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なんで・・・恋愛が嫌いな私が、よりにもよって恋愛シュミレーションゲームの主人公にして転生してるのよ、冗談じゃない!(1話)
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木枯らしが吹き荒ぶ、冬の寒い朝。
オフィス街を多くのサラリーマン達が出社しようと、競うように先を急ぐ中、ひときわ小柄な女性が大股で歩きながら、皆抜き去っていく。
紺色のパンツスーツにベージュのダッフルコートを羽織、チョコレート色のビジネス鞄を右肩にかけ、ショートヘアの髪を風に靡かせ歩いていく彼女の名前は、鬼崎可憐。
人の波に乗って会社に入り、その流れのままに社員証で入社ゲートを抜けて、エレベーター前に到着。
エレベーターを待っている間にコートを脱いで畳んで手に持ち、職場である28階でエレベーターを降りた。
職場であるオフィスに入り、すれ違う人に挨拶をしながら自分のデスクに座る。
いつもと変わらない、いつもの日常。
「可憐ちゃん、おはよー」
隣のデスクに座る女性、志保が声をかけた。
栗毛色の巻き髪にたれ目のぽっちゃりした女性。
「おはよう、相変わらず早いね」
「家、遠いからね~」
小首をかしげながら志保はふわりと答えた。
「はいこれ、返すね」
可憐がカバンから取り出したのは1本のゲームソフトだった。
「あ! コンプしたんだ! どうだった?」
ゲームソフトを受け取り楽しそうに話しかけてくる。
「そうだね、絵は綺麗だし設定もすごく細かい、それにただの乙ゲーじゃなくて、途中でバトルが入ったりレベル上げがあったりするから面白かったよ」
可憐のその言葉に志保は喜ぶ。
「ただ一点。 主人公が平民で女、それなのに王族や貴族の男達よりも強いにもかかわらず、誰からも愛されているという事がありえない」
「もぉ~、可憐ちゃんでば! ゲーム位、素直にやろうよー」
友達の志保はオタクだ、ゲームとか漫画とかそういうものはよく貸してくれる。
その中には今回のように恋愛シュミレーションゲームや漫画などもあったけどやっぱり現実的ではないと思ってしまう。
「あのね志保、リアルの男っていうのはね自分よりもできる女が嫌いなんだよ」
そう言って自分の机の上に置いてある仕事の山をポンポンと叩いた。
その仕事の山は本来可憐がやるものではなく、同じ職場の男達が「これ位の仕事出来るだろう」と可憐に押し付けてきた仕事だからだ。
志保はそれを知っているので、何か言いたそうではあったけど何も言えずにいた。
パソコンを立ち上げながら、ファイルの1つを手に取り、仕事を始めようとした時だった、遠くにいる主任の男性が電話対応で謝罪しているのが聞こえた。
「はい、直ちに確認をいたします。 失礼いたします……はぁ、鬼崎! 〇〇商事の商品に関するファイル持っているか?」
自分の席から主任は可憐に声をかける。
「はい、ここにあります」
言いながら仕事の山の中に埋もれているファイルの1つを取り出そうとした。
「あぁ、ちょうどいいお前〇〇商事に行って、謝罪して状況確認してこい」
「はい!?」
ファイルを片手に主任に向かって返事をする。
「いやいや! これ主任の案件ですよね、担当じゃない私が言ったらますます怒られますよ」
立ち上がり持っているファイルを主任に渡そうとするが受け取ってもらえずに、
「いいから早く行けよ! 商品に不備があったみたいだ、発注元には俺の方から連絡しておくから、どういう状況なのか確認してこい」
「いや、ですから! 状況を確認できていない状態で発注元に連絡しても意味ないんじゃないんですか?」
「だから、状況確認してこいって言ってるんだよ! 優秀なんだからできるだろ!」
ニヤニヤと笑いながら言う主任に便乗して、周りの男達もクスクスと笑う。
そんな周りの状況にイラっときた可憐は「分かりました」と言い、自分の席に戻ってコートを着てカバンを持って、立ち上げたばかりのパソコンの電源を落とした。
そして自分の机の上にあった仕事の山を、主任の机の上に乱暴に置いた。
「おい!なんだよこれ」
「私の仕事ですよ。 〇〇商事まで行って、謝罪をして、状況確認をして、戻ってくるまでには、相当な時間がかかってしまいます。 なので、私が抱えているこの仕事は主任にお任せいたします」
「ふざけるな! お前の仕事だ、戻ってきたら全部お前がやれ」
「おや、できないんですか? 平社員で、女の、私よりも立場が上で、男なら、私よりも優秀な筈ですよね? まぁ、ど~してもできないって言うのなら、斉藤さん功刀さん田中さんに頼んでください、元々その仕事は彼らが、私に押し付けてきた、仕事なので! それではよろしくお願いしま~す」
言うだけ言って反論する主任を置き去りにし部屋を出る。
主任は、キッと3人男を睨み付け「おい!」と3人に仕事を渡した。
そんな男達を尻目に志保はさっき返してもらったゲームソフトをに目を落とした。
