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これは運命ですわ
夜会の間中、私はあの方を探していた。
謁見の間では王族の方々の後ろに控えていた。きっと、宴にも姿を現すはずだと思っていたのにどこにも姿がない。
父と踊っている時も心ここに在らずだが、ダンスは死ぬほど練習したので身体が覚えているから上の空でも問題はなかった。
心はあの方でいっぱいだが、お腹はへる。父が知り合いと話をしている間に私は王家のご馳走様を堪能した。
さすがに王家の夜会。美味しすぎる。なんでみんな食べないんだろう? もったいない。
そんなことを思いながら全種類をひと通り食べ終わると、急にお腹が痛くなってきた。
こりゃ食べ過ぎたな。やばい。お花摘みに行かねば。
「お父様、お花を摘みに行って参ります」
「大丈夫か? 場所はわかるか?」
「大丈夫ですわ」
私はお花を摘み、扉を開け廊下に出た。
あれ? どっちだった? 右? 左?
え~! わからない。
ええいままよ!
私はとりあえず歩き出したのだが……。
来る時こんなに歩いたかな? 迷ったかな。まずいな。どうしよう。
ここどこよ~。
私は不安に襲われドキドキしていた。
「ご令嬢、どちらに行かれますか?」
「夜会会場に戻りたいのですが……」
後ろから聞こえた声に振り返ると、そこにはあの方がいた。
私は驚きの余り固まってしまう。
「申し訳ありません。私が声をかけてしまったので怖かったですね」
えっ? 何を言っているの? 怖いわけないじゃない。 素敵過ぎて眩しくてどうしていいのかわからないだけよ。
「こ、怖くないです!」
「お気遣いありがとうございます。しかし、皆、私を怖がるのでご令嬢も然りかと」
何を言っているんだ? なんで怖がるんだ? 素敵過ぎて怖いのか?
私が頭中でパニックを起こしていると、その方は悲しそうな顔をして目を伏せ、右手を差し出し今来た方向を指差す。
「こちらに向かってまっすぐ行けば夜会の会場に出ます。気をつけてお進み下さい」
どうやら私は反対の方向に歩いてきてしまったらしい。
「では、失礼致します」
その人は私に一礼し、奥の方に向かって歩き出した。
その姿の素敵さに私は見惚れていた。だめだ! しっかりしろ私。ここで何もせずに別れたら次はいつ会えるかわからない。
よし行け私! 頑張れ私! 愛する人を追いかけろ!
私は自分に叱咤激励し、走り出し、その人に声をかけた。
「お待ち下さい!」
「何か?」
振り向いたその方の腕を掴んだ。
「好きです!」
「は?」
その方は目をまん丸にして固まっている。
「先程、謁見の間で貴方様にひと目惚れ致しました。夜会の会場で貴方様のお姿をひと目見たくて探しておりましたが、見つけることができず悲観しておりました。まさか、こんなところでお会いできるなんて、これはきっと運命です。どうか私と結婚して下さいませ!」
私はその方の腕を両手で掴み、離すもんかと力をいれた。
「ご令嬢、お戯も大概になさいませ。失礼致します」
そう言うと私の腕を振り解こうとする。
離すもんか!
「戯れではございません!」
「いい加減にされよ!」
私たちの声が大きかったのか護衛騎士が集まってきたようだ。
「ハインリッヒどうした?」
「大丈夫だ。来なくていい」
この方はハインリッヒ様と言うのか。お姿ばかりか名前までも素敵だわ。
「早く離れなさい。誰かに見られたら大変です」
冷たい話し方だ。悲しくなってきた。
「私ではだめですか?」
「何を言っている」
「私は貴方様が好きです」
ハインリッヒ様は私を見て大きなため息をついた。
謁見の間では王族の方々の後ろに控えていた。きっと、宴にも姿を現すはずだと思っていたのにどこにも姿がない。
父と踊っている時も心ここに在らずだが、ダンスは死ぬほど練習したので身体が覚えているから上の空でも問題はなかった。
心はあの方でいっぱいだが、お腹はへる。父が知り合いと話をしている間に私は王家のご馳走様を堪能した。
さすがに王家の夜会。美味しすぎる。なんでみんな食べないんだろう? もったいない。
そんなことを思いながら全種類をひと通り食べ終わると、急にお腹が痛くなってきた。
こりゃ食べ過ぎたな。やばい。お花摘みに行かねば。
「お父様、お花を摘みに行って参ります」
「大丈夫か? 場所はわかるか?」
「大丈夫ですわ」
私はお花を摘み、扉を開け廊下に出た。
あれ? どっちだった? 右? 左?
え~! わからない。
ええいままよ!
私はとりあえず歩き出したのだが……。
来る時こんなに歩いたかな? 迷ったかな。まずいな。どうしよう。
ここどこよ~。
私は不安に襲われドキドキしていた。
「ご令嬢、どちらに行かれますか?」
「夜会会場に戻りたいのですが……」
後ろから聞こえた声に振り返ると、そこにはあの方がいた。
私は驚きの余り固まってしまう。
「申し訳ありません。私が声をかけてしまったので怖かったですね」
えっ? 何を言っているの? 怖いわけないじゃない。 素敵過ぎて眩しくてどうしていいのかわからないだけよ。
「こ、怖くないです!」
「お気遣いありがとうございます。しかし、皆、私を怖がるのでご令嬢も然りかと」
何を言っているんだ? なんで怖がるんだ? 素敵過ぎて怖いのか?
私が頭中でパニックを起こしていると、その方は悲しそうな顔をして目を伏せ、右手を差し出し今来た方向を指差す。
「こちらに向かってまっすぐ行けば夜会の会場に出ます。気をつけてお進み下さい」
どうやら私は反対の方向に歩いてきてしまったらしい。
「では、失礼致します」
その人は私に一礼し、奥の方に向かって歩き出した。
その姿の素敵さに私は見惚れていた。だめだ! しっかりしろ私。ここで何もせずに別れたら次はいつ会えるかわからない。
よし行け私! 頑張れ私! 愛する人を追いかけろ!
私は自分に叱咤激励し、走り出し、その人に声をかけた。
「お待ち下さい!」
「何か?」
振り向いたその方の腕を掴んだ。
「好きです!」
「は?」
その方は目をまん丸にして固まっている。
「先程、謁見の間で貴方様にひと目惚れ致しました。夜会の会場で貴方様のお姿をひと目見たくて探しておりましたが、見つけることができず悲観しておりました。まさか、こんなところでお会いできるなんて、これはきっと運命です。どうか私と結婚して下さいませ!」
私はその方の腕を両手で掴み、離すもんかと力をいれた。
「ご令嬢、お戯も大概になさいませ。失礼致します」
そう言うと私の腕を振り解こうとする。
離すもんか!
「戯れではございません!」
「いい加減にされよ!」
私たちの声が大きかったのか護衛騎士が集まってきたようだ。
「ハインリッヒどうした?」
「大丈夫だ。来なくていい」
この方はハインリッヒ様と言うのか。お姿ばかりか名前までも素敵だわ。
「早く離れなさい。誰かに見られたら大変です」
冷たい話し方だ。悲しくなってきた。
「私ではだめですか?」
「何を言っている」
「私は貴方様が好きです」
ハインリッヒ様は私を見て大きなため息をついた。
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