男性至上主義な世界で女が権力を持って何が悪い!

塚本麗音

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第一章

女が権力を持って何が悪い!(1)過去の悪夢

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私の人生は私のもの、そんなことを1度も…思ったことあったかな…

「なぁそらいつもみたいに言う通りにしろよぉ、別れてくれ」
リビングのソファードカッと座り、悪ビレもせずに夫が私に向かって言う。
「そうよ、結婚して3年も経つのにあなた子供一人も出来やしないじゃない。 
昔からよく言うでしょ、3年子なしは去れって」
嫁イビリしか、趣味がない姑も隣でお茶をすすりながら悪ビレもせず言う。
「てゆーか、奥さんって超ダサいよね! 化粧しないし服はダサいし髪の毛なんてボッサボサ、そんなんで奥さんですって名乗るの失礼すぎじゃない?」
夫の隣で、腕に抱きつきニヤニヤと気色悪い顔で笑う浮気相手も続けて言う。
そんな3人を前にして、呆然と立ち尽くすだけの空。

「(え? 待って…私は今、なにを、言われてるの?)」
空は混乱していた。
「実は彼女さぁ、妊娠してるんだよね 」
「(は? 私には今、独立したばかりで会社の経営がうまく行ってないから、
しばらく子供は作らないって言ったのに?)」
「それにあなた、専業主婦のくせに私がいくら教えても、料理も掃除も家事も
まともに出来ないじゃない」
「(それは、毎日言ってることが違うからでしょう。 前の日に教わった家事を
次の日にやったら違うって怒るじゃない)」
「言っとくけど! 私、悪くないからねぇ。 女捨ててる奥さんが悪いのよ、
結婚してからも女でいる努力しなかった自分を恨んでね~」
「(…女でいる努力? 生活費が月に3万しか貰えない状態で、3人分の生活費を無理矢理やりくり、どうやって女を磨けと?)」
3人は口々に空を罵った。


「どうせお前の人生は、誰かに決めて貰わないと成り立たないんだから、
俺が決めてやるよ! 手切金に300万やるから素直に離婚して出て行け、
そんでもって俺の人生にはもう関わるな」
その言葉で私は、堪忍袋の尾が切れると言うことわざを、身をもって体験した。


「(今までの私の人生…………、親に言われて学校を決め、学校の先生に勧められ仕事を決め、職場の上司に勧められ結婚相手を決めた。 周りに流されて、
気づけば合わせてしまう。
そんな人生だった……でも、そのせいでこんな人生を送ることになるのなら…)」

空は、海よりも深いため息をつくと。
「…………分かりました」と言って
左手の薬指にはまっていた指輪をテーブルに置き、代わりに手切金と言う名の
慰謝料300万持って部屋を出て行った。
荷造りをしていると、リビングから笑い声が聞こえてきた。
「な! 言っただろ、あいつ俺の言うことなら何でも聞くんだよぉ」
「本当にね~そのクセ、やってって言ったことはまともに出来ないし、つまらない女よね~なんであんな女と結婚なんてさせたのかしら、失敗したわ~」
「まあ、いいじゃない! 私があなたの奥さんになってあげるんだから」
3人は楽しそうに話していた 
そんな声を気にせず、私は少ない自分の荷物をまとめ、何も言わずそのまま
家を出て行った 

でも、このまま終わらせる訳が無い……
数日後、私の元には離婚届が届いていたけど、既にその時には復讐は
始まっていた。


半年後 
『…ちょっと、お金が入り用だから、お前にあげた婚約指輪返してくれないか?』
仕事中に元夫からそんな電話がかかってきた。
「…今は仕事で忙しいから、来週の日曜日で良い?」
そう言って 電話を切った空はニヤリと笑った 
隣に居る同僚の女性が 「きたの?」と尋ねると 
空は彼女を見て、さらにニヤリと笑った 。


