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◆本編◆
episode.2 七戒衆の二人
しおりを挟む金色の大きな狼は身体を振ると、くすんだ金色の髪色にハネっ毛のあるショートでツリ目に細目をした空色の瞳をして、上着を着てないで長い灰色のファーのマフラーに黒いTシャツと長ズボンだけの服装をした青年へと姿を変える。
「やっぱり、こっちのが動きやすいってもんだよなっ!うんうん」
「何一人で納得してんだ、ゼノス」
相変わらずファッションセンスに対してツッコミたい所があるゼノスは、自身についてきた“七戒衆”の一人だ。
“七戒衆”というのは、彼らの望みから生まれたとも言えるのだろう。
ゼノスの望みは簡単に言えば、“強欲”とも言える。
家族、兄弟、恋人。
それらに憧れ、それらに見棄てられた。
だからこそ、来世に期待し世界を壊し創り変えて手にしようとした。
“俺の幸せ?それは、もう“此処”にあるぜ?レーヴェ!”
それは、最終決戦の前日に言っていた。
俺と出会い過ごす事で、別の何かを手にして“幸福”を感じていた。
「………ゼノス」
「ん?なんだいー、レーヴェ?」
「今も、“幸せ”か?」
「おう!当たり前だろっ!?こうやって、再びレーヴェの隣に立てるんだからなっ!」
ゼノスはレーヴェの問いに、何処か可笑しそうに笑っている。
それを見たレーヴェは、微かに微笑んでは座り込んだゼノスの頭を優しく撫でる。
「なら、構わへんよ……ゼノスが、幸せを感じているなら」
「えへへっ!これからも、宜しくな!レーヴェっ!俺は、レーヴェを必ず護るっ!レーヴェにとって、障害になる存在は排除するぜ!」
「…………まぁ、程々にしてくれや」
「おう!」
ゼノスが此方に来れたならば、他の“七戒衆”も来る可能性は高いだろう。
何せ彼らは、宗教の如くレーヴェを慕い崇拝したりとしていたのだからだ。
「……ゼノス、この付近に村や町などがあるか“感知”出来るか?」
「おう!出来るぜ!」
ゼノスは目を閉じてから、遠くまでの土地の状態を“視認”し“感知”させる能力を使用する。
そうすると、此処から少し離れた場所に“襲撃された後の村”を“視認”すると少し嫌そうな顔をする。
「レーヴェ、此処から少し“南”に行った所にあったけどよ?これは、何かによっての“襲撃後”だな……」
「そうか……」
「けど、其処から“西”に少し大きな町が見えたぜ!」
「……とりあえず、その“襲撃後の村”へと行って何か使える物がないかを確認しようか」
「おう、わかったぜ!」
レーヴェはゼノスと共に、何かに襲われた村へと向かう事にした。
村へと近づくと、少しずつ血や焦げ臭い匂いがしてきていた。
其処には、無惨な姿へと変貌させた村があるだけで人の気配さえもしていない。
「これは、魔物の仕業とかではないな……」
レーヴェは地面に落ちていた、血塗られた白銀の槍を掴んで槍を見てから地面へと刺して、周りを見渡しては眉間に皺を寄せていた。
それは、明らかに人の手によって襲撃された後なのが確認出来たからだ。
「………これは、“騎士”がいる国による“襲撃”と見てもいいかもしれないな」
「うえっ、酷いな……これは」
「それも、卑劣で低能な奴等だ」
レーヴェが確認のために向かった壊れた家の中には、首を絞められた幼い子供の遺体の傍らに襲撃者によって散々と弄ばれた女性の遺体があった。
本来の目的以外に、こうやって“暴行”を行うのは“国が腐っている”という証拠にもなりうる。
「……ゼノス、彼らに墓を作って弔いをしようや」
「おう、わかった」
レーヴェとゼノスは、その村で遺体が残っているモノだけ墓を作り小さな花だけを飾った。
残っていたのは、数人という僅かな数でしかなかったが少しでも安らぎを与えたいとレーヴェは考えていた。
「……“彼女”なら、何があったのか“ビジョン”で分かったかもしれないが……」
「あー、アイツ?念じたら、応えるんじゃないか?レーヴェの為なら、来そうだぜ?」
「それ、本当に来たら怖いんだが……?」
「だーれが、怖いんですかぁ?せんせぇー?」
レーヴェとゼノスが後ろを振り向けば、其処には淡いピンク色の髪色に毛先が赤色をしたフワフワとした腰ぐらいの長さで、少しタレ目のパッチリ目をした紅色の瞳をしていて、赤と黒のドレスにピンク色のファーマフラーを腕に巻いている少女が優しく微笑んでいる。
「げっ、色魔」
「色魔は、ヴェニタスさんですよぉ~?わたしは、断じて違います!色気を露にするのは、せんせぃにだけですー」
「いや、それも困るんやけど……セシリア」
「ふふっ、何時でも“夜の営み”に呼んで下さっても……いいんですよぉ?」
「ははっ……あの~、それよりな?セシリアにしか出来ない事を頼みたいんやけど……エエかな?」
「えぇ!せんせぃの為なら、わたしは“視ます”よぉ~……嫌な光景でも、ねぇ?ふふっ」
セシリアの瞳が微かに光を宿した時、この村に何が起きたのかレーヴェ達は目の当たりにする。
そして、其処には“彼女”がいた。
その時、レーヴェは口許を微かに微笑ませていた。
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