【完結】冤罪で処刑された令嬢は、幽霊になり復讐を楽しむ

金峯蓮華

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レティシア・バーレント

24話 戦争?

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 遠く離れた場所で戦争が始まったらしい。

 夕食のあと、父から話があった。

「どちらの国とも地理的にも離れているし、国交もない。我が国は静観しているだけだと思う」

 父は腕組みをし、難しい顔をしている。

「どこと、どこの国が戦っているのですか?」

 私はなんだか嫌な予感がして父に聞いてみた。

「東の方にある、クレール王国がアレンス王国に攻め込んだようだ」

 アレンス王国……元の私の母国だ。ゲイルの父や母は大丈夫なのだろうか。

「どうした? 顔色が悪いぞ」

「大丈夫ですわ。戦争などと聞いて怖くなったのです。我が国は大丈夫なのですか?」

 父が頷く。

「我が国は大国だ。中立国であるから戦争はしないが攻撃されれば、それを迎え撃つ軍事力はある。もし、この戦争が長引けば仲裁をする任務を国連から申し付けられるかも知れんな。今はとにかく静観だ。どういう過程で戦争になったのか独自で調べておく必要があるやも知れん」

 立ち上がった父は部屋を出て行った。

 アレンス王国はクレール王国に攻め込まれたと父は言っていたが、私がまだレティシア・ゲイルだった頃、アレンスとクレールは同盟国だった。クレールにお嫁に行った令嬢もいたし、クレールからお嫁に来た令嬢もいたはず。あれから3年、両国に何があったのか?

 私は朝の王女教育のあと、フィーネに聞いてみた。

「ねぇ、フィーネ。アレンス王国とクレール王国の戦争のこと、何か知ってる?」

 フィーネは難しい顔をしている。

「レティシア様、耳が早いですわね。余りにも遠い国同士の戦争なので、まだ詳しいことは分かりかねます。ただクレール王国がアレンス王国に攻め込み、アレンス王国はかなりの被害が出ているようです」

 被害が出ている。父母や陛下達、友人達は大丈夫なのか? 心配でたまらない。

「ラルフ、詳しいこと知ってる?」

 フィーネはラルフに話を振った。フィーネとラルフは去年結婚し、クーア家が持っていた伯爵家を継ぎ、ラルフはクーア伯爵となっている。ふたりは元々同級生で顔見知りだったが、私の側付きになったことでいつの間にか愛が芽生えたらしい。私は2人にとって愛のキューピッドというわけだ。

 今は、そんな話をしている場合ではなかった。私はアレンス王国のことが気になる。

 ラルフはふうっと長いため息をついた。

「アレンス王国は元々平和な国だったようで軍事力がそれほど強くないみたいですね。3年くらい前に何がトラブルがあり、当時の王太子が失脚し、確か他国に留学していた弟殿下が呼び戻されて、王太子になってから、軍事にも力を入れ始めたと聞いていましたが、まだ3年では、軍事力のあるクレール王国と戦うのは難しいでしょうね」

 父と同じように腕組みし、難しい顔をしている。アレンス王国は分が悪いようだ。

 ラルフは顔を上げた。

「一体どういう理由でクレール王国が攻め込んだのか? 不条理な理由であれば、国連を通してアレンス王国に力を貸すこともできると思うのですが。理由がまだ伝わってこないので何とも動きようがありません。陛下も今は静観するしかないと仰っていると聞いています」

 確かに父は静観と言っていたな。

「アレンス王国を助けたいわ……」

 思いが口に出てしまった。

「そうですね。アレンス王国が何かした為、クレール王国が攻め込んだとかではないような気がします。父が昔、留学先でアレンス王国の方と知り合ったらしいのですが、とても穏やかな人柄で、その方が、アレンス王国は農業が盛んなのんびりした国だから、そこに住む人間ものんびりしていると言っていたそうです。そんな気質の人達が戦争になるようなことをふっかけるとは思えませんね」

 ラルフの言う通り、アレンス王国は農業が盛んだ。野菜や果物、小麦が沢山とれる。畜産や養蚕も盛んで乳製品や織物も沢山ある。それに海が近いので、漁業も盛んだ。食べ物と着るものには困らない。

 人柄も真面目で穏やかで素直だ。だからヴェルナー殿下達もあんな女にころりと騙されてしまったのだ。本当にどうして戦争になどなったのか?

 クレール王国の王女とは何度か会ったことがある。今は女王になっているはず。彼女がアレンス王国に攻め込むように命令を出したのだろうか? いや、そんなことを命令するような人には思えないり

 頭の中がこんがらがってきた。

 とにかく情報がほしい。

「ラルフ、フィーネ、何か新しい情報が入ったら教えて頂戴ね」

「かしこまりました」

 そろそろ、フランチェスカ達が迎えに来る頃だ。気持ちはザワザワするが、今の私には何もできない。

 私は学校に行く用意をしてふたりが来るのを待つことにした。
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