【完結】冤罪で処刑された令嬢は、幽霊になり復讐を楽しむ

金峯蓮華

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レティシア・バーレント

22話 お茶会2

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 お茶会はとても穏やかだった。

 母が女性の保護施設を作りたいという話に皆が賛同してくれた。高位貴族がお手伝いをすることによって、施設のことが周りに広がり、虐げている者や家があることが表にでる。そうすれば虐げていた側の立場が悪くなり、失脚させることも可能だ。

 今までも、夫が妻子を虐待する話や後添いが先妻の子を虐待する話が耳に入ってきたが、隠蔽されてしまい、なかなか外に出ることがなかった。

 しかし、今回は私が絡んだことで、フィーネが暗部を潜入させたので、今までは他家のことに踏み込めないでいたが、リッケン侯爵の不正などを見つけることができ、夫人達を救うためのシナリオを作ることができた。

 夫人や令嬢達はカリーナとゲオルグの登場で、すっかり落ち着いたようだ。しばらくは王妃宮の奥にある、プライベートエリアで匿うことになった。

「侯爵家を潰すわね。あなたと令嬢達はしばらく静養して、健康を取り戻してくれればいいの」

 母は夫人に優しく声をかけている。

「私達などにそこまでお気遣いいただき、ありがとうございます。でも、あの夫が黙って離縁するとは思えません。ご迷惑をおかけしてしまいます」

 夫人は侯爵にかなり洗脳されているようだ。どう考えてもただの侯爵が王妃に手出しをできる訳がない。

「大丈夫。心配はいらないわ。そのあたりはクーアの者に任せておけばいいわ。うまくやってくれるから」

「クーアの者?」

「そう、そんなこと、あなたは気にしないでいいのよ。私は若い頃、あなたのお姉さんにお世話になったの。だから恩返しだと思ってくれればいいわ」

 母は他国に留学していた頃、ちょっとしたトラブルに巻き込まれてしまい困っていた時に、その国に嫁いでいた夫人の姉が手を差し伸べてくれたそうだ。その縁でそれから夫人の姉と交流していたという。

 リッケン侯爵家のことを調べ出して、夫人があの人の妹だとわかり、母は今恩を返さなくて、いつ返すのだと思ったのだという。

 母の話では、夫人と令嬢達は、姉が引き取りたいと言っているらしい、このまま国の実家に戻るより、他国にいる自分の元にいた方が安心だと姉は言っているそうだ。
母もそれがいいと思っているという。

 夕刻になり、お茶会が終わる時間になった。夫人の学生時代の友人も何人か参加していたこともあり、夫人も来た時より元気を取り戻したように見える。

 皆がまたの再会を約束し、お開きとなった。

 従者が母に近づき、耳元で何かを囁いている。母がニヤリと笑った。

「夫人、あなた達は行方不明になったわ。御者は殺害され、あなた達は何者かに連れ去られた。侯爵家には犯人から身代金を要求されているはずよ。侯爵がどうなるか楽しみね」

 母の言葉に夫人は顔色が悪くなる。

「妃殿下、御者はゴードンですよね? ゴードンは亡くなったのですか?」

 夫人はやっぱり優しいひとだ。御者のことを心配している。母は夫人の肩に手を置いた。

「大丈夫よ。御者の死体は、すでに亡くなっている人の死体なの。ゴードンはこちらの手の者よ。あなた達を助け出す為に潜入していたの」

「では、誰も傷ついていないのですね」

「ええ、だから心配はいらないわ。ほら、あそこにゴードンがいるでしょ?」

 母の指さす方を見ると、ゴードンがにっこり笑って頭を下げた。

「良かった……」

 夫人も安心したようだ。


 夜になり、手の者から報告が来た。母は怒りの表情をしている。

「侯爵は支払いを拒否したそうよ。夫人と令嬢達はいらない。煮るなり焼くなりすれば良いとね」


 しばらくしたある日、侯爵家の屋敷の前に夫人と令嬢達らしい遺体が並べられていたそうだ。

 溺死したようでびしょ濡れでふやけ、見るに耐えない姿になっていらしい。着ていたドレスや身につけていたアクセサリーで間違いないと思われたようだ。

 侯爵の命令ですぐに片付けられたが、屋敷の前だったせいで目撃者も多く、人の口に戸は立てられない。それに暗部が意図的に噂を流している。誘拐された妻子の身代金を出さなかった侯爵のせいで妻子が溺死させられ、屋敷の門の前に並べられていたと、王都中の皆が知ることとなった。

 その頃、夫人達は秘密裏に逃がされ、姉の元に保護されていた。

 カリーナは自分の意思でエリーゼの元に残り、ゲオルグもラルフの元に残ることになった。

 さぁ、リッケン侯爵家を潰しましょうか。


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