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ユリウス様が来ちゃった
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その日の夕方からユリウス様が我が家に滞在することになった。
基本的に騎士団のお仕事が終わってからうちに来て、朝出勤する感じらしい。
お昼間はうちの護衛とアルブラン公爵家から来ている私営騎士さん達が護衛してくれるんだけど、そこまでしなくてもいいと思うんだけどね。
第2王子の婚約者だった頃は全然護衛なんかついてなかったのに、今の方が仰々しいなぁ。
「お姉さまと王妃様がね、ヴィオが自分が狙われてるせいで怖い目に遭うのが申し訳ないって恐縮されてるのよ。
いらないって言っても聞く人達じゃないからありがたく守ってもらいましょう」
お母さまは気楽なことを言う。
「そうそう、ユリウス様とはもうすぐ結婚するんだし、ちょっとくらい日にちが合わなくても大丈夫よ。誰も何も言わないわ」
「?」
「まぁ、ヴィオも閨事の勉強はしたでしょ?」
お母さま、何を言っているんだ?
「簡単にしかしてませんわ。お相手の方にお任せしなさいと教わりました」
「そうそう。ユリウス様にお任せすれば大丈夫よ。第2王子と違って愛があるから大切にしてくれるわ」
お母さま。大丈夫か? 普通の親は婚前交渉なんかしちゃダメっていうでしょ。
「護衛に来てくれるんだし、お部屋は一緒にするわね? ヴィオの部屋にベッドをもうひとつ入れさせなきゃ」
「だめ!!」
私とお母さまの不毛なやりとりはこのあともしばらく続き、私は疲れ果てた。
「本日からお世話になります」
ユリウス様の声がする。本当に来ちゃったんだ。
「こちらこそお世話になります。ヴィオの為にありがとうございます」
「いえ、ヴィオは私にとって大事な人です。私はヴィオに何かあったら生きていけません。絶対守ります」
ユリウス様は何言ってるんだ?
お母さまは感激して涙ぐんでいるようだ。
私はちょっと引いてるんだけど。
私に何があったら、騎士として責任を感じて生きていけない……だよね?
私、そこまでユリウス様に好かれているとは思えないよ。年も離れていて、私はまだまだ子供っぽいし、平凡だし、どこにでもいるような普通の子なのよ。
お義母さまは妹みたいに可愛がっている従姉妹のお母さまの娘だから、ちょっとヤバいくらい可愛がってくれているから、ユリウス様も妹みたいな感じに思ってくれているんでしょ?
王家のゴタゴタに巻き込まれては可哀想だからよね?
「ヴィオどうしたの?」
おっと、色々考えていたら挨拶が遅くなったよ。
「ユリウス様、この度はご迷惑をおかけして申し訳ございません。私なら本当に大丈夫です。ご無理なさらないでくださいね」
「大丈夫だよ。私が勝手に押しかけて来てるんだ。無理などしていない」
そーですが。ではもう何も言いません。お好きなだけ守ってくださいませ。
とりあえず腹でそんなことを思っているとはわからないように「ありがとうございます。よろしくお願いします」と微笑んでおく。
ナターシャが部屋に案内する。
さすがに同じ部屋は嫌だ。私はお母さまとのバトルに勝利し、部屋を別にしてもらう事を勝ち取った。ユリウス様の部屋は私の部屋の隣の部屋になった。
しかし、何故か、いつのまにか、私のベッドが大きいベッドに代えられていてびっくりした。
「ユリウス様のお部屋はこちらです。こちらでおやすみいただいても結構ですし、お嬢様のお部屋で一緒におやすみいただいても結構ですと奥様からの伝言でございます」
「ヴィオの部屋で?」
「はい。夜間に賊が忍び込む可能性があるかもしれないので同じ部屋の方が安心だそうです」
「大丈夫です! 何かあったら大声で呼びます!」
私は慌てて叫んだ。ナターシャの奴、お母さまに買収されたな。
「確かにそうだね。では、そうさせてもらいます」
ユリウス様、私の叫びは無視かい!
