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レティシア・バーレント
30話 まさかの
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元の私の故郷、アレンス王国での毎日は本当に楽しかった。
父の足の怪我はずいぶん良くなってきた。本当ならすぐに魔馬車に乗せてバーレントに戻るつもりでいたのだが、父はもう少しこの地にいて、様子を見たいと言ったので、最初の予定通りひと月いることになったのだ。もちろん母や兄には、毎日魔道具で報告していた。でも、ひと月なんてあっという間に過ぎてしまう。
「レティ、軍隊もなんとか形になってきた。あとは副隊長に任せて私は国に戻ろうと思う。アレンス王や王妃はお前に残ってもらいたいようだが、どうする? なりゆきでお前やフィーネ、ラルフ、ゲオルグも軍隊の隊員の指導をしているし、もう少しいるか?」
父の言葉に驚いた。私は父と一緒にバーレントに戻るつもりだった。
「少し考えてもいいですか? フィーネ達とも相談したいし……」
「あぁ、帰国するのはまだ来週だ。それにお前達が残るなら、魔馬車を一台置いて帰るので、この地に残っても、バーレントとこの地を行き来することはできる。でないと王妃が悲しむからなぁ。まぁゆっくり考えればいい」
何故か父は私がアレンス王国に残ると決めているように思う。私はそんなことは全く考えていなかった。というかそんな選択肢があるなんて思っていなかったのだ。
アレンス王国に残っても、魔馬車でバーレント王国に行き来できるなら。でもそれならバーレントに住んで、アレンス王国に来るのもありか。
あぁ難しい。とりあえずフィーネ達に相談してみよう。
「と、お父様に言われたのだけど、どう思う?」
ラルフが私の顔を見た。
「実は私は軍が形になるまで、ゲオと共にこの地に残りたく思っていて、姫様にそう願い出ようと思っておりました」
「そうだったの。フィーネはどうするの?」
「私はレティ様と共におりますよ」
「ラルフと離れちゃっていいの?」
「私はクーアの娘です。瞬間移動の術が使えるのでラルフに会いたくなったら、どこにいてもラルフの元に飛んでいきます」
ふふふと笑う。
「レティ様は、ジークハルト殿下と離れるのが辛くないですか?」
「えっ? なんで?」
フィーネがニヤリとした。
「相変わらず無自覚ですか? どう見ても恋仲ですよ」
「こ、恋仲? ないない。ないわ」
恋仲なんてあり得ない。ジークハルト様とは、幼馴染みたいなもので、確かに気は合うし、剣の手合わせや弓の稽古や遠乗りなんかも一緒にできる友人なのよ。恋仲なんてあり得ないわ。
「まぁ、無自覚ならそれもいいですけどね。ジークハルト殿下に聞いてみてはどうですか? 残る方がいいかと」
「そんなの変じゃない?」
「変と聞くところが変なのですよ」
もう、3人でニヤニヤしないでほしい。
私は話を変えようとゲオルグの顔を見た。
「ゲオはフランに会いたくないの?」
「フランは私がこちらに残るなら、アレンス王国の学校に留学しようかと言ってました。ただ姫が戻ってくるならそういう訳にはいかないと」
それって、私が愛し合う二人を引き裂く悪役令嬢みたいじゃないのよ。
「姫様も留学しませんか?」
ゲオルグが閃いたような顔で提案をする。
「それいいわね。ゲオも留学すれば? 一応まだ学生なんだし」
「そうだな。学校には行っておいた方がいい」
もう、私が残ると言うしかないじゃないの。
「もう少し待って」
恋仲とかじゃないけどジークハルト様に話をしてみようと思う。
今日は午後から遠乗りの約束をしていた。待ち合わせの場所、厩舎の前に行くと、すでにジークハルト様が待っていて、用意をしていた。
「レティ、今日の馬はゲイル公爵家の馬なんだ。先日、公爵に会った時にレティと遠乗りに行くと話したら、ぜひこの子に乗ってもらえないかと言われてね」
メイ? まさかまたメイに乗れるなんて。
「名前はメイって言うんだ。亡くなったレティシア嬢の愛馬だったんだ。嫌かな?」
「嫌なんでとんでもないです」
私はメイに近づき撫でた。
メイは私が私だと気づいたようだ。私に甘えるような仕草をしてきた。
「メイはすっかりレティが気に入ったようだな。気難しい子だと公爵は言っていたが、そんなことはないようだね」
メイは確かに気難しいところがある。私以外の誰も乗せなかった。きっと私が亡くなった後、誰も乗せなかったのだろう。
レティシア・バーレントとしては初めて乗るのに、しっくりくる。
「なんだか長年の愛馬みたいだね。凄く息が合っているよ」
そりゃそうだ。本当に長年の愛馬だもの。
愛馬メイに乗り、気持ちよく風を切る。
湖畔で休憩することになった。
ジークハルト様の従者がお茶の用意をしてくれている。
私はアレンス王国に残るべきかどうかジークハルト様にそれとなく聞いてみようかと思っている。
お茶をひと口飲んで、手に持っていたカップを置いたジークハルト様が私の顔を見た。
「陛下から聞いたよ。私もレティにアレンスに残ってほしいと思っているんだ。私と一緒にいてくれないか?」
えっ? 今の何? まさかプロポーズ?
