【完結】冤罪で処刑された令嬢は、幽霊になり復讐を楽しむ

金峯蓮華

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レティシア・バーレント

23話 リッケン侯爵の顛末

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 潜入していたクーアの者達がリッケン侯爵家の家令のトーマスと協力し、長年、リッケン侯爵が税の誤魔化し私腹を肥やしていたこと、高利で貴族に金を貸し酷い取り立てをしていたことなどの証拠を揃えた。

 我が国では国王の許可なしに貸金業を営んではいけないと法律で決まっている。それゆえにまず、貸金が法律違反ということだ。

 しかも侯爵は貸金をするために、狙いをつけた貴族を、違法賭博などで罠にかけ、困窮させ、甘い言葉で近づき、金を貸していた。高利で支払いができないと、娘を金持ちの後妻や妾に斡旋していたという。

 自分は贅沢をし、妻や子供には最低限のモノしか与えない。

 子供は全て駒だ。男児はリッケン侯爵家の思想を洗脳し、学問や剣など得意なもので身を立てられるように教育した。

 嫡男以外は、有力な貴族や豪商の養子や娘の婿にしていた。ゲオルグは剣が得意だったので、武門のゾイゼ公爵家の令嬢と婚約をしていた。

 女児は皆、見た目が見目麗しく、貴族や金持ちの平民の嫁、後妻、妾などにしていたという。微々たる持参金を出して、ほうがいな法外な結納金を支払わせていたらしい。

 カリーナは片方の耳が聞こえなくなった為に廃籍し、平民とした上で、領地で使用人のような生活をさせ、使用人の仕事をあらかたできるようになったら他国の奴隷商人に売る手筈になっていた。もう少し救出が遅れていたら売られているところだった。

 リッケン侯爵の罪は脱税、詐欺、人身売買、違法賭博等、いくつにも及んだ。

 侯爵と嫡男は捕らえられ、まだ年端もいかない男児達は保護された。

「陛下、脇が甘すぎますわ。これだけ不正をしているのを気づかなかったのですか?」

 母は冷気を放ちながら父を責める。

「全く面目ない。私の怠慢だ。こんな輩出ないように、リッケン侯爵を見せしめにする」

 大きな身体の父が小さく見える。

「陛下ばかりを責めるわけにはいきません。私も同罪です。これからはもっと目を光らせます」

 王太子である兄も小さくなっている。

「まぁ、私もレティに言われるまで調べようともしなかったわ。噂は聞いていたのに。私も陛下を叱れないわね。処分はどうなったの?」

「あぁ、大臣達と協議した結果、リッケン侯爵家は伯爵家に降爵し、爵位と領地は王家預かりとする。侯爵と嫡男は平民に落とし、鉱山での労働刑にすることにした。刑期を終えて外に出ることができたとしても平民だ。カリーナやゲオルグに危害を加えることはできないだろう。まぁ、あの鉱山での労働刑になった貴族が刑期を終えて出てきたことなど一度も無い。リッケン侯爵と嫡男も無理だろうな」

 父はふっと笑った。

「レティ、お前のおかげだ。ありがとう。これからは貴族達の動きに目を凝らし、リッケンのように悪行で私腹を肥す奴が出ないようにするよ」

「そうだね。レティはすごいよ。兄として誇りに思う」

 父と兄に褒められた。いやぁ、私は特に何もしていない。競技会で楽しんだらこんな感じになっただけだ。

 まぁ、膿が出て良かった。

「私は何もしていませんわ。お父様、お母様、お兄様、お義姉様が動いてくれたおかげで膿が出て良かったです。悪しき考えや習慣が無くなることを祈ります」

 本当にみんながニュートラルな考えになるのが1番いい。男も女も同じで男だけが偉いなどという思想はあってはならない。

 リッケン侯爵の事件以来、同じように強い男尊女卑の考えを持つ家門はなりを潜めている。水面下で広がるのを止める為に父や兄は尽力している。

 その一環として、幼い子供を教えるチューターやガヴァネスの思想や素行にも目を光らすために、どちらも王家の試験と面接を受け、認定された者以外は職につくことができなくなった。

 子供にはニュートラルな考えを持たさなければならない、偏った思想を持つチューターやガヴァネスは職を失った。

 母の夫人や令嬢を保護する施設もまずは小規模で作られた。

 これはのちに国中に広がり、貴族平民問わず駆け込みシェルターのようになる第一歩目であった。


 フランチェスカとゲオルグの婚約は一旦解消になったが、フランチェスカは長年の婚約者の情からか、ゲオルグに付き添って一緒にリハビリをしている。

 すっかり憑き物が落ちたようなゲオルグはなんだかラルフに似てきたような気もする。ゲオルグはクーア侯爵家の養子だし、このままフランチェスカと寄りを戻しても特に問題はない。私達は黙って見守ることにした。


 そして月日は流れ、私は16歳になった。

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