貞操の危機はないだろうけど、ダラダラした格好とかできないじゃない。
嫌だなぁ~。
私はふたりにわからないように小さくため息をついた。
*ヴィオレッタ、何言ってるの? 思いっきり貞操の危機よ。
ユリウスの頭の中はヴィオレッタにあんなことしたい、こんなことしたいだらけなんですよ。
賊よりユリウスの方が危ない気がするんだけどね*
基本的に騎士団のお仕事が終わってからうちに来て、朝出勤する感じらしい。
お昼間はうちの護衛とアルブラン公爵家から来ている私営騎士さん達が護衛してくれるんだけど、そこまでしなくてもいいと思うんだけどね。
第2王子の婚約者だった頃は全然護衛なんかついてなかったのに、今の方が仰々しいなぁ。
「お姉さまと王妃様がね、ヴィオが自分が狙われてるせいで怖い目に遭うのが申し訳ないって恐縮されてるのよ。
いらないって言っても聞く人達じゃないからありがたく守ってもらいましょう」
お母さまは気楽なことを言う。
「そうそう、ユリウス様とはもうすぐ結婚するんだし、ちょっとくらい日にちが合わなくても大丈夫よ。誰も何も言わないわ」
「?」
「まぁ、ヴィオも閨事の勉強はしたでしょ?」
お母さま、何を言っているんだ?
「簡単にしかしてませんわ。お相手の方にお任せしなさいと教わりました」
「そうそう。ユリウス様にお任せすれば大丈夫よ。第2王子と違って愛があるから大切にしてくれるわ」
お母さま。大丈夫か? 普通の親は婚前交渉なんかしちゃダメっていうでしょ。
「護衛に来てくれるんだし、お部屋は一緒にするわね? ヴィオの部屋にベッドをもうひとつ入れさせなきゃ」
「だめ!!」
私とお母さまの不毛なやりとりはこのあともしばらく続き、私は疲れ果てた。
「本日からお世話になります」
ユリウス様の声がする。本当に来ちゃったんだ。
「こちらこそお世話になります。ヴィオの為にありがとうございます」
「いえ、ヴィオは私にとって大事な人です。私はヴィオに何かあったら生きていけません。絶対守ります」
ユリウス様は何言ってるんだ?
お母さまは感激して涙ぐんでいるようだ。
私はちょっと引いてるんだけど。
私に何があったら、騎士として責任を感じて生きていけない……だよね?
私、そこまでユリウス様に好かれているとは思えないよ。年も離れていて、私はまだまだ子供っぽいし、平凡だし、どこにでもいるような普通の子なのよ。
お義母さまは妹みたいに可愛がっている従姉妹のお母さまの娘だから、ちょっとヤバいくらい可愛がってくれているから、ユリウス様も妹みたいな感じに思ってくれているんでしょ?
王家のゴタゴタに巻き込まれては可哀想だからよね?
「ヴィオどうしたの?」
おっと、色々考えていたら挨拶が遅くなったよ。
「ユリウス様、この度はご迷惑をおかけして申し訳ございません。私なら本当に大丈夫です。ご無理なさらないでくださいね」
「大丈夫だよ。私が勝手に押しかけて来てるんだ。無理などしていない」
そーですが。ではもう何も言いません。お好きなだけ守ってくださいませ。
とりあえず腹でそんなことを思っているとはわからないように「ありがとうございます。よろしくお願いします」と微笑んでおく。
ナターシャが部屋に案内する。
さすがに同じ部屋は嫌だ。私はお母さまとのバトルに勝利し、部屋を別にしてもらう事を勝ち取った。ユリウス様の部屋は私の部屋の隣の部屋になった。
しかし、何故か、いつのまにか、私のベッドが大きいベッドに代えられていてびっくりした。
「ユリウス様のお部屋はこちらです。こちらでおやすみいただいても結構ですし、お嬢様のお部屋で一緒におやすみいただいても結構ですと奥様からの伝言でございます」
「ヴィオの部屋で?」
「はい。夜間に賊が忍び込む可能性があるかもしれないので同じ部屋の方が安心だそうです」
「大丈夫です! 何かあったら大声で呼びます!」
私は慌てて叫んだ。ナターシャの奴、お母さまに買収されたな。
「確かにそうだね。では、そうさせてもらいます」
ユリウス様、私の叫びは無視かい!
貞操の危機はないだろうけど、ダラダラした格好とかできないじゃない。
嫌だなぁ~。
私はふたりにわからないように小さくため息をついた。
*ヴィオレッタ、何言ってるの? 思いっきり貞操の危機よ。
ユリウスの頭の中はヴィオレッタにあんなことしたい、こんなことしたいだらけなんですよ。
賊よりユリウスの方が危ない気がするんだけどね*
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