父の足の怪我はずいぶん良くなってきた。本当ならすぐに魔馬車に乗せてバーレントに戻るつもりでいたのだが、父はもう少しこの地にいて、様子を見たいと言ったので、最初の予定通りひと月いることになったのだ。もちろん母や兄には、毎日魔道具で報告していた。でも、ひと月なんてあっという間に過ぎてしまう。
「レティ、軍隊もなんとか形になってきた。あとは副隊長に任せて私は国に戻ろうと思う。アレンス王や王妃はお前に残ってもらいたいようだが、どうする? なりゆきでお前やフィーネ、ラルフ、ゲオルグも軍隊の隊員の指導をしているし、もう少しいるか?」
父の言葉に驚いた。私は父と一緒にバーレントに戻るつもりだった。
「少し考えてもいいですか? フィーネ達とも相談したいし……」
「あぁ、帰国するのはまだ来週だ。それにお前達が残るなら、魔馬車を一台置いて帰るので、この地に残っても、バーレントとこの地を行き来することはできる。でないと王妃が悲しむからなぁ。まぁゆっくり考えればいい」
何故か父は私がアレンス王国に残ると決めているように思う。私はそんなことは全く考えていなかった。というかそんな選択肢があるなんて思っていなかったのだ。
アレンス王国に残っても、魔馬車でバーレント王国に行き来できるなら。でもそれならバーレントに住んで、アレンス王国に来るのもありか。
あぁ難しい。とりあえずフィーネ達に相談してみよう。
「と、お父様に言われたのだけど、どう思う?」
ラルフが私の顔を見た。
「実は私は軍が形になるまで、ゲオと共にこの地に残りたく思っていて、姫様にそう願い出ようと思っておりました」
「そうだったの。フィーネはどうするの?」
「私はレティ様と共におりますよ」
「ラルフと離れちゃっていいの?」
「私はクーアの娘です。瞬間移動の術が使えるのでラルフに会いたくなったら、どこにいてもラルフの元に飛んでいきます」
ふふふと笑う。
「レティ様は、ジークハルト殿下と離れるのが辛くないですか?」
「えっ? なんで?」
フィーネがニヤリとした。
「相変わらず無自覚ですか? どう見ても恋仲ですよ」
「こ、恋仲? ないない。ないわ」
恋仲なんてあり得ない。ジークハルト様とは、幼馴染みたいなもので、確かに気は合うし、剣の手合わせや弓の稽古や遠乗りなんかも一緒にできる友人なのよ。恋仲なんてあり得ないわ。
「まぁ、無自覚ならそれもいいですけどね。ジークハルト殿下に聞いてみてはどうですか? 残る方がいいかと」
「そんなの変じゃない?」
「変と聞くところが変なのですよ」
もう、3人でニヤニヤしないでほしい。
私は話を変えようとゲオルグの顔を見た。
「ゲオはフランに会いたくないの?」
「フランは私がこちらに残るなら、アレンス王国の学校に留学しようかと言ってました。ただ姫が戻ってくるならそういう訳にはいかないと」
それって、私が愛し合う二人を引き裂く悪役令嬢みたいじゃないのよ。
「姫様も留学しませんか?」
ゲオルグが閃いたような顔で提案をする。
「それいいわね。ゲオも留学すれば? 一応まだ学生なんだし」
「そうだな。学校には行っておいた方がいい」
もう、私が残ると言うしかないじゃないの。
「もう少し待って」
恋仲とかじゃないけどジークハルト様に話をしてみようと思う。
今日は午後から遠乗りの約束をしていた。待ち合わせの場所、厩舎の前に行くと、すでにジークハルト様が待っていて、用意をしていた。
「レティ、今日の馬はゲイル公爵家の馬なんだ。先日、公爵に会った時にレティと遠乗りに行くと話したら、ぜひこの子に乗ってもらえないかと言われてね」
メイ? まさかまたメイに乗れるなんて。
「名前はメイって言うんだ。亡くなったレティシア嬢の愛馬だったんだ。嫌かな?」
「嫌なんでとんでもないです」
私はメイに近づき撫でた。
メイは私が私だと気づいたようだ。私に甘えるような仕草をしてきた。
「メイはすっかりレティが気に入ったようだな。気難しい子だと公爵は言っていたが、そんなことはないようだね」
メイは確かに気難しいところがある。私以外の誰も乗せなかった。きっと私が亡くなった後、誰も乗せなかったのだろう。
レティシア・バーレントとしては初めて乗るのに、しっくりくる。
「なんだか長年の愛馬みたいだね。凄く息が合っているよ」
そりゃそうだ。本当に長年の愛馬だもの。
愛馬メイに乗り、気持ちよく風を切る。
湖畔で休憩することになった。
ジークハルト様の従者がお茶の用意をしてくれている。
私はアレンス王国に残るべきかどうかジークハルト様にそれとなく聞いてみようかと思っている。
お茶をひと口飲んで、手に持っていたカップを置いたジークハルト様が私の顔を見た。
「陛下から聞いたよ。私もレティにアレンスに残ってほしいと思っているんだ。私と一緒にいてくれないか?」
えっ? 今の何? まさかプロポーズ?
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