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なんで・・・恋愛が嫌いな私が、よりにもよって恋愛シュミレーションゲームの主人公にして転生してるのよ、冗談じゃない!(3話)
しおりを挟む馬車の窓から外を見ると雲海が道の下に海が広がっている。
この聖オルフェン学園は空に浮かぶ要塞、天空都市にある。
都市の真ん中に空と同じ色をした屋根の城のように大きな建物が混在している。
それこそが聖オルフェン学園。
そしてその周りには、いくつもの大きな図書館の他に、武器を作る鍛冶場や薬草などを育てている温室、戦闘を練習する闘技場や魔法に関する実験場などが、防壁に守られるようにそびえ立っている。
その防壁から馬車で30分離れた場所に学生達が寝泊まりする家があり、そしてその周りに商店街などが存在している。
ここは、魔法の適正を持つ少年少女達を集め育成る環境の為の場所。
ゆえに守りは強固で何者にも破られる事は無い。
家を出発して5分、カレンは重い口を開く。
「さて、オリビアとチェルシー、分かってると思うけど私の、いや俺の事は今日からレンと呼ぶ事、それと男として扱う事」
2人はうなずく。
「承知しております。 レン様。 今日から始まる学園生活の為に、8年間も男性のふりをしてきたのです。 お覚悟はすでにできております」
「私も10年前からこの時の為に頑張ってきた! 一応、名目上はレン君の婚約者だけど、本当は1番の友達だからね! サポートは任せてよ」
両こぶしを握り締めチェルシーは深く頷く。
そんな2人の様子にカレンもうなずく。
この世界に転生してすぐ、私はここがゲームの中だと言う事に気づいた。
それと同時にゲームの通りに進めば必ず近い将来戦争が起こる事にも気づいた。
そしてその1番の原因が主人公でもある、自分を取り合うと言うアホな展開である事も。
ゲームの中ならそれでいいかもしれない。
でもここはリアルな世界、そうなっては困る、どうするべきか悩み迷った。
5歳の時、洗礼で受け力を持っているという事は確定している。
それを避ける事ができないなら、その後どうするべきなのか。
ゲームの中のカレンは、おとなしくて可愛くて素直な女の子、しかも強い力を持ったただの平民のはずなのに、平民のまま学園に入学。
それこそが1番ありえないと、私がゲームをプレイしていて気づいた。
ただの平民の女の子で誰よりも強い力を持って生まれたのなら、必ず王族や貴族などが放っておくはずがない。
ゲームの中ならそこまでの細かい設定は必要ないかもしれないけど今はリアルな世界、このままでいる訳にはいかない。
そしてそこから導き出した答えが、まずは自分を守る為の力と権力を手に入れる事。
次に戦争回避の為に信頼できる人間を味方につける事だった。
気味悪がられるかと覚悟して、両親にも自分が転生者であると言う事を話した。
幸いな事に困惑はしていたものの、気味悪がる様子はなかった。
ただ信じていない部分が多いと言う事から来る反応でもあった。
そこで私は5歳の時に自分が4種の力、全てを貰う事を言った。
信じられないのなら、その時に判断して欲しいとも。
そして5歳の洗礼式の日、私は宣言通り今まで誰1人としてあり得なかった、火水風地の4種の妖精から力をもらった事を証明した。
自分達や自分の子供の鑑定結果に、ほとんどの人達の注意が外れている中。
魔力鑑定を最後にしたおかげで、私が持っている力が4種という事を知ったのはごく1部の人達だけだった。
ざわつく会場の中、人をかき分け両親の元へ向かおうとする私の手を引っ張り会場の外の裏庭に無理矢理、連れ出された。
「驚いたなぁ、まさかこんな平民に力を4種全部もらえる奴が現れるなんてな! それとも何かの不正か?」
「まったくだよ! 僕たち貴族を差し置いてお前のような平民がなんでそんな力を持っているんだ、不正に決まっている」
油断をした、まさかこんなにも早く動くとは思わなかった。
カレン連れ出したのは貴族に使えている者3人と、貴族の10歳前後のお坊ちゃんらしき子供が3人、逃さんとばかりにカレンを取り囲んだ。
やがて少しして偉そうな中年太りのおじさんが現れた、服装は見るからに貴族であると言う事が分かる。
中年太りの貴族はカレンをまるでゴキブリを見るかのような目で見て
「ふん、残念だなぁ女だったら、息子の嫁にでも置いて俺のおもちゃにしていたのに。 まぁいいだろ、金の木に変わりはない! お前の両親のもとに連れて行け、お前を買ってやる、今日から良い暮らしをさせてやろう、そのかわり貴様は俺の所有物だ。 有り難く思え」
「(5歳の子供に何言ってんだ? このクズ)」
ニタニタと気色の悪い笑を浮かべた貴族にイラッとしたけど、それよりもカレンはその時ある1つの事に気づいた。
それは『女だったら』と言うセリフだった。
自分は女だ、しかしこの洗礼式の数日前に料理をしていてうっかり髪の毛を燃やしてしまい、今はショートヘアになってしまっている事から、こいつらは自分を男だと勘違いしているということに気づいた。
「(そうか! この世界の女の子は髪の毛が短いと言う事はありえないんだ)」
おまけに洗礼服は男女同じ、白い上着に白いパンツだから間違えたんだ。
カレンはそれを利用する事にした。
足元にあった乾いた砂を風の魔法で巻き上げ目潰しをし、会場の中へ逃れた。
後ろから悪態つく男達の声が聞こえるが、気にせずに会場の中まで走った。
「カレン、どこへ行っていたんだ心配したぞ」
カレンを探していた両親と合流し、司祭様と共に登録の部屋へ入っていった。
「ごめんなさい、お父さん。 あのね貴族の人達に、無理矢理外に連れてかれたの、それでね、お貴族様が『お前が女だったら俺のおもちゃにしてたのに』って言ってきたの、怖かった。 その後でねお父さん、私の事『金の生る木』って、言ってたの、どう言う意味?」
子供のように分からないふりをして、司祭様の前で貴族達の悪行をバラした。
カレンの言葉に司祭様は青ざめ神の銅像に向かって祈りを捧げた。
その隙にカレンは両親に耳打ちをする。
「私を男として住民登録して。 危険回避とか何かの理由をつけて」
カレンのその言葉に父アルベルトは一瞬戸惑ったが頷き、祈りを捧げる司祭様に声をかけた。
「司祭様、お祈りのところ大変に申し訳ございません。 どうか私どもの娘をお助けください、この子を救う為に僅かばかりの嘘をついていただく事は、できませんでしょうか」
女の子を男の子として登録すると言う事に司祭様は最初戸惑ったが、女だと貴族達が何をするか分からない。
放っておけないと言うその事実もある事からカレンを守る為、男の子と言う事として住民登録をした。
後は、今まで書き留めていた前世での商品の作り方や知識で商売を拡大させ、お金で貴族の地位を買う、成金貴族になると言う計画を実行することにした。
そしてその段階で出会ったのが住んでいた領地の領主がチェルシーの父だった。
チェルシーの父に転生者であると言う事や事情を話し、異世界の知識と引き換えに協力者になってもらった。
今では立派な養蜂領地として、スイーツの聖地になっている。
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