そうして日曜日に、かつての義実家に訪れた空を見て3人は驚愕した。
伸ばしていただけの髪の毛はサラサラで、メイクばっちり、服装は派手ではないが、シンプルでしかし品の良いサクラ色のワンピースを着ていた。
「…お前、なんだよその格好?」
夫の疑問に対し、ここぞとばかりに空は返した。
「何言ってるのよ! 私と出会った当初、こんな感じの格好をしてたでしょ。 
私がいつもダサい格好していたのは、あなたのお母さんの原因よ」
私がそう言うと元夫は義母を振り返って見た。
義母は気まずそうに顔を逸した。
「嫁たるもの化粧はするな! って高かった私の化粧品捨てようとしたり、
色気づくな!と言って、私の服を捨てようとしたり、そうして毎日毎日、
お肌や髪の毛の手入れをする暇もない位、こき使われていたんだもの…そりゃ、
ボロボロにもなるわよ。 今のあんたの嫁と同じようにね」

そう言うと元夫は、今度は現嫁を振り返った。
半年前、離婚をする時には肩まであった髪の毛はツヤツヤで天使の輪が出来ていて、お化粧バッチリで 服装も赤いワンピースの派手な感じだった。
それがたった半年で、髪の毛はボサボサでオバさん縛り、ノーメイクにベージュ色の無地なダサいヨレヨレのマタニティドレスだった。

「でも、今はあなたがくれたあの300万のおかげで、自由に美容院に行くことも
出来るし、エステに行くこともできるし、服を買うこともできるわ。 
なんて言ったってこの家にいた時は髪の毛は自分でカットしていたし、
100円ショップで買った粗悪な化粧水しか使わせてもらえなかったし、
服なんて結婚してから一枚も買わせてもらえなかった…気づいてた?」
空の言葉に動揺する元夫。

「まぁ、もう私には関係のないことだけどね。 はい、婚約指輪返すわ」
そう言って婚約指輪をダイニングテーブルの上に置いて、部屋を出ようとした時に引き留めたのは現妻だった。
「ねえちょっと待って。 謝るから、奥さんの座を返してあげるから、
この家に帰ってきて」
さらに驚愕する元夫。
「は!? お前、何言ってるんだよ」
「だって! 私、毎日あなたのお義母さんにイジメられてるのよ」
「何を言ってるの、私はイジメていませんよ! あなたを教育してあげているだけじゃない」
「妊婦は病気じゃないって言って、朝から晩まで私に料理や掃除や洗濯をさせるじゃない」
「妊婦は病気じゃないんだから、多少動いた方が良いのよ」
「多少を超えてるって言ってるの! 赤ちゃんを殺すつもり? それにお肌とかの手入れが出来ないじゃない」
「この家の嫁にそんなものは必要ありません」
「じゃぁ、なんでお義母さんは化粧も髪型も服装も綺麗にしてるの? この家の
人間じゃないんですか?」
「わ、私は良いのよ」
元夫は2人がそんな風に言い争う姿を見て、今になって自分の母親と嫁の醜態に
気付いた。

そんな3人を置いてけぼりにして、空はとっととその家を出て行った。
本当は実家で荷解きをしていた段階で、間違って元夫のネクタイピンが紛れていたのを見つけた時に、綺麗になって返す時に自分を見せつけようと思っていたけど、予想外で予想以上の復讐の結果に空は大満足だった。
結局そのネクタイピンは返さずに、お金に変えて豪華なディナーを楽しんだ。
しかし、皮肉なことにそのディナーが最後の晩餐となってしまった。
ディナーの帰り道、作業建設中の工事現場の横を通った時、鉄骨が落ちてきた。

私、柴谷空しばたに そらは亡くなった。
享年32歳でした。

流されるばかりの私の人生だったけど、いいことが全くなかった訳じゃない。
その中に1つ、オタク友達だった女の子に流されて異世界転生の漫画を読んだおかげで、 今まさに自分が異世界に転生して、貴族令嬢として生まれ変わってもすぐに受け入れることが出来た。
「(……今度こそ自由に生きたい。 周りに流されることなく、自分の人生を生きていくんだ!)」
と思いながらベビーベッドの中で、赤ん坊が手足をばたつかせながら、アバァーと叫んだ。

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