そこには1人の少女を取り囲むように5人の美男子達とタイトルに『ドキドキ♡逆ハーレムパラダイス~愛されて困っています~』の文字が描かれていた。
「……確かに現実は厳しいかも」
ため息まじりに言うと、ゲームソフトをしまって仕事に戻った。
オフィス街を多くのサラリーマン達が出社しようと、競うように先を急ぐ中、ひときわ小柄な女性が大股で歩きながら、皆抜き去っていく。
紺色のパンツスーツにベージュのダッフルコートを羽織、チョコレート色のビジネス鞄を右肩にかけ、ショートヘアの髪を風に靡かせ歩いていく彼女の名前は、鬼崎可憐。
人の波に乗って会社に入り、その流れのままに社員証で入社ゲートを抜けて、エレベーター前に到着。
エレベーターを待っている間にコートを脱いで畳んで手に持ち、職場である28階でエレベーターを降りた。
職場であるオフィスに入り、すれ違う人に挨拶をしながら自分のデスクに座る。
いつもと変わらない、いつもの日常。
「可憐ちゃん、おはよー」
隣のデスクに座る女性、志保が声をかけた。
栗毛色の巻き髪にたれ目のぽっちゃりした女性。
「おはよう、相変わらず早いね」
「家、遠いからね~」
小首をかしげながら志保はふわりと答えた。
「はいこれ、返すね」
可憐がカバンから取り出したのは1本のゲームソフトだった。
「あ! コンプしたんだ! どうだった?」
ゲームソフトを受け取り楽しそうに話しかけてくる。
「そうだね、絵は綺麗だし設定もすごく細かい、それにただの乙ゲーじゃなくて、途中でバトルが入ったりレベル上げがあったりするから面白かったよ」
可憐のその言葉に志保は喜ぶ。
「ただ一点。 主人公が平民で女、それなのに王族や貴族の男達よりも強いにもかかわらず、誰からも愛されているという事がありえない」
「もぉ~、可憐ちゃんでば! ゲーム位、素直にやろうよー」
友達の志保はオタクだ、ゲームとか漫画とかそういうものはよく貸してくれる。
その中には今回のように恋愛シュミレーションゲームや漫画などもあったけどやっぱり現実的ではないと思ってしまう。
「あのね志保、リアルの男っていうのはね自分よりもできる女が嫌いなんだよ」
そう言って自分の机の上に置いてある仕事の山をポンポンと叩いた。
その仕事の山は本来可憐がやるものではなく、同じ職場の男達が「これ位の仕事出来るだろう」と可憐に押し付けてきた仕事だからだ。
志保はそれを知っているので、何か言いたそうではあったけど何も言えずにいた。
パソコンを立ち上げながら、ファイルの1つを手に取り、仕事を始めようとした時だった、遠くにいる主任の男性が電話対応で謝罪しているのが聞こえた。
「はい、直ちに確認をいたします。 失礼いたします……はぁ、鬼崎! 〇〇商事の商品に関するファイル持っているか?」
自分の席から主任は可憐に声をかける。
「はい、ここにあります」
言いながら仕事の山の中に埋もれているファイルの1つを取り出そうとした。
「あぁ、ちょうどいいお前〇〇商事に行って、謝罪して状況確認してこい」
「はい!?」
ファイルを片手に主任に向かって返事をする。
「いやいや! これ主任の案件ですよね、担当じゃない私が言ったらますます怒られますよ」
立ち上がり持っているファイルを主任に渡そうとするが受け取ってもらえずに、
「いいから早く行けよ! 商品に不備があったみたいだ、発注元には俺の方から連絡しておくから、どういう状況なのか確認してこい」
「いや、ですから! 状況を確認できていない状態で発注元に連絡しても意味ないんじゃないんですか?」
「だから、状況確認してこいって言ってるんだよ! 優秀なんだからできるだろ!」
ニヤニヤと笑いながら言う主任に便乗して、周りの男達もクスクスと笑う。
そんな周りの状況にイラっときた可憐は「分かりました」と言い、自分の席に戻ってコートを着てカバンを持って、立ち上げたばかりのパソコンの電源を落とした。
そして自分の机の上にあった仕事の山を、主任の机の上に乱暴に置いた。
「おい!なんだよこれ」
「私の仕事ですよ。 〇〇商事まで行って、謝罪をして、状況確認をして、戻ってくるまでには、相当な時間がかかってしまいます。 なので、私が抱えているこの仕事は主任にお任せいたします」
「ふざけるな! お前の仕事だ、戻ってきたら全部お前がやれ」
「おや、できないんですか? 平社員で、女の、私よりも立場が上で、男なら、私よりも優秀な筈ですよね? まぁ、ど~してもできないって言うのなら、斉藤さん功刀さん田中さんに頼んでください、元々その仕事は彼らが、私に押し付けてきた、仕事なので! それではよろしくお願いしま~す」
言うだけ言って反論する主任を置き去りにし部屋を出る。
主任は、キッと3人男を睨み付け「おい!」と3人に仕事を渡した。
そんな男達を尻目に志保はさっき返してもらったゲームソフトをに目を落とした。
そこには1人の少女を取り囲むように5人の美男子達とタイトルに『ドキドキ♡逆ハーレムパラダイス~愛されて困っています~』の文字が描かれていた。
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