繊細で優しく性格みたいです。父親が怖くて、暴力を振るわれないために、あんな風になってしまったのでしょうね。廃籍されてよかったですわ」
早急にリッケン侯爵家をなんとかしないといけないな。まずは屋敷にいる夫人と令嬢達を救出するか。
父や兄を巻き込んでやるのが早いだろう。私はヨハンを呼び、父と兄に内密に会って話がしたいから時間を作って欲しいと伝言を頼んだ。
666
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―
鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。
泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。
まだ八歳。
それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。
並ぶのは、かわいい雑貨。
そして、かわいい魔法の雑貨。
お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、
冷めないティーカップ、
時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。
静かに広がる評判の裏で、
かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。
ざまぁは控えめ、日常はやさしく。
かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。
---
この文面は
✔ アルファポリス向け文字数
✔ 女子読者に刺さるワード配置
✔ ネタバレしすぎない
✔ ほのぼの感キープ
を全部満たしています。
次は
👉 タグ案
👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字)
どちらにしますか?
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」
その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。
王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。
――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。
学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。
「殿下、どういうことでしょう?」
私の声は驚くほど落ち着いていた。
「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」
婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので
ふわふわ
恋愛
「婚約破棄?
……そうですか。では、私の役目は終わりですね」
王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、
国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢
マルグリット・フォン・ルーヴェン。
感情を表に出さず、
功績を誇らず、
ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは――
偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。
だが、マルグリットは嘆かない。
怒りもしない。
復讐すら、望まない。
彼女が選んだのは、
すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。
彼女がいなくなっても、領地は回る。
判断は滞らず、人々は困らない。
それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。
一方で、
彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、
「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。
――必要とされない価値。
――前に出ない強さ。
――名前を呼ばれない完成。
これは、
騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、
最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。
ざまぁは静かに、
恋は後半に、
そして物語は、凛と終わる。
アルファポリス女子読者向け
「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。
小石だと思っていた妻が、実は宝石だった。〜ある伯爵夫の自滅
みこと。
恋愛
アーノルド・ロッキムは裕福な伯爵家の当主だ。我が世の春を楽しみ、憂いなく遊び暮らしていたところ、引退中の親から子爵家の娘を嫁にと勧められる。
美人だと伝え聞く子爵の娘を娶ってみれば、田舎臭い冴えない女。
アーノルドは妻を離れに押し込み、顧みることなく、大切な約束も無視してしまった。
この縁談に秘められた、真の意味にも気づかずに──。
※全7話で完結。「小説家になろう」様でも掲載しています。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる