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15章 涼介、昔の教官に再開
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15章~ の登場人物:
蓮見涼介(はすみりょうすけ):大学一年生。小学六年生で不思議な「教育開発プログラム」に参加。
桐生葵(きりゅうあおい):大学一年、涼介らと同じプログラムを受けていた。
ローサ:自主制作映画の関係者。
山本和宏(やまもとかずひろ):教育開発プログラム調査員
桝本(ますもと):教育開発プログラム教官
その部屋の入り口にはキーパッドがついてた。昨夜山本調査員からメッセージとともにパスワードを告げられていた涼介は6桁の番号を打ち込んだ。中に入ると、数人の人々が立っていた。振り向いた彼らのうちの一人が笑顔を見せた。その顔に涼介は見覚えがあった。
「桝本先生!」
涼介は歩み寄った。桝本は涼介らが参加した教育開発プログラムの教官の一人だった。
「久しぶりだな、蓮見涼介君」
「私のここでの役目は、君が自分の持つ能力を把握し、それを適切に使える手助けをすることだよ。君の経験したことについては明日の会合で詳しく説明される。何が起こっているのか今すぐ知りたいだろうとは思うが、まあもう少し待ってくれ」
桝本教官は涼介に向き合って座った。山本調査員らも同席し、桝本の両隣に座った。
涼介が覚えている教官はがっちりした体格で、大声で鋭い指示を出し、子供達に恐れられる存在だった。しかし今、目の前にいる教官は涼介より小柄で、髪には白いものが混じっている。
涼介はとまどいながら言った。
「桝本先生。僕は教育開発プログラムのことは、ほとんど忘れかけていました」
桝本はうなずいた。
「でも最近手紙が来たり、君らの様子を見に来た人がいただろう」
「そうです」
「昔、君らが召集された時に目的が明らかにされなかったのは、君らを守るためだった。君たちが世間の注目をあびたら嫌がらせや迫害を受けたかもしれなかったんだ」
「わかります。僕らは奇妙な力を持っていましたから」
「奇妙な力? 君は相変わらず自嘲気味だね、謙遜していると言うか。奇妙どころか素晴らしい力なんだけどね。まあ君の気持ちもわかるけど…。ともかく委員会は、君らの力が世間に知られないよう、抑制機能を持たせることにした」
「予防注射と称して僕らにマイクロチップを埋め込んだんですね」
「ふた通りの機能がある。君らの能力のコントロールと、所在地を把握すること。これは君らを守るためだったんだ」
「そのせいで、僕はもう普通の人間に戻ったと思っていました。子供の頃は優れていても、大人になったらタダの人になっちゃう、ごく当たり前の出来事だと」
「だけど今、君らの力が必要なんだ。マイクロチップは彼らにオフにされた。我々も今はそのままの状態にしておくよ」
桝本が「訓練」を指示した。
涼介はスクリーンの前に立った。頭にヘッドセットを被り、そこから伸びたコードがそばに置かれたいくつかの装置に繋がれている。両手と胸にもコードが伸び、それも同様に繋がれた。涼介は右手を動かしてみた。
「コードが外れたらいけないですよね」
「あれこれくっついて不愉快だと思うが、うまくやってくれ」
「なんとかできそうです」
「この装置で君のあらゆる動きを把握できる。本当にわずかな電磁波の揺らぎも捉えることができる」
涼介は指示された通り、両手を揃えて前方にゆっくり突き出した。暗いスクリーン上にぼんやりした輪郭の小さな円が現れる。
「左右に動かして」
「上下」
桝本の指示通り、涼介は手を動かす。
「指を伸ばしたり、拳にしたりしてみてくれ。ゆっくりと」
「そのまま『気』を込めて」
そのセッションは二時間近く続いた。終わった時には涼介はぐったりとソファに座り込んだ。
蓮見涼介(はすみりょうすけ):大学一年生。小学六年生で不思議な「教育開発プログラム」に参加。
桐生葵(きりゅうあおい):大学一年、涼介らと同じプログラムを受けていた。
ローサ:自主制作映画の関係者。
山本和宏(やまもとかずひろ):教育開発プログラム調査員
桝本(ますもと):教育開発プログラム教官
その部屋の入り口にはキーパッドがついてた。昨夜山本調査員からメッセージとともにパスワードを告げられていた涼介は6桁の番号を打ち込んだ。中に入ると、数人の人々が立っていた。振り向いた彼らのうちの一人が笑顔を見せた。その顔に涼介は見覚えがあった。
「桝本先生!」
涼介は歩み寄った。桝本は涼介らが参加した教育開発プログラムの教官の一人だった。
「久しぶりだな、蓮見涼介君」
「私のここでの役目は、君が自分の持つ能力を把握し、それを適切に使える手助けをすることだよ。君の経験したことについては明日の会合で詳しく説明される。何が起こっているのか今すぐ知りたいだろうとは思うが、まあもう少し待ってくれ」
桝本教官は涼介に向き合って座った。山本調査員らも同席し、桝本の両隣に座った。
涼介が覚えている教官はがっちりした体格で、大声で鋭い指示を出し、子供達に恐れられる存在だった。しかし今、目の前にいる教官は涼介より小柄で、髪には白いものが混じっている。
涼介はとまどいながら言った。
「桝本先生。僕は教育開発プログラムのことは、ほとんど忘れかけていました」
桝本はうなずいた。
「でも最近手紙が来たり、君らの様子を見に来た人がいただろう」
「そうです」
「昔、君らが召集された時に目的が明らかにされなかったのは、君らを守るためだった。君たちが世間の注目をあびたら嫌がらせや迫害を受けたかもしれなかったんだ」
「わかります。僕らは奇妙な力を持っていましたから」
「奇妙な力? 君は相変わらず自嘲気味だね、謙遜していると言うか。奇妙どころか素晴らしい力なんだけどね。まあ君の気持ちもわかるけど…。ともかく委員会は、君らの力が世間に知られないよう、抑制機能を持たせることにした」
「予防注射と称して僕らにマイクロチップを埋め込んだんですね」
「ふた通りの機能がある。君らの能力のコントロールと、所在地を把握すること。これは君らを守るためだったんだ」
「そのせいで、僕はもう普通の人間に戻ったと思っていました。子供の頃は優れていても、大人になったらタダの人になっちゃう、ごく当たり前の出来事だと」
「だけど今、君らの力が必要なんだ。マイクロチップは彼らにオフにされた。我々も今はそのままの状態にしておくよ」
桝本が「訓練」を指示した。
涼介はスクリーンの前に立った。頭にヘッドセットを被り、そこから伸びたコードがそばに置かれたいくつかの装置に繋がれている。両手と胸にもコードが伸び、それも同様に繋がれた。涼介は右手を動かしてみた。
「コードが外れたらいけないですよね」
「あれこれくっついて不愉快だと思うが、うまくやってくれ」
「なんとかできそうです」
「この装置で君のあらゆる動きを把握できる。本当にわずかな電磁波の揺らぎも捉えることができる」
涼介は指示された通り、両手を揃えて前方にゆっくり突き出した。暗いスクリーン上にぼんやりした輪郭の小さな円が現れる。
「左右に動かして」
「上下」
桝本の指示通り、涼介は手を動かす。
「指を伸ばしたり、拳にしたりしてみてくれ。ゆっくりと」
「そのまま『気』を込めて」
そのセッションは二時間近く続いた。終わった時には涼介はぐったりとソファに座り込んだ。
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